患者の意思決定に影響する要素①

目次

1:選択に関する心理学的研究
2:選択に影響する要素
3:まとめ
4:参考文献

選択に関する心理学的研究

がん治療において、患者はどのように治療選択を行うのかという話題です。

今回の内容はより心理学的な側面から分析した内容になります。

最近の心理学の研究の結果、人間が物事を判断する際には、直感的になされる早い判断と、論理的な思考のもとになされる遅い判断があることが分かってきました。

その辺の心理学的な内容については以下の本に詳しいです。

速い判断は日常的に繰り返される事項に対して用いられるプロセスであり、瞬時に判断が下されますが、先入観やバイアスといった要素が入りやすいものになっています。

遅い判断はより論理的思考をもとになされるプロセスであり、治療方針の決定などの重要な判断においては主にこちらが用いられます。

選択に影響する要素

実際の治療方針の決定の際には、医療者側から患者に対して、治療内容の情報が提示されます。

提供される情報は基本的に研究結果をもとに示されますが、注意が必要なのは、どのような治療であっても必ず正しいというものは無いということです。

簡単に言えば、ある研究ではAの治療が優れているという結果が出ていても、別の研究ではBの方が優れているという結果が出るような場合です。

あるいは一つの研究の結果の解釈でも、Aという治療法が優れているという結果と、Aという治療法の副作用が多いという、両方の結果が混在するような場合があります。

このようなケースの場合には、治療法を誰が説明するのか、あるいは患者自身がどのように解釈するかで、選択が大きく変わってきます。

また、治療法の選択の際には、ヒューリスティック、心理学的には発見的手法、と言われる要素が影響する場合があります。

これは、経験や先入観にもとづいて判断を行うもので、素早い判断が可能ですが、経験にもとづくため、バイアスが入る要素でもあります。

仮に、医師がAという治療法に負の先入観を持っている場合、治療選択を提示する際に、意識せずにAの治療法を避けるように提示する可能性もあります。

その他の要素としてはコンフォーミティというものがあります。

これは簡単に言ってしまえば、大多数の意見に同調して物事を決定することを指します。

日本人であれば少なからず思い当たる節があるかもしれませんが、なぜ並んでいるかは分からないけれども、列に並んでしまうようなものです。

ある研究では、100%間違えていると思われるような選択肢でも、仮に自分以外の人が全員その間違った選択をした場合、35%の人は間違っている選択肢を選んでしまうという結果が出ています。

人間の選択というのはそれだけあいまいであり、多くの要素によって流されてしまうということです。

まとめ

がん治療において選択をせまられる場面というのは非常に多いです。

そういった状況において、自分では適切に選択していると思われるような場合でも、実はさまざまな要素によって、選択の過程が影響されていることがあります。

どのような要素が選択に影響するのか、よく把握して冷静に判断していく必要があります。

参考文献

The Fallacy of the Consultation and Informed Consent Process in Radiation Oncology Through the Lens of Prostate Cancer

Affiliations

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