放射線治療で口内炎は起こる?症状・原因・治療・対策を専門医が写真で解説

2026年4月13日

患者

放射線治療を始めてから、
口の中が痛くて食べにくいんです…。
これって口内炎ですか?

放射線治療医

放射線治療や抗がん剤では口腔粘膜炎(口内炎)が起こることがあります。
症状の程度や対処法を、わかりやすく解説します。

放射線治療では、口の中の粘膜が炎症を起こして「口内炎(口腔粘膜炎)」が起こることがあります。
特に頭頸部がんの放射線治療
では比較的よく見られる副作用です。

口内炎が強くなると

  • 食事がとれない
  • 強い痛み
  • 感染リスクの増加

などにつながる可能性があります。

この記事では、放射線治療による口内炎の原因・症状・治療・予防法について、国際ガイドラインや研究をもとに放射線治療専門医の視点でわかりやすく解説します。

関連記事

なお、放射線治療の副作用全体については
放射線治療の副作用まとめ
で詳しく解説しています。


放射線治療による口や喉の副作用の全体像については、以下の記事でまとめて解説しています。

放射線治療の頭頸部の副作用まとめ


放射線治療による口内炎とは

患者

普通の口内炎と同じものなんですか?

放射線治療医

似ていますが、治療の影響で粘膜が傷つくことで起こる口内炎です。
範囲が広くなったり、痛みが強くなることがあります。

放射線治療による口内炎は、医学的には

放射線性口腔粘膜炎(Radiation-induced oral mucositis)

と呼ばれます。

放射線によって口の粘膜がダメージを受け、

  • 赤み
  • 腫れ
  • びらん
  • 潰瘍

などが起こる状態です。

特に以下の治療で起こりやすいことが知られています。

  • 頭頸部がんの放射線治療
  • 化学放射線療法(抗がん剤併用)

口内炎が起こる原因

患者

どうして治療で口内炎ができるんですか?

放射線治療医

放射線や抗がん剤はがん細胞だけでなく粘膜の細胞にも影響します。
そのため口の粘膜が傷つき、炎症が起こるのです。

放射線治療では、がん細胞だけでなく正常な粘膜細胞にも影響が及びます。

口の粘膜は

細胞の入れ替わり(ターンオーバー)が非常に早い組織

のため、放射線の影響を受けやすい特徴があります。

主なメカニズムは以下です。

  1. 粘膜細胞DNAの損傷
  2. 炎症反応の活性化
  3. 粘膜バリアの破壊
  4. 潰瘍形成

この過程は5段階の病態モデルとして説明されることもあります。


放射線治療の口内炎はいつからいつまで続く?

放射線治療による口内炎(口腔粘膜炎)は、治療開始後すぐに起こるわけではありません。
多くの場合、治療開始から約2〜3週間後に症状が出始めます。

一般的な経過は次のようになります。

口内炎の経過(目安)

時期症状
治療開始〜2週症状なし〜軽い違和感
2〜3週赤み・軽い痛み
4〜6週痛み・潰瘍(ピーク)
治療終了後徐々に改善
終了後2〜4週多くは回復

ただし次の場合は症状が強く長引くことがあります

  • 抗がん剤併用(化学放射線療法)
  • 高線量放射線治療
  • 栄養状態不良
  • 口腔衛生が悪い場合

頭頸部がんの化学放射線療法では、
治療終了後もしばらく症状が続くことがあります。

参考
MASCC/ISOO mucositis guideline
https://mascc.org


放射線治療の口内炎のピークはいつ?

放射線治療による口内炎の症状のピーク

治療開始から4〜6週頃

とされています。

これは、放射線によって粘膜細胞の再生が追いつかなくなるためです。

また患者さんによっては

治療終了後1〜2週間が最もつらい

と感じる場合もあります。

理由は次の通りです。

  • 累積放射線量が最大になる
  • 粘膜炎症が強くなる
  • 潰瘍が広がる

ただし多くの場合、

治療終了後2〜4週間で徐々に回復

していきます。

関連記事

※放射線治療の急性副作用について全体を知りたい方は
放射線治療の急性副作用まとめ|治療中〜治療後数週間の症状もご覧ください。


口内炎が起こりやすい放射線治療

口内炎は、すべての放射線治療で起こるわけではありません。

特に起こりやすいのは

頭頸部の放射線治療

です。

代表例

  • 舌がん
  • 咽頭がん
  • 口腔がん
  • 喉頭がん

これらでは

口腔粘膜が直接放射線を受けるため

口内炎が起こりやすくなります。


抗がん剤併用で口内炎は強くなる?

放射線治療に抗がん剤を併用する治療(化学放射線療法)では、口内炎が強くなる傾向があります。

代表的な薬剤

  • シスプラチン

これは

  • 粘膜細胞障害
  • 炎症反応増強

を引き起こすためです。

そのため

口腔ケアと栄養管理がより重要になります。


主な症状

患者

ただの口内炎なら大丈夫ですよね?

放射線治療医

軽い赤みだけのこともありますが、重くなると食事が難しくなることもあります。
症状の程度は段階(Grade)で分けられます。

放射線治療による口内炎では、以下の症状が起こることがあります。

  • 口の中の赤み
  • 強い痛み
  • 潰瘍
  • 食事時の痛み
  • 飲み込みにくさ
  • 味覚の変化
  • 出血

重症になると

  • 食事摂取困難
  • 体重減少
  • 治療中断

につながる場合があります。


口内炎の重症度分類

患者

口内炎にも重症度があるんですか?

放射線治療医

はい。医療ではGrade1〜4に分けて評価します。
どの程度の状態なのか、順番に見ていきましょう。

口腔粘膜炎は、一般的にCTCAEなどの基準で評価されます。

グレード状態
G1軽度の赤み
G2痛みがあり食事に影響
G3食事が困難
G4生命に関わる状態

頭頸部放射線治療では

グレード3以上が20〜40%

程度と報告されています。


Grade1の口腔粘膜炎(口内炎)の例

口の中の粘膜に軽い赤み(発赤)がみられる状態です。
潰瘍(えぐれた傷)はまだ形成されていません。

この段階では痛みはほとんどないか、あってもごく軽度で、
食事や会話などの日常生活には大きな支障はありません。

放射線治療や抗がん剤治療による口腔粘膜炎の初期の段階であり、
口腔ケアをしっかり行うことで悪化を防ぐことが重要です。


Grade2の口腔粘膜炎(口内炎)の例

口の粘膜に赤みや浅い潰瘍がみられ、食事のときに痛みを感じることがある状態です。
多くの場合、柔らかい食事であれば摂取可能ですが、辛いものや硬い食べ物は痛みを強めることがあります。適切な口腔ケアや痛みのコントロールにより、治療を継続できることが多い副作用です。


Grade3の口腔粘膜炎(口内炎)の例

口の中の粘膜に広い範囲の潰瘍(えぐれた傷)がみられる状態です。
粘膜は強い赤みや腫れ
を伴い、白っぽい潰瘍が複数形成されています。

この段階では痛みが強く
通常の食事(固形物)をとることが難しくなることがあります。

水分ややわらかい食事のみが可能になることも多く、
強い痛みに対する治療や口腔ケアが必要になる段階です。


患者

ここまでひどくなることもあるんですね…。

放射線治療医

必ずしもここまで進むわけではありません。
早めの口腔ケアで悪化を防ぐことが大切です。


口内炎で話しにくいときの対処法

患者

口内炎が痛くて、
話すのもつらいんですが…。

放射線治療医

粘膜が傷ついているため、発音するだけでも痛みが出ることがあります。
無理をせず、口の中を乾燥させないことが大切です。

口内炎ができると、舌や頬の粘膜が傷つくため、会話のときに痛みが出て話しにくくなることがあります。
特に放射線治療や抗がん剤治療による口腔粘膜炎では、粘膜の炎症が強くなるため、発音するだけでも痛みを感じることがあります。

話しにくいときは、次のような対処を行うことで症状を軽くできる場合があります。

無理に長く話さない

痛みが強いときは、会話を最小限にすることも大切です。
無理に話し続けると、粘膜への刺激が続き、症状が悪化することがあります。

水分で口の中を湿らせる

口の中が乾燥すると、粘膜の刺激が強くなります。
こまめに水やお茶を飲むことで、痛みが軽くなることがあります。

やわらかい食事を選ぶ

硬い食べ物は粘膜を刺激するため、
おかゆ、スープ、ヨーグルト、豆腐などのやわらかい食事がおすすめです。

痛みが強い場合は医療機関へ

痛みが強く、食事や会話が困難な場合は医療機関に相談しましょう。
痛み止めや口腔ケアの薬が処方されることがあります。

口腔保湿ジェル

口の乾燥や痛みがある場合は、
口腔保湿ジェルを使用すると症状が軽くなることがあります。


口内炎があるときに食べてはいけないもの

口内炎があるときは、粘膜を刺激する食べ物を避けることが重要です。

以下の食品は症状を悪化させる可能性があります。

避けた方がよい食べ物

  • 辛い食べ物(唐辛子、キムチなど)
  • 酸っぱい食べ物(柑橘類、酢)
  • 熱すぎる食事
  • 硬い食べ物(せんべい、ナッツ)
  • アルコール
  • 炭酸飲料

これらは

  • 粘膜刺激
  • 痛みの悪化
  • 潰瘍悪化

につながる可能性があります。


口内炎があるときのおすすめの食べ物

口内炎があるときは、柔らかく刺激の少ない食事がおすすめです。

食べやすい食品

  • おかゆ
  • やわらかいうどん
  • 豆腐
  • ヨーグルト
  • プリン
  • スープ
  • 茶碗蒸し
  • ポタージュ

ポイントは

やわらかい
冷たい〜ぬるい
刺激が少ない

食事です。

また

  • 栄養補助飲料
  • 高カロリーゼリー

なども役立つことがあります。


口内炎で食事がとれない場合の対処法

口内炎が強いと、食事摂取が難しくなることがあります。

その場合は次の方法を検討します。

栄養補助食品

  • 高カロリー飲料
  • 栄養ゼリー

食事形態の変更

  • ミキサー食
  • 流動食

医療的サポート

  • 栄養指導
  • 経管栄養

頭頸部がん治療では

栄養管理が非常に重要です。

体重減少は

  • 治療継続
  • 回復

に影響します。


治療・対処法

患者

痛いときは我慢するしかないんでしょうか?

放射線治療医

我慢する必要はありません。
痛み止めや口腔ケアの薬で症状を軽くできることがあります。

現在のところ

完全に予防できる方法は確立していません

が、以下の対策が推奨されています。

口腔ケア

最も重要な対策です。

  • 丁寧な歯磨き
  • 口腔洗浄
  • 歯科による管理

これは国際ガイドラインでも強く推奨されています。

参考
MASCC/ISOO mucositis guideline
https://mascc.org


うがい

以下がよく使用されます。

  • 生理食塩水
  • 重曹うがい
  • 保湿ジェル

刺激の強いうがい薬は避けることがあります。


痛み止め

痛みが強い場合は

  • アセトアミノフェン
  • NSAIDs
  • オピオイド

などを使用することがあります。


粘膜保護薬

以下の薬剤が使われることがあります。

  • アズレン含嗽液
  • 粘膜保護薬
  • 局所麻酔薬

栄養管理

口内炎が強い場合は

  • 軟らかい食事
  • 栄養補助食品
  • 経管栄養

などを検討することがあります。


口内炎が痛いときのセルフケア

口内炎の痛みを和らげるために、以下のセルフケアが推奨されます。

うがい

  • 生理食塩水
  • 重曹うがい

保湿

  • 口腔保湿ジェル
  • 人工唾液

口腔ケア

  • やわらか歯ブラシ
  • 定期的なうがい

痛み止め

  • アセトアミノフェン
  • 必要に応じて医療用鎮痛薬

国際ガイドラインでも

口腔ケアの継続

が最も重要な対策とされています。

ノンアルコールうがい薬

口内炎があるときは、
刺激の少ないノンアルコールタイプのうがい薬がおすすめです。

柔らかい歯ブラシ

口内炎があるときは、やわらかい歯ブラシを使用すると
粘膜への刺激を減らすことができます。

口腔ケアジェル


口内炎とうがい薬の注意

患者

うがい薬を使えば早く治りますか?

放射線治療医

種類によっては刺激が強くてしみることがあります。
口内炎があるときは、刺激の少ないものを選びましょう。

口内炎があるときは、うがい薬の使い方にも注意が必要です。
刺激の強いうがい薬を使うと、粘膜の炎症を悪化させることがあります。

刺激の強いうがい薬は避ける

アルコールを含むうがい薬は、口の中にしみて痛みが強くなることがあります。
口内炎があるときは、刺激の少ないうがい薬を選ぶことが大切です。

強くうがいしすぎない

強くうがいをすると、潰瘍部分に刺激が加わり、痛みや出血の原因になることがあります。
やさしく口をすすぐ程度にしましょう。

医療用うがい薬が処方されることもある

放射線治療や抗がん剤治療では、
炎症を抑えるうがい薬や口腔ケア薬が処方されることがあります。

症状が強い場合は、自己判断せず医療機関に相談することが大切です。

ノンアルコールうがい薬

口内炎があるときは、
刺激の少ないノンアルコールタイプのうがい薬がおすすめです。


口内炎が痛いときの歯磨きの方法

口内炎があっても、口腔ケアは非常に重要です。

歯磨きをやめてしまうと

  • 細菌増殖
  • 感染
  • 粘膜炎悪化

の原因になります。

推奨される歯磨き方法

歯ブラシ

  • 超やわらか歯ブラシ
  • 小さめヘッド

歯磨き粉

  • 低刺激タイプ
  • アルコールなし

歯磨きのポイント

  • やさしく磨く
  • 出血しても基本は継続
  • 1日2〜3回

強い痛みがある場合は

歯科医師に相談することが重要です。

柔らかい歯ブラシ

口内炎があるときは、やわらかい歯ブラシを使用すると
粘膜への刺激を減らすことができます。


予防法

以下の方法が推奨されています。

治療前の歯科評価

頭頸部放射線治療では

治療前の歯科診察

が重要です。


口腔ケアの徹底

  • 柔らかい歯ブラシ
  • 刺激の少ない歯磨き粉

を使用します。


刺激物を避ける

以下は悪化要因になります。

  • アルコール
  • 辛い食べ物
  • 熱すぎる食事
  • 喫煙

受診の目安

以下の場合は医療機関に相談してください。

  • 強い痛み
  • 食事が取れない
  • 発熱
  • 出血

感染を伴うこともあるため、早めの対応が重要です。


患者

口内炎があるときは、
どうすればいいですか?

放射線治療医

痛みを我慢せず、早めに医療スタッフに相談することが大切です。
適切なケアで症状を軽くできる場合が多いです。


専門医コメント

放射線治療による口内炎は、特に頭頸部がん治療ではほぼ避けられない副作用の一つです。

しかし現在は

  • 口腔ケア
  • 栄養管理
  • 痛みのコントロール

を適切に行うことで、多くの患者さんが治療を継続できるようになっています

重要なのは

症状を我慢せず早めに医療スタッフに相談すること

です。

歯科医師や栄養士と連携したチーム医療により、治療中の生活の質を保つことが可能です。

関連記事

放射線治療では、口や喉にさまざまな副作用が起こることがあります。
口内炎・味覚障害・口の渇き・嚥下障害など、頭頸部の副作用についての全体像は以下の記事でまとめて解説しています。

放射線治療の頭頸部の副作用まとめ


まとめ

放射線治療では、特に頭頸部治療で口内炎(口腔粘膜炎)が起こることがあります。

ポイントは次の通りです。

  • 治療開始2〜3週頃から出やすい
  • 口の痛みや潰瘍が起こる
  • 口腔ケアが最も重要
  • 痛み止めや栄養管理で対処可能

放射線治療の副作用全体については

放射線治療の副作用まとめ

も参考にしてください。


FAQ(よくある質問)

放射線治療で口内炎はどのくらいの頻度で起こりますか?

頭頸部がんの放射線治療では、軽度の口内炎は多くの患者さんで起こります。重症の口内炎は20〜40%程度と報告されています。

口内炎はいつから始まりますか?

一般的には治療開始後2〜3週間頃から症状が出始めます。

治療が終われば口内炎は治りますか?

多くの場合、治療終了後2〜4週間程度で改善していきます。

食事はどうすればよいですか?

柔らかい食事や刺激の少ない食事が推奨されます。

うがいは効果がありますか?

生理食塩水や重曹うがいなどは症状緩和に役立つことがあります。

口内炎は予防できますか?

完全な予防は難しいですが、口腔ケアや歯科管理でリスクを減らすことができます。

歯磨きはしてもよいですか?

はい。柔らかい歯ブラシで優しく行うことが推奨されます。

痛みが強い場合はどうすればよいですか?

医師に相談し、痛み止めや局所麻酔薬を使用することがあります。

口内炎で治療が中断されることはありますか?

重症の場合には治療スケジュールの調整が必要になることがあります。

受診が必要な症状は?

食事が取れない、強い痛み、発熱、出血などがある場合は医療機関に相談してください。


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  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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