放射線性直腸炎とは?血便の原因とAPC治療を専門医が解説

放射線治療のあとに血便が出ることがあります。

これは「放射線性直腸炎」と呼ばれる副作用の一つです。

多くの場合は軽症ですが、
慢性的に血便が続くケースでは治療が必要になることがあります。

特に現在は

APC(アルゴンプラズマ凝固)

という内視鏡治療で改善することが多くなっています。

この記事では放射線治療を専門とする医師が

  • 放射線性直腸炎の原因
  • 血便が起こるメカニズム
  • 内視鏡の特徴
  • APC治療

をわかりやすく解説します。


放射線性直腸炎とは

放射線性直腸炎とは

骨盤の放射線治療によって直腸の粘膜に炎症が起こる状態です。

特に次のがんの治療後に起こることがあります。

  • 前立腺がん
  • 子宮頸がん
  • 子宮体がん
  • 直腸がん

直腸は骨盤内にあり、
放射線の照射範囲に入りやすい臓器のためです。

症状としては

  • 血便
  • 粘液便
  • 下痢
  • 便の回数増加
  • 肛門出血

などがあります。


放射線性直腸炎の原因

放射線は

がん細胞を破壊する治療

ですが、同時に周囲の正常組織にも影響します。

直腸では特に

①微小血管の障害

放射線により

  • 毛細血管がダメージを受ける
  • 血流が低下する

という変化が起こります。


②慢性的な炎症

血流低下により

  • 粘膜が弱くなる
  • 炎症が続く

状態になります。


③脆弱な新生血管

体は血流を回復させようとして

新しい血管(telangiectasia)

を作ります。

しかしこの血管は

  • 非常に薄い
  • 破れやすい

という特徴があります。

これが

血便の原因

になります。


血便のメカニズム

放射線性直腸炎では

直腸の粘膜表面に細い血管が多数できます。

この血管は

  • 便が触れる
  • 排便時の圧
  • 軽い刺激

だけでも出血します。

そのため

  • トイレットペーパーに血がつく
  • 便に血が混じる
  • 真っ赤な血が出る

という症状が出ます。

重要な点として

がんの再発とは無関係なことがほとんど

です。

ただし

必ず内視鏡で確認することが重要です。


内視鏡所見

大腸内視鏡では

特徴的な所見が見られます。

代表的なものは

毛細血管拡張(telangiectasia)

直腸粘膜に

赤い点状の血管

が多数見えます。


粘膜の発赤

炎症により

粘膜が赤くなる

ことがあります。


接触出血

内視鏡が触れただけで

出血することもあります。


放射線性直腸炎の治療

症状の程度によって治療が変わります。

軽症では

  • 経過観察
  • 整腸剤
  • ステロイド坐薬

などで改善することもあります。

しかし

血便が続く場合

には

内視鏡治療

が行われます。

円座クッション

直腸の炎症がある場合、長時間座ると症状が悪化することがあります。
円座クッションを使用すると肛門周囲への圧迫を減らすことができます

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APC治療(アルゴンプラズマ凝固)

現在もっともよく行われる治療が

APC(Argon Plasma Coagulation)

です。


APC治療とは

APCは

アルゴンガスを使って粘膜表面を凝固する治療

です。

特徴

  • 接触せずに焼灼できる
  • 出血血管を止められる
  • 安全性が高い

というメリットがあります。


治療の流れ

通常は

大腸内視鏡で行います。

流れ

1 内視鏡を挿入
2 出血血管を確認
3 APCで凝固

治療時間は

10〜20分程度

です。


治療効果

研究では

70〜90%程度で血便が改善

すると報告されています。

重症例では

数回の治療が必要になることもあります。


APC治療については別記事で詳しく解説しています。


放射線性直腸炎はいつ起こる?

放射線性直腸炎は

早期

治療中〜数ヶ月

晩期

数ヶ月〜数年後

に起こることがあります。

特に血便の原因となるものは

晩期障害

として発生することが多いです。


どんな場合に受診すべき?

次のような場合は

消化器内科を受診してください。

  • 血便が続く
  • 貧血がある
  • 出血量が増えている

多くの場合

内視鏡で治療可能です。


専門医コメント

放射線性直腸炎による血便は、放射線治療後の比較的よくみられる晩期副作用の一つです。

しかし現在は、APC(アルゴンプラズマ凝固)などの内視鏡治療により、多くの患者さんで出血をコントロールすることが可能になっています。

血便があると「がんの再発ではないか」と心配される方も多いですが、放射線治療後の血便の原因としては放射線性直腸炎であることが少なくありません。

自己判断せず、消化器内科で内視鏡検査を受けることが重要です。


よくある質問(FAQ)

Q 放射線性直腸炎は治りますか?

多くの場合、APC治療などで血便は改善します。


Q 放射線治療後の血便は危険ですか?

多くは放射線性直腸炎ですが、再発などの可能性もあるため内視鏡検査が重要です。


Q APC治療は痛いですか?

通常は内視鏡検査と同じ程度で、鎮静を使うこともあります。


Q 入院は必要ですか?

多くの場合は日帰りまたは短期入院で行われます。


Q 何回くらい治療が必要ですか?

1〜3回程度で改善することが多いです。


Q 放射線治療後すぐに起こりますか?

数ヶ月〜数年後に起こることがあります。


Q 貧血になりますか?

出血が続くと貧血になることがあります。


Q 食事で悪化しますか?

通常は食事との直接的な関係は少ないです。


Q 予防する方法はありますか?

完全な予防は難しいですが、現在の放射線治療ではリスクは低下しています。


Q 再発することはありますか?

一度改善しても再び出血することがありますが、多くは再治療で改善します。


まとめ

放射線性直腸炎は

放射線治療後に起こる血便の原因の一つです。

原因は

  • 血管障害
  • 粘膜炎症
  • 脆弱な新生血管

です。

現在は

APC(アルゴンプラズマ凝固)

によって多くの症例で改善が期待できます。

血便がある場合は

早めに消化器内科で相談することが大切です。

  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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