頭頸部領域における再照射の考え方

目次
1:再照射の困難さ
2:頭頸部領域における再照射
3:まとめ
4:参考文献
再照射の困難さ

放射線治療において、再照射というのは大きなテーマです。
以前に照射した範囲に再度病変が出てくるというのは、がん治療ではしばしば経験されます。
それは再発であったり、まったく新しい別の癌であったり、あるいは近傍への転移などであったりします。
再照射というのは、多くの場合で難しい治療となります。
それは通常、初回の治療の際に可能な限り高線量を照射しているため、2回目の治療の際には、組織の耐えられる限度を超えてしまうからです。
2回目に照射してしまうと、合計分の放射線が当たることになるため、1回のみでは起こらないような重篤な副作用が出現します。
場合によってはその副作用のせいで予後が悪くなってしまうということも起こり得ます。
いっぽうで、最近では放射線治療の技術も進歩してきました。
これによって、これまでは避けることが困難だった重要臓器の線量を下げることが可能になってきています。
また、再照射に関する知見も徐々に積みあがってきています。
頭頸部領域における再照射

頭頸部領域における再照射についての考え方です。
1:まず、大前提として、複数の医師、施設の意見を確認する必要があります。一人の医師の意見のみによって再照射の可否を決めるべきではありません。
2:患者の予後についても十分に検討が必要です。長期予後が望めない場合に、重篤な副作用を伴う再照射は行うべきでは無いからです。
3:切除可能な状況であれば、再照射よりは切除を考慮すべきです。その際に、術後機能はできるだけ温存される必要があります。
4:切除可能であるのに、再照射を行う場合というのは、患者が手術を強く拒否した場合に限定すべきです。
5:切除可能例において、全身化学療法のみの治療は推奨されません。
6:手術後の追加の放射線治療は充分に考慮すべきです。腫瘍の遺残や再発のリスクを下げることができます。ただし、再照射になるためリスクについても十分に検討する必要があります。
7:切除不能例においては、60-70Gy程度の線量での再照射が推奨されます。可能であれば化学療法も併用すべきです。
8:再照射においては予防的なリンパ節領域の照射は省略することが推奨されます。
9:過分割照射は考慮されるべきですが、強制ではありません。
10:体幹部定位照射を用いた寡分割照射については、通常分割と比較して、現時点では優位性は示されていません。
まとめ
今回は頭頸部領域における再照射についての基本的な考え方について紹介しました。
参考文献
Retreatment of Recurrent or Second Primary Head and Neck Cancer After Prior Radiation: Executive Summary of the American Radium Society Appropriate Use Criteria
- PMID: 35398456
- DOI: 10.1016/j.ijrobp.2022.03.034




















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