直腸癌における術前の短期照射およびその後の化学療法の有用性(RAPIDO-trial)
まとめ
解説
直腸癌の術前における放射線治療で、短期照射の有用性を検討する論文。
一般的な直腸癌の術前化学放射線療法では、50~50.4Gyを1回1.8~2Gyで照射し、カペシタビンを基本とする化学療法を併用する治療が広く行われている。
今回の研究では、上記を標準治療として、これに比較する群として、1回5Gyの照射を5日間継続して行い、その後、18週間の化学療法を術前治療として行う群を設定している。
結果として合計で920症例がランダムに両群に振り分けられている。
病理学的な奏効率、治療の成功率、遠隔転移の有無はいずれも短期照射+長期化学療法群のほうが優れているという結果であった。
生活の質(QOL)については両群で差が無いという結果であった。
今後の課題としては短期照射後の18週間という長期の化学療法の期間が適切なのかどうかを検討する必要がある。単純に考えて1年半継続する化学療法というのは生活への影響も非常に大きいと考えられるため、この期間をある程度短縮できるのであれば治療の利便性も向上されると思われる。
大規模なランダム化比較試験であり、エビデンスは充分に高いと考えられ、従来の50Gy/25回の治療法に比較して、短期照射の有用性を示したもので、今後の標準治療が変わっていく可能性があると考える。
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