陰茎癌の手術以外の選択枝として、小線源治療が考慮される
Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2017 Feb 28. pii: S0360-3016(17)30473-X. doi: 10.1016/j.ijrobp.2017.02.090. [Epub ahead of print]
Brachytherapy for Conservative Treatment of Invasive Penile Carcinoma: Prognostic Factors and Long-Term Analysis of Outcome.
Escande A1, Haie-Meder C1, Mazeron R1, Maroun P1, Cavalcanti A2, de Crevoisier R3, Schernberg A4, Marsolat F1, Blanchard P4, Martinetti F1, Bossi A4, Dumas I1, Deutsch E4, Chargari C5.
陰茎癌は非常に稀な疾患であり、実際に放射線治療領域で出会うことはめったにない。
一方で、稀であるがゆえに、治療法で悩むこともしばしばであり、特に外照射においては施設ごとに工夫をしながら治療していることが多いと思われる。
陰茎癌の基本として、根治性が最も優れているのは手術である。
しかしながら、手術ということは、陰経自体を切除することであり、機能面でも精神面でも、患者に与える影響というのは非常に大きいのが現状である。
機能や形態の維持という観点からは放射線治療は良い選択枝ではあるが、上に述べたように、根治性が手術と比較しては劣るため、簡単には選択しにくいという側面がある。
その中で、小線源治療は比較的良好な治療成績が報告されており、手術に次ぐ治療選択枝になりえると考えられる。
小線源治療というのは、簡単に言えば、陰経に針を刺して、その針の中に放射線を発生する線源を通すことで、中から放射線を当てて治療をするというものである。
なので治療を行っている際には陰経に複数の針が刺された状態になるという、見るからに痛々しい治療である(もちろん、麻酔をかけた状態で行うため、実際に術中に痛みを感じることはないが)。
今回の研究では9本の針を刺して治療を行っている。
これまでのデータでは、5年後の局所制御率は、手術が90%前後に達するのに対して、小線源治療では70~80%程度とやや劣る傾向にはある。
ただ、通常の放射線治療であればこれが60%前後になってしまうので、それに比べれば良好とは言えるだろう。
この論文ではリンパ節転移が存在した場合の治療法については更なる検討が必要であると言及されている。
注意点としては、陰茎癌自体が比較的稀な疾患であり、これに対して小線源治療を行っている施設というのも非常に限られるという点であろう。
日本ではおそらく10施設も無いのではないかと思われ、実際にこの治療を受けるのはかなりハードルが高いかもしれない。
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