放射線治療後の脱毛|原因・回復時期・元に戻るのかを専門医が解説

2026年4月17日

患者

放射線治療でも髪は抜けるんですか?

放射線治療医

照射した場所の毛が抜けることがあります。
ただし抗がん剤と違い、
その部分だけの脱毛がほとんどです。

放射線治療では、治療した部位の毛が抜けることがあります。
「抗がん剤の脱毛」とは違い、照射された部分だけに起こる局所的な脱毛が特徴です。

多くの場合は数か月で再び生えてきますが、放射線の線量によっては永久的に毛が生えにくくなる場合もあります。

この記事では、

  • 放射線治療による脱毛の原因
  • どのくらいで生えるのか
  • 永久脱毛になるケース
  • 日常生活での対処法

を、国際的なガイドラインと医学研究に基づいて専門医が解説します。


関連記事

放射線治療の副作用全体を知りたい方はこちら

放射線治療の副作用まとめ


放射線治療で脱毛が起こる理由

患者

どうして放射線で毛が抜けるんですか?

放射線治療医

毛を作る細胞は分裂が活発なので、
放射線の影響を受けやすいんです。

放射線は細胞分裂が活発な細胞に影響を与えます。

毛を作る細胞(毛母細胞)は分裂が活発なため、放射線の影響を受けやすく、結果として毛が抜けることがあります。

ただし、抗がん剤と違い

  • 照射された範囲のみ
  • 局所的に起こる

という特徴があります。

例えば

照射部位起こる脱毛
脳腫瘍頭髪
頭頸部がんひげ
乳がん腋毛
骨転移その周囲

つまり、全身の毛が抜けることは通常ありません。

参考
American Cancer Society
https://www.cancer.org


抗がん剤の脱毛との違い

患者

抗がん剤みたいに全部の髪が抜けるんですか?

放射線治療医

いいえ。
放射線では当たった部分だけなので、
全身の毛が抜けることは通常ありません。

がん治療による脱毛には、

  • 抗がん剤による脱毛
  • 放射線治療による脱毛

の2種類があります。

特徴の違いは以下の通りです。

抗がん剤放射線
脱毛範囲全身照射部位のみ
脱毛開始2〜3週間2〜3週間
回復多くは回復回復することが多い
永久脱毛まれ高線量で可能性

つまり放射線治療では、全身の毛が抜けることは基本的にありません。


脱毛の範囲はどうやって決まる?

患者

どこまで髪が抜けるんでしょうか?

放射線治療医

基本的には放射線が当たった範囲だけです。
最近の治療では範囲もかなり小さくできます。

放射線治療で脱毛する範囲は、放射線が当たった範囲とほぼ一致します。

これは放射線が局所治療であるためです。

例えば

  • 脳腫瘍 → 頭の一部
  • 耳下腺腫瘍 → こめかみ周囲
  • 乳がん → 腋毛

など、照射された部分のみ脱毛が起こります。

現在の放射線治療では

  • IMRT
  • VMAT

などの技術により、正常組織への線量をできるだけ減らす工夫が行われています。

そのため、昔に比べると脱毛範囲は小さくなっています。


脱毛はいつから起こる?

患者

治療が始まるとすぐに髪が抜けますか?

放射線治療医

多くの場合、治療開始から2〜3週間後くらいで抜け始めます。

多くの場合

治療開始2〜3週間後

から脱毛が始まります。

これは、毛の成長サイクルが影響しています。

脱毛の経過は以下の通りです。

時期変化
治療開始2〜3週毛が抜け始める
治療終了時多くが脱毛
1〜3か月後再び毛が生え始める

ただし個人差があります。


毛は元に戻る?

多くの場合、治療終了後数か月で再び生えてきます。

しかし、以下の変化が起こることがあります。

  • 毛が細くなる
  • 色が変わる
  • カールする

これは毛根のダメージによるものです。

患者

抜けた髪はまた生えてきますか?

放射線治療医

多くの場合は数か月で生えてきます
ただし毛質が少し変わることがあります。


放射線の線量と脱毛の関係

患者

永久に生えないこともあるんですか?

放射線治療医

高い線量が当たると永久脱毛の可能性がありますが、
治療前に説明されることがほとんどです。

放射線治療による脱毛は、照射された放射線の線量(Gy)と強く関係しています。

一般的に以下のような傾向があります。

放射線量脱毛の可能性
約20Gy未満脱毛は軽度
20〜40Gy一時的脱毛
40Gy以上永久脱毛の可能性

ただし実際には

  • 照射範囲
  • 分割回数
  • 個人差

によっても変化します。

特に脳腫瘍や頭頸部がんの治療では、頭皮に高線量が当たるため、永久脱毛の可能性が説明されることがあります。

参考
European Society for Radiotherapy and Oncology (ESTRO)
https://www.estro.org


永久脱毛になることはある?

放射線の線量が高い場合、永久脱毛になることがあります。

特に

  • 頭頸部がん
  • 脳腫瘍

などで、高線量の放射線治療を受けた場合に起こる可能性があります。

研究では、

約40〜50Gy以上の照射で永久脱毛の可能性

が報告されています。

参考文献
International Journal of Radiation Oncology Biology Physics

https://www.redjournal.org

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放射線治療後に起こる可能性のある後遺症の全体像については、以下の記事でまとめて解説しています。

放射線治療後の後遺症まとめ|長期に残る症状を専門医が解説


脱毛が起きやすい治療

以下の治療で脱毛が見られることがあります。

脳腫瘍の放射線治療

頭皮の照射により

  • 部分的な脱毛
  • 永久脱毛

が起こる可能性があります。


頭頸部がんの放射線治療

  • ひげ
  • うなじ

などの脱毛が起こります。

関連
放射線治療による味覚障害
放射線治療による口の渇き
放射線治療による口内炎


乳がんの放射線治療

  • 腋毛
  • 胸部の体毛

が抜けることがあります。

ただし目立つことは少ない副作用です。


日常生活で気をつけること

患者

脱毛している間、
気をつけることはありますか?

放射線治療医

頭皮が敏感になるので、
紫外線対策と保湿を意識すると安心です。

脱毛自体は危険な副作用ではありませんが、頭皮は敏感になります。

以下を意識すると安心です。

頭皮の保護

  • 帽子
  • 日焼け対策
  • 保湿

を行いましょう。

頭皮の乾燥対策

使用する場合は

  • 刺激が少ないもの
  • アルコールが強すぎないもの

を選ぶと安心です。


刺激を避ける

以下は控えましょう。

  • 強いシャンプー
  • 強いブラッシング
  • パーマやカラー

低刺激シャンプー

脱毛している頭皮は敏感になりやすいため、刺激の少ないシャンプーを使うと安心です。

ポイント

  • 低刺激
  • 無香料
  • 保湿成分配合

などの製品が頭皮ケアには向いています。


ウィッグは必要?

基本的には

放射線治療のみでは広範囲脱毛は少ない

ため、ウィッグを必要とするケースは多くありません。

ただし

  • 脳腫瘍
  • 頭頸部がん

では部分ウィッグを使用することもあります。


患者

脱毛は怖い副作用ですよね…

放射線治療医

心配になりますよね。
ただ、放射線治療では多くの場合一時的な脱毛です。


専門医コメント

放射線治療による脱毛は、抗がん剤による脱毛とは異なり照射された部分だけに起こる局所的な副作用です。

多くの場合は数か月で再び毛が生えてきますが、高線量照射では永久脱毛になることがあります。

治療前に

  • 脱毛の範囲
  • 回復の可能性

を医師から説明されることが一般的です。不安がある場合は遠慮なく担当医に相談してください。

関連記事

放射線治療による皮膚症状については、以下の記事でまとめて解説しています。

放射線治療の皮膚症状まとめ


まとめ

放射線治療後の脱毛は比較的よく見られる副作用ですが、

  • 照射された部位のみ
  • 多くは数か月で回復

という特徴があります。

ただし高線量の場合には永久脱毛の可能性もあるため、事前に医師から説明を受けることが重要です。

副作用の全体についてはこちら

放射線治療の副作用まとめ


FAQ(よくある質問)

放射線治療で脱毛は必ず起こりますか?

必ずではありません。照射部位に毛がある場合のみ起こる可能性があります。

放射線治療の脱毛はいつから始まりますか?

多くの場合、治療開始から2〜3週間程度で脱毛が始まります。

放射線治療の脱毛は元に戻りますか?

多くの場合、治療終了後1〜3か月程度で再び毛が生え始めます。

永久脱毛になることはありますか?

高線量照射では永久脱毛になる可能性があります。

抗がん剤の脱毛とは違いますか?

抗がん剤は全身脱毛ですが、放射線は照射部位のみの脱毛です。

頭の放射線治療では必ず髪が抜けますか?

照射範囲に頭皮が含まれる場合には脱毛が起こる可能性があります。

毛が生えてきた後に変化することはありますか?

毛が細くなる、色が変わる、カールするなどの変化が起こることがあります。

シャンプーはしても大丈夫ですか?

優しいシャンプーであれば通常問題ありません。

帽子をかぶったほうがいいですか?

頭皮が敏感になるため、紫外線対策として帽子は有効です。

ウィッグは必要ですか?

放射線治療のみでは広範囲脱毛は少なく、必要ない場合が多いです。


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  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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