中リスク前立腺癌の放射線治療においてホルモン治療の併用は必要か
目次
1:中リスク前立腺癌について
2:ホルモン治療の併用の必要性は?
3:まとめ
4:参考文献
中リスク前立腺癌について
今回は短めの記事になります。
前立腺癌の話題で、その中でも中リスクにおいて、ホルモン治療の併用は意味があるのかという内容です。
前立腺癌は転移の無い、局所のみの場合、血液検査や病理検査の結果から、低リスク、中リスク、高リスクに分けられます。
低リスクの場合はもっとも予後が良い状態で、手術、放射線などさまざまな選択肢があり、基本的にどれを選んでも治療成績は良いです。
高リスクになるほど治療が効きづらく、仮に治療効果が見られた場合でも、その後、再発する確率が高い状態です。
中リスクはその中間の状態になります。
最近では、高リスクにおいて放射線治療とホルモン治療の併用は一般的になっていますが、中リスクにおいては主治医によってホルモン治療を行ったり、行わなかったりとケースバイケースといった感じです。
ホルモン治療にも当然ながら副作用があるため、漫然と続けてよい治療でもないため、どのような症例においてより有効であるのかを知る必要があります。
ホルモン治療の併用の必要性は?
今回紹介する研究では、ホルモン治療+70Gy照射する群、ホルモン治療+76Gy照射する群、76Gy照射のみで治療する群の3群をランダムに割り付けて評価しています。
また、中リスクを対象にしていますが、その中でもさらに細かく、予後不良因子の少ない群と多い群の二つに分けて評価を行っています。
結果として、3つの異なる治療において、再発率あるいは生存率について有意な差は見られませんでした。
いっぽうで、予後不良因子が多い群での解析では、遠隔転移や生存率が有意に悪く、再発率についても有意ではないものの悪くなる傾向が見られました。
さらなる解析では、予後不良が多い群のなかでも、ホルモン治療を併用した群では治療成績が有意に良好であり、放射線治療単独群では、治療成績が悪いという結果でした。
まとめ
以上の結果から、中リスク前立腺癌においては、予後不良因子が少ない患者であれば、ホルモン治療の省略は許容されますが、予後不良因子が多い状態であれば、ホルモン治療の併用が勧められると言えます。
参考文献
Optimizing Treatment in Intermediate-Risk Prostate Cancer: Secondary Analysis of a Randomized Phase 3 Trial
- PMID: 33901566
- DOI: 10.1016/j.ijrobp.2021.04.013
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