【2026年最新】頭頚部癌の放射線治療最前線|上咽頭癌・中咽頭癌・下咽頭癌・喉頭癌を専門医が徹底解説
頭頚部癌は、
上咽頭癌
中咽頭癌
下咽頭癌
喉頭癌
などを含む疾患群です。
放射線治療はこの領域において極めて重要な治療法です。
近年は 定位照射・MRI活用・再照射戦略・線量増加・照射範囲の最適化 など、多くの進歩が見られています。
本記事では、最新研究をもとに専門医の視点で解説します。
① 喉頭癌に対する定位照射は安全か?
通常治療の課題
早期喉頭癌では放射線治療が選択されることが多いですが、
通常は約30回の通院
長期間の治療が必要
という負担があります。
欧米では通院距離の問題から、短期間で終わる手術が選択されることもあります。
定位照射という選択肢
定位照射では
▶ 1回あたりの線量を増やし
▶ 短期間で治療を終える
ことが可能です。
しかし、最近報告された2つの研究では結果が分かれました。
副作用が強く中止された研究
→ 喉頭全体を照射範囲に含めていた
副作用が許容範囲だった研究
→ 腫瘍部位のみに限定照射
重要なポイント
照射範囲を広げすぎないこと
喫煙への配慮(可能なら禁煙)
喫煙は放射線治療の副作用を増強します。
まとめ
喉頭癌への定位照射は有望ですが、
照射範囲と喫煙管理が極めて重要です。
② 上咽頭癌とMRI活用の進歩
上咽頭癌は比較的まれで、中国に多い地域性のある癌です。
多くは化学放射線療法で治療されます。
DWI(拡散強調画像)の活用
DWIは
水分子の動きを評価
腫瘍の悪性度を反映
するMRI画像です。
研究では、
DWIを使って治療計画を立てた群(130例)
通常計画群(130例)
を比較。
結果(2年評価)
DWI群は
✔ 局所制御率が良好
✔ 生存率も有意に向上
なぜ重要か?
上咽頭は頭蓋底近くにあり、
再発後の手術は非常に困難です。
→ 初回治療での制御向上は大きな意義
PETとの併用
MRIやPETは
腫瘍の形だけでなく
活性度や悪性度も評価可能
CT単独では得られない情報を補完します。
まとめ
上咽頭癌では
MRIやPETを併用することで治療成績向上が期待されます。
③ 頭頚部癌の再照射という難題
放射線治療後の再発は珍しくありません。
しかし再照射は困難です。
なぜ難しい?
初回で高線量を照射済み
合計線量が組織耐容を超える
重篤な副作用のリスク
再照射の基本原則(頭頚部)
複数医師・施設での検討
予後を十分評価
切除可能なら手術優先
手術拒否時のみ再照射検討
切除可能例で化学療法単独は推奨されない
術後再照射は慎重に検討
切除不能例では60–70Gy推奨(化学療法併用考慮)
予防的リンパ節照射は省略推奨
過分割照射は考慮可
定位照射の優位性は現時点で確立せず
【図解】再照射判断フロー
再発確認
↓
切除可能?
├─ YES → 手術優先
└─ NO
↓
予後は期待できる?
├─ NO → 緩和治療
└─ YES
↓
再照射検討(60–70Gy or 定位照射)
↓
リスク説明(特に頸動脈破裂)
④ 再照射における定位照射の線量
再発時の選択肢として定位照射があります。
推奨線量
5回照射で
35–45Gy程度
30Gy以下より局所制御が良好でした。
重大なリスク
- carotid blowout(頸動脈破裂)
→ 10–20%で発生報告
→ 致死的合併症
十分な説明が必要です。
⑤ リンパ節転移数は予後を左右する
950例の解析では、
転移数が増えるほど
全生存率・無再発生存率が低下
重要な分岐点
5個以下 → 比較的良好
6個以上 → 予後不良
遠隔転移も増加傾向。
まとめ
リンパ節転移数は
頭頚部癌の重要な予後因子です。
⑥ 転移を有する上咽頭癌への根治的治療
通常、転移がある場合は緩和治療が基本です。
しかし研究では、
化学療法のみ
化学療法+根治的放射線
を比較。
■ 結果
放射線追加群で予後改善。
ただし重要な点
予後悪化因子:
LDH高値
転移数
肝転移
EBV-DNA量
治療反応
ハイリスク群では放射線の効果は乏しく、
低リスク群で効果が大きい。
⑦ 線量増加試験の結果
通常:70Gy/35回
増量群:80Gy/35回
結果
2年非再発生存率
48% → 57%(有意差なし)局所再発率
40% → 18%(有意に改善)
副作用
自覚症状差なし
一時的な栄養チューブ増加
1年後は全例不要
考察
局所制御は改善。
しかし生存率改善には遠隔転移制御が必要。
⑧ 全頸部照射 vs 片側照射
頭頚部癌では通常、両側頸部照射が標準。
しかし副作用も増加します。
400例超の比較
3年非再発生存率
片側:97.7%
両側:96.3%
→ 有意差なし
■ 副作用
片側照射で減少:
甲状腺機能低下
皮膚障害
嚥下障害
QOL指標改善
✔ まとめ
適切な症例選択により
片側照射でQOL改善が期待可能
総まとめ|頭頚部癌治療の現在地
現在の頭頚部癌治療は
定位照射の応用
MRI・PETの活用
再照射戦略の洗練
線量増加の検討
照射範囲の最適化
という方向へ進化しています。
特に
✅ 上咽頭癌ではMRI活用が鍵
✅ 喉頭癌では定位照射が研究段階
✅ 再照射は慎重な判断が必須
✅ リンパ節転移数は重要な予後因子
✅ 片側照射はQOL向上の可能性
今後さらにエビデンスが積み上がることで、
より個別化された治療が実現すると期待されます。
頭頸部がんの放射線治療における副作用はこちら
頭頸部がんの放射線治療でよくみられる副作用である口渇や味覚障害、QOL低下などについて詳しくまとめています。
放射線治療の費用が気になる方は
それぞれの疾患についての費用をまとめています。
費用を決める要素は何なのかを解説。
放射線治療の期間が気になる方は
疾患ごとに想定される治療期間を解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 頭頚部癌の放射線治療は何回くらい必要ですか?
通常は約30~35回です。ただし定位照射では短期間で終了する可能性があります。
Q2. 上咽頭癌ではなぜMRIが重要なのですか?
MRIのDWI画像により悪性度の高い領域を特定でき、治療効果の向上が期待されるためです。
Q3. 再照射は危険ですか?
初回治療より副作用リスクは高く、特に頸動脈破裂など致死的合併症に注意が必要です。
Q4. リンパ節転移が多いと治療は変わりますか?
6個以上では予後不良とされ、より慎重な治療戦略が検討されます。
Q5. 両側頸部照射は必ず必要ですか?
症例を適切に選べば片側照射でも治療成績は同等で、副作用軽減が期待できます。ただし、現時点での標準治療は両側照射です。
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