放射線治療における電力消費を考える
まとめ
解説
放射線治療、なかでも粒子線治療は電力消費が莫大であるというのは以前から言われていた。
昨今では、ウクライナにおける状況もあり、日本でも電力のひっ迫は常に叫ばれているところである。
電気代じたいもあがっており家計への大きな重しとなっている。
今回は放射線治療にまつわる電力に関して少し書いてみたいと思う。
特に粒子線治療に関してはデータが詳細には見つけられなかったので、以下のサイトを参考にした(リンク先はPDFデータ)。
これによると主な診療機器の消費電力は、一般的なレントゲン撮影装置で1.3kW、PETやCT、MRIで10kW程度となっている。
また一般に普及している放射線治療装置であるリニアックではおよそ30kW程度のようである。
いっぽうで、粒子線治療のひとつである重粒子線治療装置ではなんと消費電力が3000kWとなっている。
これは一般的な放射線治療装置の約100倍の消費電力である。
上のリンク先では、病院全体の消費電力と重粒子線治療装置の消費電力が同等であったと記載されている。
粒子線治療じたいは現在普及しているリニアックと比較して優れている部分もあり、リニアックでは治療成績の悪い癌腫にたいしても適応のある治療方法であるが、上記のように電力消費という面では非常に大きなデメリットを抱えていると言える。
特に、近年のエネルギー事情を考えると、膨大な電力を消費する治療装置がどこまで必要なのか、費用対効果という面でも議論されていくであろう。
昨今叫ばれるSDGsという観点からも、膨大な電力消費は望ましいとは言えない。
今後、粒子線治療が普及するためにはいかに電力消費を抑えた治療装置を実現するかということが非常に重要であると考える。
参考文献
リンク先はPDFファイル
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