がん治療中の運動は本当に効果がある?最新研究からわかるメリットと注意点

2026年2月15日

運動は日常生活の大きな要素のひとつですが、実はがん治療中にも重要な役割を持つ可能性があることが分かってきています。

しかし現実には、
「がん治療中に積極的に運動を勧められることは少ない」
と感じている方も多いのではないでしょうか。

実際には、これまでに多くの研究で運動療法の効果が報告されています。
この記事では、それらの研究をまとめたシステムレビューをもとに、がん治療における運動の役割を分かりやすく解説します。

がん治療中の運動療法とは?

運動療法とは、
単なる「体を動かすこと」ではなく、

✔ 体力の維持
✔ 副作用の軽減
✔ 精神状態の改善
✔ 生活の質(QOL)の向上

を目的として行う治療サポートの一つです。

運動療法の効果(システムレビューの結果)

あるシステムレビューでは、
26の研究、約1500例を対象に運動療法の効果が評価されています。

その結果、運動には以下のようなメリットがあることが報告されています。

① QOL(生活の質)の改善

運動によって、日常生活の満足度が改善することが確認されています。

② 疲労感の軽減

がん治療中に多くの患者さんが悩む「がん関連疲労」が軽減される可能性があります。

③ 気分不良・抑うつの改善

適度な運動は抑うつなどの気分障害を改善することが報告されています。

④ 不安の軽減

運動が精神的ストレスの軽減に寄与する可能性があります。

⑤ 身体機能の改善

筋力や体力の向上が期待でき、日常生活動作の維持につながります。

なぜ運動が効果を持つのか?

運動による効果の理由として、いくつかのメカニズムが考えられています。

抗炎症作用

適度な運動には抗炎症作用があり、
腫瘍や治療による炎症反応を軽減する可能性があります。

ランダム化比較試験では、
運動が全身の炎症反応を有意に低下させ、

・疼痛
・不安
・抑うつ
・疲労感

などの症状を改善したという報告があります。

体力・筋力の維持

筋肉量の低下を防ぐことで、体力を維持しやすくなります。

精神面への影響

運動は心理的な回復力を高める可能性があり、
治療への前向きな姿勢につながることもあります。

放射線治療中に運動が重要な理由

放射線治療を受ける患者さんの多くは、
精神的なストレスや不安を抱えていることが少なくありません。

そのため、運動療法は
身体面だけでなく精神面でも重要な役割を持つ可能性があります。

また、治療期間中に体力が低下することは珍しくありません。

特に高齢者では、

・筋力低下
・活動量の低下
・寝たきりのリスク

が高まる可能性があります。

運動は、
治療後の生活の質を守るためにも重要と考えられています。

どのような運動が効果的なのか?

現時点では、
「最も効果的な運動の種類」は明確には分かっていません。

理由として、

・年齢
・性別
・がんの種類
・治療内容
・これまでの運動習慣

などによって最適な方法が異なる可能性があるためです。

研究で実際に行われていた運動

レビューに含まれていた研究では、以下のような運動が行われていました。

① レジスタンス運動

筋肉に負荷をかけるトレーニングです。


・スクワット
・ダンベル
・筋力トレーニング

個人に合わせて負荷を調整できることが特徴です。

② 有酸素運動(エアロビクス)

心肺機能の向上を目的とした運動です。


・ウォーキング
・軽いジョギング
・自転車

③ ヨガ

柔軟性や精神面への効果が期待されます。

④ その他の運動

運動の時間・頻度・期間

研究における中央値は以下の通りです。

・1回:約0.8時間
・頻度:週3回
・期間:約8週間

負荷の割合
・低負荷:約35%
・中等度:約54%
・高強度:約11%

多くの研究で中等度の負荷が採用されていました。

何から運動を始めれば分からない人へ

「運動が大切」と言われても、何から始めればいいのか分からない方は多いと思います。
そのような方には、リハビリでも使われているトレーニングチューブがおすすめです。

強さを調整できるため、がん治療中でも無理なく筋力を維持できます。
自宅で安全に始められる点も大きなメリットです。

参考:TheraBand セラバンド

がん治療における運動のメリット

心肺機能の改善

体力が向上し、日常生活が楽になります。

筋力の改善

筋肉量の低下を防ぐ効果が期待されます。

副作用の軽減

特に前立腺がん治療では、尿路系の副作用の軽減が報告されています。

前立腺がん治療と運動

前立腺がんの放射線治療においても、運動は重要です。

肥満と予後

肥満は前立腺がんの予後を悪化させる因子です。

また、肥満は以下の疾患を増加させます。

・心筋梗塞
・狭心症
・糖尿病

糖尿病は放射線治療の副作用を悪化させる可能性があります。

放射線治療と体格の関係

体の深部に十分な放射線を届けるためには、
肥満の患者さんではより強い放射線が必要になります。

その結果、

・周囲組織への影響
・副作用の増加

が起こる可能性があります。

ホルモン治療と肥満

前立腺がんではホルモン治療が併用されることがあります。

ホルモン治療により、

・体脂肪の増加
・体重増加

が起こりやすくなります。

そのため運動は、
副作用対策としても重要と考えられています。

前立腺癌の放射線治療における副作用の記事はこちら

前立腺癌の放射線治療中の副作用を分かりやすく解説しています。

メンタル面へのメリット

運動には心理的な効果も期待されています。

・ストレス軽減
・気分の改善
・治療への前向きな姿勢

これらは生活の質に大きく影響します。

まだ分かっていないこと(今後の課題)

運動の有効性は多く報告されていますが、

・どの患者に最も効果があるか
・最適な運動の種類
・適切な強度
・長期的な予後への影響

などについては、まだ十分なエビデンスが蓄積されていません。

今後の研究が期待されています。

がん治療中の運動による主な効果まとめ

効果の種類具体的なメリット特に効果が期待される人
QOL改善日常生活の満足度が向上すべてのがん患者
疲労軽減がん関連疲労の改善抗がん剤・放射線治療中
精神面不安・抑うつの軽減ストレスが強い人
身体機能筋力・体力の維持高齢者
炎症抑制痛みや倦怠感の軽減慢性的な症状がある人
心肺機能体力・持久力向上活動量が低下している人
副作用軽減尿路・代謝系の改善前立腺がん治療
肥満改善心血管疾患リスク低下体重増加がある人
生活自立寝たきり予防高齢者・体力低下例

まとめ

がん治療中の運動には、

✔ QOLの改善
✔ 疲労の軽減
✔ 不安・抑うつの改善
✔ 体力の維持
✔ 副作用の軽減

など多くの可能性が示されています。

最適な方法は個人によって異なるため、
主治医と相談しながら無理のない範囲で行うことが重要です。

運動は、
がん治療を支える重要な要素のひとつと言えるでしょう。

放射線治療の費用、期間、副作用の記事はこちら

  • 放射線治療の費用

  • 放射線治療の期間

  • 放射線治療の副作用(まとめ)

がん治療と運動 FAQ

Q1. がん治療中に運動しても大丈夫ですか?

多くの場合、無理のない範囲での運動は安全とされています。体調や治療内容によって制限があることもあるため、必ず主治医に相談したうえで行うことが重要です。

Q2. がん治療中の運動にはどんな効果がありますか?

生活の質(QOL)の改善、疲労の軽減、不安や抑うつの改善、筋力や体力の維持などが報告されています。また、炎症を抑える効果も期待されています。

Q3. どのような運動が推奨されていますか?

ウォーキングなどの有酸素運動、筋力トレーニング、ヨガなどが研究で多く用いられています。ただし最適な方法は個人差があるため、体調に合わせて選ぶことが重要です。

Q4. 運動は放射線治療中にも効果がありますか?

精神面の安定や体力維持に役立つ可能性があります。特に高齢者では、筋力低下や寝たきり予防の観点からも重要と考えられています。

Q5. 前立腺がん治療中の運動のメリットは?

肥満の改善や心血管疾患の予防、尿路系副作用の軽減などが期待されます。またホルモン治療による体重増加の対策にも役立ちます。

Q6. どれくらいの頻度で運動すればよいですか?

研究では週3回、1回30〜60分程度の中等度の運動が多く行われています。ただし体調に応じて調整することが大切です。

Q7. 運動はがんの再発予防にも効果がありますか?

一部のがんでは予後改善や再発リスク低下の可能性が示唆されていますが、まだ十分なエビデンスはありません。今後の研究が期待されています。

参考文献

Exercise Therapy and Radiation Therapy for Cancer: A Systematic Review

Affiliations

Exercise: A Treatment That Should Be Prescribed With Radiation Therapy

Affiliations

Effects of Exercise During Radiation Therapy on Physical Function and Treatment-Related Side Effects in Men With Prostate Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis

Affiliations

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