週1回、合計5回照射は乳癌術後の放射線治療として有効か?

目次

1:乳房温存術後の放射線治療
2:週1回の寡分割照射の有効性
3:まとめ
4:参考文献

乳房温存術後の放射線治療

乳癌に対する温存術後の放射線治療において、標準治療的なのは25回照射です。

最近では1回線量を増やして治療期間を短縮する寡分割照射も一般的になってきており、16回で治療する病院も増えてきました。

これらの治療は通常、土日を除く毎日治療を行うため、25回照射で5週間、16回照射で3週間の間、毎日病院に通う必要があります。

放射線治療が可能な病院が近くにあれば特に問題ありませんが、過疎地域のように、通院可能圏内に放射線治療施設が無い場合は術後の放射線治療を行う際に毎日の通院は大きなハードルとなります。

ひとつの選択肢としては病院の近くで宿泊施設などに泊まりながら、通院する方法が考えられますが、仮に3週間で治療を行うとしても費用がバカになりません。

週1回の寡分割照射の有効性

今回紹介する研究では、週に1回の照射を合計5回、5週間かけて行う治療の有効性の検討です。

5週間かかりますが、治療じたいは週1回なので、毎日通うことに比べると負担はだいぶ少なくなると思われます。

この研究では28.5~30Gyを5回にわけて照射を行い、その後の再発率について検討を行っています。

約150例を対象として、観察期間中央値で5.5年、経過観察を行いました。

5年、7年、10年での再発率は、それぞれ2.7%、4.7%、7.2%でした。

これらの結果は標準的な25回治療や、寡分割照射である16回治療と遜色ない結果でした。

まとめ

週1回の合計5回照射は、乳癌の温存術後に対する一つの選択肢になり得ると考えます。

特に、毎日の通院が困難な過疎地などにおいては充分に考慮する余地があります。

通院困難のために放射線治療をあきらめるよりは、週1回で治療を行ったほうがはるかに有益であると考えられます。

ただ、日本の場合はどのような治療においても保険の縛りがあるため、このような治療を行った場合、病院が赤字になってしまう可能性もあることに注意が必要です。

有効な治療法があるにも関わらず、保険の縛りから治療を諦めなければならないという状況が避けられるようになれば良いと思います。

参考文献

Final Analysis of a Phase 2 Trial of Once Weekly Hypofractionated Whole Breast Irradiation for Early-Stage Breast Cancer

Affiliations

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