がん治療において運動(エクササイズ)の有効性は無視できない

目次

1:がん治療と運動(エクササイズ)
2:がん治療における運動のメリット
3:参考文献

がん治療と運動(エクササイズ)

運動が健康を維持するうえで重要な因子であることを疑う人はいないと思います。

そして、運動の重要性はがん治療においても同様です。

運動によるメリットは様々です。

大きいものでは、心肺機能の強化、筋肉運動の改善、また前立腺癌治療においては尿路系の副作用の低減が挙げられます。

運動、エクササイズじたいは決して新しい概念ではありません。

しかしながら、がん治療の領域において、そこまで重要視されてこなかったという側面があります。

がん治療における運動のメリット

前立腺癌の放射線治療においても運動は様々なメリットがあります。

肥満じたいが前立腺癌の予後を悪化させる因子です。

肥満に伴い、心血管系の疾患が増えます。

具体的には心筋梗塞や狭心症といった致死的な疾患などです。

肥満に伴う因子としては糖尿病も挙げられますが、糖尿病は放射線治療の副作用を悪化させる因子でもあります。

また、放射線治療の特性上、体の深部に十分な放射線をあてるためにはそれなりに強い放射線が必要となってきます。

つまり、肥満の人を照射する場合は、やせている人を照射するときよりも強い放射線が必要になるわけです。

強い放射線を使えば、周囲にも強い放射線があたるため、放射線に伴う副作用も強くなってしまいます。

更には、前立腺癌治療の際にはホルモン治療を併用することも少なくないですが、ホルモン治療によって体が女性化するため、より肥満になりやすくなります。

これらの要素を考慮すると、がん治療における運動習慣、エクササイズは、肥満やそれに伴う合併症の改善も期待でき、予後や放射線治療の副作用の改善も充分に期待できるというわけです。

個人的には運動に伴うメンタル面でのメリットについても無視できない部分があるのではないかと考えています。

しかしながら、エクササイズの有効性は現時点ではまだ十分にエビデンスが蓄積されていないという状況です。

どのような患者において、どのようなエクササイズが有効なのかは今後の研究の報告が待たれるところです。

 

参考文献

Exercise: A Treatment That Should Be Prescribed With Radiation Therapy

Affiliations

Effects of Exercise During Radiation Therapy on Physical Function and Treatment-Related Side Effects in Men With Prostate Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis

Affiliations

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