局所進行直腸癌に対する術前の短期放射線治療
目次
1:直腸癌術前における短期照射
2:短期照射の有用性
3:まとめ
4:参考文献
直腸癌術前における短期放射線治療
前回の記事では、局所進行直腸癌における術前の化学放射線療法について紹介しました。
前回の紹介した研究では、放射線治療は50.4Gyを28回にわけて照射していました。
今回紹介するのは、この術前照射を25Gyを5回にわけて、短期的に照射した研究です。
短期照射群では5Gy×5回の照射を行ったあとにFOLFOXを3サイクルで投与しています。
対照群として、従来の50.4Gy照射と5-FUおよびOxaliplatinの併用を行った群で比較しています。
短期照射の有用性
結果として、急性期の副作用は、短期照射群で少ない傾向でした。
これは乳癌の寡分割照射でもそうなのですが、短期照射のほうが、仮に1回線量が強くても急性期の副作用は少なくなる傾向にあるようです。
完全切除率は短期照射群で77%、通常照射群で71%と有意な差はありませんでした。
切除標本の顕微鏡検査における腫瘍の消失率は、短期照射群で16%、通常照射群で12%でこちらも有意な差はありませんでした。
手術後の晩期有害事象についても両群で有意な差は見られませんでした。
また、最終的な無病生存率についても両群間での有意な差はありませんでした。
まとめ
局所進行直腸癌の術前照射における短期照射は、従来の照射と比較して、急性期の副作用が少ない傾向でした。
腫瘍制御や最終的な生存率については短期照射と従来の照射で有意な差は見られませんでした。
局所進行直腸癌の術前照射において、短期照射はひとつの有効な選択肢と考えられます。
参考文献
Long-course preoperative chemoradiation versus 5 × 5 Gy and consolidation chemotherapy for clinical T4 and fixed clinical T3 rectal cancer: long-term results of the randomized Polish II study
- PMID: 31192355
- DOI: 10.1093/annonc/mdz186
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