前立腺癌の放射線治療後再発におけるサイバーナイフという選択肢
目次
1:前立腺癌の放射線治療後再発
2:前立腺癌の再発に対するサイバーナイフ治療
3:まとめ
4:参考文献
前立腺癌の放射線治療後再発
前立腺癌の治療はさまざまな選択肢があります。
大きなものでは手術、放射線治療、ホルモン療法でしょうか。
ステージや全身状態にあわせて、上記の選択肢の中から治療を選んでいく形になります。
放射線治療は転移が存在しないのであれば、基本的にどのステージであっても有効性のある治療法です。
いっぽうで放射線治療後に再発した場合には治療選択肢が限られるという問題があります。
これは、放射線治療を行うと、放射線の影響で前立腺の周囲組織に癒着が起こるため、仮に再発した場合に手術での切除が困難になるためです。
このため、前立腺癌の放射線治療後の再発では、手術は選択されず、ホルモン治療を選択されることがほとんどです。
前立腺癌の再発に対するサイバーナイフ治療
今回紹介するのは、そのような前立腺癌に対して放射線治療を行った後に再発した症例に対して、サイバーナイフを用いて治療を行った研究です。
サイバーナイフとは上の写真にあるようなロボットアームを用いて、多方向から複雑に放射線を照射することのできる機械のことです。
このサイバーナイフを用いて、小線源治療のような線量分布になるように工夫して治療を行っています。
小線源治療とは体の中に一時的に放射線を発する線源を挿入する治療法のことで、体の内部から放射線を当てることができるため、腫瘍には十分に放射線を照射しつつ、正常組織の線量を減らすことができるものです。
今回紹介する研究では50例を対象として、放射線治療から2年以上経過した症例としています。
症例は、最初の放射線治療において、中央値で75.6Gyが照射されており、再発までの期間は中央値で8年でした。
2回目の治療では、サイバーナイフを用いて、小線源治療のような線量分布で、1回6.8Gyを5回、計34Gyが照射されています。
治療後5年間の非再発生存率は60%でした。
また副作用についてはGrade3以上の泌尿器系副作用が8%に見られ、消化管については大きな副作用は見られませんでした。
まとめ
前立腺癌の放射線治療後再発に対する治療は、現時点ではホルモン治療に選択肢が限られています。
今回、放射線治療後再発に対して、サイバーナイフを用いた照射が充分に有効であり、副作用も許容範囲内であったという研究を紹介しました。
サイバーナイフはどこの施設でも受けられるという治療ではありませんが、放射線治療後再発のひとつの選択肢になれば予後の改善やQOLの改善に結び付くと期待されます。
参考文献
Retreatment for Local Recurrence of Prostatic Carcinoma After Prior Therapeutic Irradiation: Efficacy and Toxicity of HDR-Like SBRT
- PMID: 31629838
- DOI: 10.1016/j.ijrobp.2019.10.014
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