放射線治療後の皮膚の乾燥|原因・対策・保湿ケアを専門医が解説

2026年4月16日

患者

放射線治療のあと、皮膚がカサカサしてきました。
これって副作用なのでしょうか?

放射線治療医

はい、放射線治療では皮膚が乾燥することがあります。
ただし多くの場合は一時的で、保湿ケアで改善することが多いですよ。

放射線治療を受けたあと、

  • 皮膚がカサカサする
  • 乾燥してかゆい
  • 化粧水やクリームは使ってよいのか

といった悩みを感じる方は少なくありません。

放射線治療では、照射された皮膚のバリア機能が一時的に弱くなるため、乾燥しやすくなります。

この記事では、

  • 放射線治療で皮膚が乾燥する理由
  • いつまで続くのか
  • 保湿ケアの方法
  • 医療機関での対応

について、国際的なガイドラインや研究をもとに放射線治療専門医の視点でわかりやすく解説します。

関連記事

放射線治療による皮膚症状については、以下の記事でまとめて解説しています。

放射線治療の皮膚症状まとめ


放射線治療による副作用全体を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

放射線治療の副作用まとめ


放射線治療後に皮膚が乾燥する理由

放射線治療では、がん細胞だけでなく皮膚の細胞にも一時的な影響が起こります。

主な原因は以下です。

① 皮膚のターンオーバーの低下

放射線は皮膚の基底細胞にも影響するため、

  • 皮膚の再生速度が低下
  • 角質層が薄くなる

結果として水分を保持しにくくなります。

② 皮脂腺・汗腺の機能低下

照射部位では

  • 皮脂分泌の低下
  • 発汗の低下

が起こることがあります。

そのため自然な保湿が弱くなり乾燥しやすくなります。

③ 皮膚バリア機能の低下

皮膚のバリア機能が弱くなることで

  • 水分蒸発
  • 外部刺激

に対して敏感になります。

その結果、

  • 乾燥
  • かゆみ
  • 軽いヒリヒリ感

などが出ることがあります。


皮膚乾燥と放射線皮膚炎の違い

患者

乾燥しているだけなのか、
皮膚炎なのかがよく分かりません…

放射線治療医

カサカサだけなら乾燥のことが多いですが、
赤みやヒリヒリする痛みがある場合は皮膚炎の可能性があります。

放射線治療では、

  • 皮膚乾燥
  • 放射線皮膚炎

という2つの皮膚変化が起こることがあります。

皮膚乾燥

主な症状

  • カサカサした皮膚
  • 軽いかゆみ
  • つっぱり感

比較的軽い症状で、保湿ケアで改善することが多いです。

放射線皮膚炎

症状

  • 赤み
  • ヒリヒリする痛み
  • 皮むけ
  • 強いかゆみ

症状が強い場合は医療機関での治療が必要になります。

詳しくはこちらの記事で解説しています。

放射線治療の皮膚炎


皮膚の乾燥はいつから起こる?

多くの場合

放射線治療開始から2〜3週間頃

から皮膚変化が出始めます。

乾燥のピークは

治療終了後1〜2週間程度

とされています。

多くの患者さんでは

数週間〜数か月で改善

します。

ただし

  • 照射線量
  • 照射部位
  • 体質
  • 化学療法併用

などにより個人差があります。

関連記事

放射線治療後に起こるさまざまな晩期副作用については、以下の記事でまとめて解説しています。

放射線治療の晩期副作用まとめ(症状・原因・対処法)


放射線治療中から保湿したほうがよい?

近年の研究では、放射線治療中から保湿を行うことが推奨される場合が増えています。

放射線治療では皮膚のバリア機能が徐々に低下するため、

  • 乾燥
  • かゆみ
  • 皮膚炎

が起こりやすくなります。

そのため最近では、

症状が出る前から保湿を行う「予防スキンケア」

が重要とされています。

研究では、

  • 皮膚炎の重症度低下
  • 乾燥症状の軽減

が示されているものもあります。

参考
MASCC/ISOO Skin Toxicity Guidelines
https://mascc.org/


患者

乾燥してきた場合、
何か自分でできる対策はありますか?

放射線治療医

一番大切なのは保湿ケアです。
最近は、症状が出る前から保湿を始めることも推奨されています。


放射線治療後の皮膚乾燥の対策

国際ガイドラインでは、保湿ケアが最も重要な対策とされています。

参考
MASCC/ISOO Skin Toxicity Guidelines
https://mascc.org/


① 保湿剤をしっかり使う

推奨される保湿剤

  • ヘパリン類似物質
  • セラミド配合クリーム
  • ワセリン
  • 尿素低濃度クリーム

保湿は

1日2〜3回

行うとよいとされています。


② 低刺激のスキンケア

洗浄は

  • 低刺激石鹸
  • 弱酸性洗浄剤

を使用します。

避けたほうがよいもの

  • 強いスクラブ
  • アルコール化粧水
  • 強い香料

③ 摩擦を避ける

乾燥した皮膚は刺激に弱くなります。

注意するポイント

  • ゴシゴシ洗わない
  • タオルは押さえるように拭く
  • きつい衣類を避ける

④ かゆみが強い場合

医療機関では

  • ステロイド外用薬
  • 抗ヒスタミン薬

などが処方されることがあります。

詳しくはこちら

放射線治療の皮膚炎


使用できる保湿剤の種類

放射線治療後の皮膚乾燥には、さまざまな保湿剤が使用されます。

代表的なものは以下です。

ヘパリン類似物質

皮膚の水分保持を高める作用があります。
医療機関でもよく処方される保湿剤です。

ワセリン

  • 刺激が少ない
  • アレルギーが少ない

という特徴があり、敏感な皮膚にも使用しやすい保湿剤です。

セラミド配合保湿剤

皮膚バリア機能を補う作用があり、乾燥肌のケアに用いられます。

尿素配合クリーム

角質をやわらかくする作用がありますが、濃度が高いものは刺激になることがあります。

使用する保湿剤は皮膚状態によって異なるため、医療機関で相談することが大切です。


市販の保湿剤の選び方(ドラッグストアで迷ったとき)

患者

ドラッグストアに保湿剤がたくさんあって、
どれを選べばいいか迷います…

放射線治療医

まずは刺激が少ないシンプルな保湿剤を選びましょう。
ワセリンやセラミド系の保湿剤が使いやすいことが多いです。

放射線治療後の皮膚乾燥では、市販の保湿剤でもケアできることがあります。
ただし、皮膚が敏感になっているため刺激の少ない製品を選ぶことが重要です。

市販の保湿剤を選ぶときは、以下のポイントを参考にしてください。

低刺激タイプを選ぶ

放射線治療後の皮膚は刺激に弱くなっています。

できるだけ

  • 無香料
  • 無着色
  • アルコールフリー

などの低刺激タイプを選びましょう。

「敏感肌用」と表示された製品が選ばれることも多いです。


保湿成分を確認する

保湿剤にはさまざまな成分があります。

代表的な保湿成分

  • ヘパリン類似物質
  • セラミド
  • ワセリン
  • グリセリン
  • ヒアルロン酸

これらの成分は皮膚の水分保持を助ける働きがあります。


シンプルな処方のものを選ぶ

成分が多すぎる化粧品は、まれに刺激になることがあります。

そのため

  • 医薬品
  • 医薬部外品
  • 敏感肌向け保湿剤

などの比較的シンプルな処方の製品が使いやすい場合があります。


市販保湿剤の具体例(ドラッグストアやAmazonで購入できる製品)

放射線治療後の皮膚乾燥では、刺激が少なくシンプルな保湿剤が使いやすいことが多いです。
以下はドラッグストアやオンラインで入手しやすい保湿剤の例です。


ワセリン(もっとも刺激が少ない保湿剤)

ワセリンは皮膚を保護するタイプの保湿剤で、刺激が少ないため多くの皮膚トラブルで使用されています。

特徴

・刺激が少ない
・アレルギーが少ない
・皮膚をコーティングして水分蒸発を防ぐ

乾燥が強い部位では、入浴後に薄く塗る方法がよく用いられます。

セラミド系保湿クリーム(皮膚バリアを補う)

セラミドは皮膚のバリア機能に重要な成分です。

特徴

・皮膚の水分保持を助ける
・乾燥肌ケアに広く使用される
・敏感肌向け製品が多い

放射線治療後の乾燥では、ワセリンより軽い使い心地のため使いやすい場合があります。

軟膏タイプ保湿剤(強い乾燥に)

軟膏タイプは油分が多く、乾燥が強い皮膚の保護に向いています。

特徴

・保湿力が高い
・皮膚保護作用が強い
・ひび割れや強い乾燥に使われる

夜間ケアなどで使用されることが多い保湿剤です。

市販保湿剤を使用する際の注意

新しい保湿剤を使用するときは

・少量から試す
・皮膚の反応を見る

ことが大切です。

以下の症状がある場合は医療機関に相談してください。

・強いかゆみ
・赤み
・ヒリヒリする痛み
・皮膚のひび割れ

その場合、医療機関では

・医療用保湿剤
・ステロイド外用薬

などが処方されることがあります。


皮膚乾燥が起こりやすい部位

特に乾燥が起こりやすいのは以下です。

  • 乳房
  • 鎖骨周囲
  • 背中
  • 骨盤部

皮膚が薄く摩擦が多い部位では症状が出やすい傾向があります。


皮膚乾燥を悪化させる生活習慣

患者

乾燥していると、
ついゴシゴシ洗ってしまいます…

放射線治療医

実はそれは逆効果です。
摩擦は皮膚症状を悪化させることがあるため、
優しく洗うことが大切です。

以下の生活習慣は皮膚乾燥を悪化させることがあります。

熱すぎる入浴

熱いお湯は皮脂を落としすぎるため、乾燥が強くなることがあります。

長時間のシャワー

長時間の入浴も皮膚の水分を奪う原因になります。

強い洗浄剤

  • アルコール
  • 強い界面活性剤

などは皮膚刺激になることがあります。

摩擦

  • ゴシゴシ洗う
  • 硬いタオル
  • きつい衣類

などは皮膚症状を悪化させることがあります。

入浴後はできるだけ早く保湿を行うことが重要です。


長期的な皮膚乾燥

一部の患者さんでは

慢性的な乾燥

が残ることがあります。

これは

  • 皮脂腺の減少
  • 皮膚構造の変化

が原因です。

その場合でも

保湿ケアを継続することで改善することが多い

とされています。

参考
International Journal of Radiation Oncology Biology Physics
https://www.redjournal.org/


皮膚乾燥で受診したほうがよい症状

皮膚乾燥は多くの場合軽度ですが、以下の症状がある場合は医療機関に相談してください。

  • 強いかゆみ
  • 皮膚のひび割れ
  • 出血
  • 強い痛み
  • 皮膚の腫れ
  • 膿が出る

これらは

  • 皮膚炎の悪化
  • 感染

などが起こっている可能性があります。

早めに治療を行うことで、症状の悪化を防ぐことができます。


皮膚乾燥と関連する症状

放射線治療では以下の症状も起こることがあります。

関連記事

放射線治療による皮膚炎

放射線治療によるかゆみ


患者

皮膚の乾燥があると、
治療に影響するのではと少し不安です…

放射線治療医

多くの場合は適切なケアでコントロールできます。
気になる症状があれば、
早めに医療スタッフに相談してください。


専門医コメント

放射線治療後の皮膚乾燥は、非常によくみられる皮膚変化の一つです。

多くの場合は一時的なものであり、適切な保湿ケアによって症状は軽減できます。

最近の研究では、放射線治療中から保湿を行うことで

  • 皮膚炎の重症化予防
  • かゆみの軽減

が期待できることが示されています。

皮膚症状は早めのケアがとても重要です。

乾燥やかゆみが強い場合は、遠慮なく担当医や看護師に相談してください。

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放射線治療による皮膚症状については、以下の記事でまとめて解説しています。

放射線治療の皮膚症状まとめ


まとめ

放射線治療後の皮膚乾燥は

  • 皮膚のバリア機能低下
  • 皮脂腺の機能低下

によって起こります。

多くの場合は

数週間〜数か月で改善します。

重要な対策は

  • 保湿
  • 低刺激スキンケア
  • 摩擦を避ける

ことです。

皮膚症状が強い場合は医療機関で治療が可能です。

放射線治療の副作用全体についてはこちらの記事でまとめています。

放射線治療の副作用まとめ


FAQ(よくある質問)

放射線治療後の皮膚乾燥はよくある副作用ですか?

はい。放射線治療では皮膚のバリア機能が一時的に低下するため、多くの患者さんで乾燥がみられます。

乾燥はいつ頃から始まりますか?

多くの場合、放射線治療開始から2〜3週間頃に症状が出始めます。

乾燥はいつまで続きますか?

多くは治療終了後数週間〜数か月で改善します。

保湿剤は使ってよいですか?

はい。保湿は推奨されるケアであり、1日2〜3回の使用が勧められています。

ワセリンは使えますか?

はい。ワセリンは刺激が少なく、多くの患者さんで使用されています。

化粧水は使えますか?

アルコールや香料が少ない低刺激タイプであれば使用できることが多いです。

かゆみがある場合はどうすればよいですか?

保湿に加えて、必要に応じて医療機関でステロイド外用薬などが処方されます。

乾燥した皮膚をこすっても大丈夫ですか?

摩擦は皮膚症状を悪化させる可能性があるため避けましょう。

長く乾燥が続くことはありますか?

一部の患者さんでは慢性的な乾燥が残ることがありますが、保湿ケアで改善することが多いです。

放射線治療中から保湿したほうがよいですか?

はい。最近の研究では、治療中から保湿を行うことで皮膚症状の軽減が期待できるとされています。


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  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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