PD-L1による肺癌の予後予測

目次

1:PD-L1と抗PD-L1抗体
2:PD-L1の発現と予後の相関
3:まとめ
4:参考文献

PD-L1と抗PD-L1抗体

肺癌治療において、PACIFIC試験によって、Durvalumabを用いた後治療が有効であることが示されています。

Durvalumabは抗PD-L1抗体と呼ばれる抗体であり、腫瘍細胞の表面に発現しているPD-L1に結合して、体の免疫細胞による腫瘍への攻撃を助けるものです。

このPD-L1の発現が予後に相関することがPACIFIC試験の解析から示されています。

今回、実際の臨床において、このPD-L1の発現と予後を評価した研究を紹介します。

PD-L1の発現と予後の相関

この研究では312例のStage III期の非小細胞肺癌を対象とし、比較群として994例のDurvalumabを用いずに治療した症例を用いています。

PD-L1の発現の程度は1%未満、1-49%、50-100%に分けられました。

結果として、PD-L1の発現の増加と、予後は有意に相関することが示されました。

Durvalumabを用いなかった対照群と比較して、非再発生存率の検討では、PD-L1の発現が50-100%の群ではハザード比が0.44、1-49%の群ではハザード比が0.64と有意に低くなっていました。

いっぽうで、PD-L1の発現が1%未満の群では、対照群と比較して予後に有意な改善は見られませんでした。

これは、全生存率の検討でも同様の傾向が見られました。

まとめ

Stage IIIの非小細胞肺癌において、PD-L1の発現は予後と有意に相関するという結果でした。

いっぽうで、PD-L1の発現が1%未満の症例では、Durvalumabを用いた後治療の追加では十分な予後改善効果は得られませんでした。

参考文献

Prognostic and Predictive Role of PD-L1 Expression in Stage III Non-small Cell Lung Cancer Treated With Definitive Chemoradiation and Adjuvant Durvalumab

Affiliations

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