運動療法の重要性

がん治療と運動療法

運動というのは日常生活における大きな要素のひとつですが、それはがん治療においても同様です。

がん治療中に、運動をしなさいと積極的に言われる場面は少ないかと思いますが、実はこれまでに運動の効果についての研究結果がいくつも報告されています。

今回は、それらの研究をまとめたシステムレビューについて紹介したいと思います。

運動療法の効果

このシステムレビューでは合計で26の研究、1500症例を対象に運動療法の効果を評価しています。

運動療法には様々な効果があります。

主要なものとしては、QOLの改善、疲労感の軽減、気分不良の改善、不安の軽減などです。

当然ながら身体機能の改善も期待できます。

運動がQOLの改善に作用する要因はさまざまなものが考えられますが、そのうちの一つは抗炎症作用です。

適度な運動によって抗炎症作用が発揮され、それが腫瘍や治療に伴う炎症による症状を軽減している可能性があります。

ランダム化比較試験において、運動は有意に全身性の炎症反応を軽減し、結果として疼痛や不安、抑うつ、疲労感などを改善したという報告があります。

もちろん運動によって筋力や体力面でも向上が期待できるため、それらもQOLの改善に作用していると考えられます。

また、運動による精神面への影響も無視できない部分です。

適度な運動は抑うつなどの気分障害を改善することが報告されています。

特に放射線治療を受ける人はほとんががん治療の人であり、精神的な部分で多少なりとも問題を抱えている場合も少なくありません。

そういった意味で、放射線治療中に運動療法が果たす役割というのは意外に小さくないと言えます。

また、治療期間中に体力を落とすことは珍しいことではありません。

これは高齢になるほどより影響が大きく、治療後に寝たきりになるリスクも上がります。

運動療法は、治療後の体力、筋力を維持するという意味でも非常に重要です。

どのような運動が効果的なのか?

実は現時点では、どのような運動がもっとも効果的なのかはまだ分かっていません。

最適な運動の強度というのは個人それぞれでも違う可能性があり、それは年齢や性別、それまでの運動習慣などにも左右されるからです。

今回はひとつの参考に、このレビューで評価された研究で、どのような運動が採用されていたのかを紹介します。

ここで採用されていた運動は主に、レジスタンス運動、エアロビクス、ヨガ、その他でした。

レジスタンス運動はあまり聞きなれないですが、目的とする筋肉に負荷をかけるスクワットやダンベルでの運動で、個人個人で負荷の量を調節できるのが特徴です。

運動の時間については中央値が0.8時間でした。

頻度の中央値は1週間に3回、期間は約8週間でした。

負荷については低負荷のものが35%程度、中程度の負荷が54%、高強度のものは11%となっていました。

中程度の負荷を採用しているものが多い印象です。

参考文献

Exercise Therapy and Radiation Therapy for Cancer: A Systematic Review

Affiliations

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