肝細胞癌の治療比較:SBRTはTACEより優れている?再発症例で注目される新たな選択肢

2023年3月26日

まとめ

肝細胞癌、特に再発性のものについては、体幹部定位照射(SBRT)がカテーテル治療(TACE)と比較して局所制御、生存率に優れるという結果であった。

肝細胞癌の治療法を比較した研究

今回は、肝細胞癌の治療法として広く行われている2つの方法

  • 体幹部定位照射(SBRT)

  • カテーテル治療(IVR、TACE)

この2つの治療成績を比較した研究を紹介する。

対象となったのは、3~8cmの中程度のサイズの肝細胞癌患者である。

体幹部定位照射(SBRT)とは?

体幹部定位照射(SBRT:Stereotactic Body Radiotherapy)は、通常の放射線治療と比べて、

  • より強い線量を

  • 腫瘍に集中的に

  • 短期間で照射する

という特徴を持つ治療法である。

治療回数の違い

今回の研究では、28~60Gyを4~5回に分けて照射している。

通常の放射線治療であれば、同程度の治療を行うには25~30回以上の照射が必要になる。

つまり、SBRTを用いることで、治療回数を大きく減らすことが可能である。

なお、SBRTは肝細胞癌だけでなく、

  • 肺癌

  • リンパ節転移

などにも用いられている治療法である。

カテーテル治療(IVR・TACE)とは?

カテーテル治療(IVR、TACE)は、主に足の付け根の血管からカテーテルを挿入し、

  • 肝細胞癌の栄養血管近くまで誘導

  • そこから薬剤や塞栓物質を投与

する治療である。

肝細胞癌は正常の肝細胞とは栄養血管が異なるため、
この治療ではがん細胞を選択的に攻撃することが可能である。

TACEは比較的古くから行われている治療法であり、
肝細胞癌におけるメジャーな治療法の一つである。

研究結果:SBRTとTACEの成績比較

今回の研究では、この2つの治療方法の成績を比較している。

その結果、

  • 局所制御

  • 生存率

いずれも、体幹部定位照射(SBRT)群がカテーテル治療群より有意に優れているという結果であった。

新規症例と再発症例での違い

さらに細かい分析では、

  • 新規の肝細胞癌では両群に差は見られなかった

  • 再発の肝細胞癌ではSBRT群が優れていた

という結果であった。

つまり、特に再発性肝細胞癌においてSBRTの有効性が際立つという結果である。

再発を繰り返す肝細胞癌への示唆

肝細胞癌、特にC型肝炎を基礎とする肝細胞癌では再発を繰り返すことも多い。

そのような場合には、
体幹部定位照射(SBRT)での治療も十分に考慮されると考えられる。

今後の展望

近年では薬物療法の発達もあり、
肝細胞癌そのものの発生は減ってきている印象である。

将来的には、再発を繰り返す肝細胞癌が過去の話になる可能性もある。

しかし現時点では、
再発性肝細胞癌においてSBRTを積極的に考慮しても良いと後押しできる結果であると思われる。

本研究のポイントまとめ

  • 中等度サイズ(3–8cm)の肝細胞癌が対象

  • SBRT(4–5回照射)はTACEより局所制御・生存率で優れる

  • 新規症例では差はなし

  • 再発症例ではSBRTが有意に優れる

  • 再発性肝細胞癌ではSBRTを積極的に検討できる可能性

参考文献

Comparison of Stereotactic Body Radiation Therapy and Transarterial Chemoembolization for Unresectable Medium-Sized Hepatocellular Carcinoma

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