ポストコロナにおける放射線治療③

目次

1:遠隔診療の導入
2:遠隔診療のメリット、デメリット
3:遠隔診療が有効な領域は?
4:参考文献

遠隔診療の導入

前回の記事では放射線治療領域における寡分割照射の導入について紹介しました。

今回は、それ以外で、放射線治療領域にコロナ感染がもたらした影響について書いていきたいと思います。

コロナ流行期には厳しい行動制限が行われました。

このため、病院への定期の通院も困難となり、健康維持が脅かされる事態となりました。

日本でも一部導入されましたが、遠隔診療についての将来性についてみていきたいと思います。

遠隔診療のメリット、デメリット

遠隔診療のメリットとして挙げられるのは厳しい行動制限下においても、感染のリスクを冒さずに診療が可能という点です。

これは患者本人だけでなく、医療スタッフの感染リスクも下げることができます。

また、通常であれば病院にいくまでにかかる時間や交通費なども大幅に削減できるため、コスト面でのメリットも大きいです。

特に過疎地においては診療所じたいが近くにない場合も多いため、遠隔診療の果たす役割は大きいと考えます。

いっぽうで、直接診察できるわけでは無いため、所見の情報が充分に取れません。

一般的に診察では、聴診や触診といった診療行為から得られる情報も多く、この診療情報によって治療方針が変わることも少なくありません。

このため、遠隔診療においては重要な所見を見逃してしまう可能性もあるわけです。

また、直接診察を行っていないことによって、患者-医師間の信頼関係の構築が充分にできない可能性があります。

医療行為においては、医師に対する信頼は意外に重要ですが、これが充分に築けていないと、その後の診療に支障をきたす可能性があります。

日本においては、高齢者において、医師に直接診てもらいたいとうい傾向があるように感じます。

また、高齢者の場合には遠隔診療のための機器の導入が困難であるというハードルも存在します。

遠隔診療が有効な領域は?

現在はコロナ感染も落ち着いてきており、遠隔診療の導入はそこまで強く推進されているわけではありません。

しかしながら、今後の傾向として、多かれ少なかれ遠隔診療は導入されていくものと考えられます。

それでは実際に遠隔診療が有効なのはどの領域になるのでしょうか。

放射線治療領域においては、治療中の診察については遠隔診療よりも実際の対面での診療が必要であると考えます。

特に治療中であれば、副作用のリスクも高く、症状に対する不安もあることから、対面で十分に症状を聴取するのが有効であると考えます。

いっぽうで、治療が終了した後のフォローアップについては、十分に遠隔診療でも対応可能であると考えます。

ほとんどの場合は、フォローアップ期間中は症状が落ち着いているためです。

ただし、何らかの副作用によって症状が新規で出現している場合には対面での診療が必要となります。

診察ではありませんが、医師や医療スタッフ間でのカンファレンスについても遠隔で行うことのメリットはあると考えます。

仕事の都合でなかなか現地に集合できな場合でも、ZOOMのようなアプリを用いることで、遠隔で会議をすることができる場合もあるからです。

いっぽうで、個人情報の取り扱いについては充分に注意する必要があります。

遠隔診療はまだまだ始まったばかりですが、今後徐々に浸透していくことが予想され、以下に有効に活用するかを議論していく必要があると思います。

参考文献

TelemedicineVolume 108, Issue 2p435-437October 01, 2020

“Connection Failed”: A Word of Caution on Telemedicine in Radiation Oncology

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