放射線治療の急性副作用|治療中〜治療後数週間に起こる症状と対処法を専門医が解説

患者

放射線治療を始めたら、
疲れや食欲低下が出てきました。
これって大丈夫なのでしょうか?

放射線治療医

多くの場合、治療中〜数週間以内に起こる“急性副作用”です。
ほとんどは一時的で回復しますが、症状の種類や対処法を知っておくと安心です。

放射線治療では、治療中〜治療後数週間以内に現れる「急性副作用」があります。

多くは一時的で回復する症状ですが、治療部位や個人差によって様々な症状が起こる可能性があります。

この記事では、放射線治療の急性副作用の種類・原因・対処法について、国際ガイドラインと最新研究に基づいて専門医が解説します。

※放射線治療の副作用全体については
放射線治療の副作用まとめ をご覧ください。


放射線治療の副作用は「時間」で3つに分けられる

放射線治療の副作用は、発症する時期によって大きく3つに分類されます。

  • 急性副作用
    治療中〜治療後数週間以内
  • 晩期副作用
    治療後数ヶ月〜数年
  • 後遺症
    長期的に残る症状

急性副作用は細胞分裂の速い組織(皮膚・粘膜・消化管など)に起こりやすく、多くは時間とともに改善します。

参考

  • American Society for Radiation Oncology
  • National Comprehensive Cancer Network

患者

放射線治療の副作用って、
どんな症状があるのでしょうか?

放射線治療医

治療する部位によって違いますが、
倦怠感・吐き気・皮膚炎・口内炎などさまざまな症状があります。
まずは急性副作用を一覧で見てみましょう。


全身症状

放射線治療の疲労(倦怠感)

放射線治療の疲労(倦怠感)

放射線治療で最も多い副作用のひとつです。
治療期間中に徐々に強くなり、治療終了後数週間で回復することが多いとされています。


放射線宿酔

放射線宿酔

放射線照射後に

  • 倦怠感
  • 吐き気
  • 食欲低下
  • 軽い発熱

などが起こる症状です。

現在では照射技術の進歩により頻度は減少しています。


放射線治療による発熱

放射線治療による発熱

放射線による炎症反応で微熱〜発熱が起こることがあります。

ただし

  • 感染症
  • 腫瘍熱

との鑑別が重要です。


消化器症状

患者

治療中に食欲がなくなったり、
吐き気が出ることもあると聞きました。

放射線治療医

はい。特に腹部や骨盤の放射線治療では
食欲低下・吐き気・下痢などの消化器症状が出ることがあります。

放射線治療中の食欲低下

放射線治療中の食欲低下

食欲低下は

  • 倦怠感
  • 吐き気
  • 味覚障害

などと関連して起こります。


放射線治療による体重減少

放射線治療による体重減少

食欲低下や嚥下障害によって体重が減少することがあります。

特に

  • 頭頸部がん
  • 食道がん

では栄養管理が重要になります。


放射線治療の吐き気

放射線治療の吐き気

腹部・骨盤照射や脳照射で起こりやすい副作用です。

必要に応じて制吐薬が使用されます。


放射線治療の下痢

放射線治療の下痢

骨盤照射では腸管粘膜の炎症により下痢が起こることがあります。


放射線治療の腹痛

放射線治療の腹痛

腸炎や粘膜炎による腹痛が起こる場合があります。


放射線治療による便秘

放射線治療による便秘

便秘は

  • 活動量低下
  • 食事量低下
  • 鎮痛薬

などの影響で起こります。


泌尿器症状

放射線治療の頻尿

放射線治療の頻尿

膀胱への照射で

  • 頻尿
  • 尿意切迫

などが起こることがあります。


放射線治療の排尿痛

放射線治療の排尿痛

膀胱炎様の症状として排尿痛が出ることがあります。


口腔・咽頭症状

放射線治療の口内炎

放射線治療の口内炎

頭頸部照射では高頻度に発生します。

痛みが強く、食事摂取に影響する場合があります。


放射線治療の味覚障害

放射線治療の味覚障害

味覚細胞の障害により味を感じにくくなります。


放射線治療の嚥下障害

放射線治療の嚥下障害

咽頭や食道の炎症によって飲み込みにくくなることがあります。


食道症状

放射線治療の食道炎

放射線治療の食道炎

胸部放射線治療でよく見られる副作用です。

  • 食事時の痛み
  • つかえ感

が起こることがあります。


皮膚症状

患者

放射線を当てた場所の皮膚が赤くなることはありますか?

放射線治療医

あります。これは放射線皮膚炎と呼ばれる症状で、
治療中によく見られる急性副作用のひとつです。

放射線皮膚炎

放射線皮膚炎

照射部位の皮膚に

  • 赤み
  • 乾燥
  • びらん

が起こることがあります。


放射線治療のかゆみ

放射線治療のかゆみ

皮膚炎に伴ってかゆみが生じる場合があります。


神経・脳症状

放射線治療による頭痛

放射線治療による頭痛

脳照射では

  • 脳浮腫
  • 炎症

などにより頭痛が起こることがあります。


放射線治療によるめまい

放射線治療によるめまい

脳照射や内耳近くの照射で発生することがあります。


呼吸器症状

放射線治療後の咳

放射線治療後の咳

胸部照射では

  • 気道刺激
  • 軽度の炎症

により咳が出ることがあります。


急性副作用はなぜ起こるのか

急性副作用の主な原因は

正常組織の細胞分裂への影響です。

特に以下の組織で起こりやすくなります。

  • 皮膚
  • 消化管
  • 粘膜
  • 骨髄

これは放射線の作用機序によるものであり、多くは組織の再生により回復します。


患者

急性副作用が出たら、
放射線治療は続けられるのでしょうか?

放射線治療医

多くの場合、症状をコントロールしながら治療を継続できます。
最近は放射線治療技術も進歩しており、副作用は以前より軽減しています。


専門医コメント

急性副作用は、放射線治療では比較的よく見られる反応ですが、ほとんどの場合は治療終了後数週間以内に改善します。

最近では

  • IMRT
  • IGRT
  • 粒子線治療

などの技術の進歩により、正常組織への線量を減らすことができ、急性副作用は以前より軽減しています

一方で、症状が強い場合や長く続く場合には

  • 感染症
  • 他の疾患
  • 晩期副作用

の可能性もあるため、必ず主治医に相談することが重要です。


まとめ

放射線治療の急性副作用には

  • 倦怠感
  • 吐き気
  • 食欲低下
  • 皮膚炎
  • 口内炎

など様々な症状があります。

しかし多くの場合は

治療終了後数週間以内に回復します。

症状が強い場合でも、薬や生活管理で改善できることが多いため、無理をせず主治医に相談しましょう。

放射線治療の副作用について詳しく知りたい方は

放射線治療の副作用まとめ


FAQ(よくある質問)

放射線治療の急性副作用とは何ですか?

治療中から治療後数週間以内に起こる副作用で、倦怠感・吐き気・皮膚炎などが代表的です。

急性副作用はどのくらい続きますか?

多くは治療終了後数週間以内に改善します。

急性副作用は必ず起こりますか?

個人差があり、ほとんど症状が出ない患者さんもいます。

放射線治療の倦怠感はなぜ起こりますか?

炎症反応や体のエネルギー消費の増加などが原因と考えられています。

吐き気はどの治療で起こりやすいですか?

腹部・骨盤照射や脳照射で起こることがあります。

食欲がなくなったときはどうすればいいですか?

少量ずつ食べる、栄養補助食品を利用するなどの方法があります。

放射線皮膚炎はどう対処すればいいですか?

保湿や刺激を避けることが重要です。

咳が出るのは正常ですか?

胸部照射では軽い咳が出ることがありますが、続く場合は相談してください。

発熱が出た場合はどうすればいいですか?

感染症の可能性もあるため医療機関へ相談してください。

急性副作用は後遺症になりますか?

通常は回復しますが、まれに晩期副作用につながる場合があります。


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  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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