放射線治療の効果を高める生活習慣とは?放射線治療医が実際に伝えている6つのポイント
放射線治療を受けることが決まったとき、
「治療の効果を高めるために、自分にできることはあるのか?」
と考える方は少なくありません。
今回は、放射線治療医が実際の診療で説明している「放射線治療の効果を高める生活習慣」についてまとめます。
診察時間には限りがあり、すべてを十分に説明できているわけではありません。
そこで、ここでは私自身が重要だと考えているポイントを整理してご紹介します。
1.禁煙・禁酒(最も重要)
まず最初にお伝えしたいのは禁煙と禁酒です。
他の項目と比較しても影響が大きく、ぜひ実践していただきたい項目です。
がんと診断された時点で禁煙・禁酒に切り替える方もいますが、
もしまだ実践できていないのであれば、放射線治療開始までに必ず禁煙・禁酒を行ってください。
喫煙が治療に与える影響

研究では、
喫煙を続けている人よりも
非喫煙者・禁煙している人のほうが
治療成績が良かったと報告されています。
さらに、喫煙は副作用も悪化させます。
放射線治療の副作用は血管障害が関係しますが、
喫煙も血管障害の原因になります。
つまり、
放射線による血管障害
喫煙による血管障害
この両方が重なり、副作用がより強く出てしまうのです。
飲酒の影響

飲酒も副作用を悪化させる要因です。
皮膚炎
頻尿
などが悪くなることがあります。
放射線治療中は、喫煙・飲酒はできるだけ避けましょう。
2.食事(栄養管理は治療後半を支える)

放射線治療中でも、適切な食事を継続することは非常に重要です。
治療が進むにつれて、
抗がん剤による吐き気・食欲低下
放射線による粘膜炎・胃腸炎
などが起こり、食事量が減っていきます。
そのため、治療後半は栄養不足になりがちです。
食べられるうちにしっかり栄養を取ることが大切です。
食事内容のポイント
大きな制限はない
内容が偏らないようにする
可能なら生ものは避け、火の通ったものを選ぶ
胃腸に負担の少ない食事を意識する
水分補給は特に重要
食事が取れない時期は脱水になりやすく、
脱水は倦怠感を悪化させます。
食事が難しくても、水分はできるだけ摂取するようにしましょう。
子宮頸がんでの研究を紹介します
子宮頸がんでの研究になりますが、腸内細菌叢が治療成績に影響したという研究結果が報告されています。
腸内細菌叢が豊かなほど、生存率などの治療成績が改善したという結果でした。
3.運動(軽度〜中等度を継続)

放射線治療中でも、ウォーキングなどの軽度〜中等度の運動は推奨されます。
ただし、
ジムでの強いトレーニング
ジョギングなどの激しい運動
は控えたほうがよいです。
運動の効果
研究では、運動により体の炎症が抑えられることが報告されています。
がん治療では、
腫瘍そのもの
治療の影響
の両方で炎症が起こります。
運動は、
疼痛
抑うつ
感情障害
QOL低下
の軽減が期待されます。
前立腺癌では、運動によって排尿障害が軽減したという報告もあります。
精神面への効果
がん治療中は精神的な負担も大きくなります。
運動は、
抑うつ
感情の落ち込み
を軽減する効果もあります。
適切な運動量
目安としては、
週3回程度
1回30分〜1時間
軽度〜中等度
無理は禁物です。
治療中は倦怠感も出やすいため、体調に合わせて行いましょう。
がん治療中の運動の効果についてまとめた記事はこちら
がん治療中の運動によって得られる効果について分かりやすく解説しています。
4.睡眠(休めるときはしっかり休む)

放射線治療中は倦怠感が出やすくなります。
特に初期には「放射線宿酔」と呼ばれる眠気が出ることがあります。
無理をせず、休めるときは十分に休みましょう。
ただし、高齢の方では日中に寝すぎると、
夜間不眠
昼夜逆転
せん妄
のリスクがあります。
高齢の方は日中はできるだけ活動し、夜に眠る生活リズムを意識しましょう。
5.人ごみを避ける(治療中断を防ぐ)

放射線治療中は、できるだけ人ごみを避けるようにしましょう。
目的は、感染症を防ぐことです。
コロナやインフルエンザに感染すると、
放射線治療を一時中断せざるを得ません。
研究では、治療期間が延びると治療効果が低下することが報告されています。
また、抗がん剤を併用している場合は免疫力が低下しており、感染しやすくなります。
同様の理由から、
銭湯
温泉
も避けたほうがよいです。
6.ポジティブシンキング(精神面の影響)

最後に精神面についてです。
あまり精神論を強調すると怪しく聞こえるかもしれませんが、
日々診療していて感じることがあります。
ネガティブに考える人よりも、
ポジティブに考える人のほうが結果が良い傾向があるように感じます。
特に、
あまり気にしすぎない人
楽天的な人
のほうが治療期間をうまく乗り越えている印象があります。
ネガティブな人は副作用や効果が常に気になり、
精神的に疲弊しやすい傾向があります。
放射線治療は比較的長期にわたる治療です。
もともとの性格もあるため簡単ではありませんが、
気にしすぎない姿勢は大きな助けになります。
「癌の再発に対する恐怖」についての研究
少し変わった研究を紹介します。
再発に対する「恐怖心」を研究したものです。
癌の治療を終えたあとも、
「また再発するのではないか」という不安を感じる方は少なくありません。
咽頭癌の患者を対象とした研究では、次のような人で再発への恐怖が強い傾向がありました。
若い人
生活の質(QOL)が低い人
日常生活に支障となる症状が残っている人
不安や抑うつなどの気分の落ち込みがある人
一方で、次の項目は明らかな関連を認めませんでした。
性別
住んでいる場所
雇用状況
教育歴
喫煙の有無
癌の進行度
治療内容
認知機能
社会的活動性
また、
精神科的なサポートは
想定以上に有用である
という結果も示されています。
再発への不安が強い場合は、
早めに専門家へ相談することも重要な選択肢の一つとなります。
実際の放射線治療の費用に関してはこちら
放射線治療と保険制度について。
実際にどれぐらい必要なのかを分かりやすく解説しています。
まとめ:放射線治療中に意識したい6つの生活習慣
禁煙・禁酒
栄養をしっかり取る
軽度〜中等度の運動を継続
十分な睡眠
人ごみを避ける
ポジティブな姿勢を意識する
これらは、私が実際の診療で感じている
放射線治療の効果を高めるための生活習慣です。
少しでも参考になれば幸いです。
放射線治療の副作用(まとめ)
副作用を網羅的にまとめています。
参考文献
Fear of Cancer Recurrence in Survivors of Human Papillomavirus-Associated Oropharyngeal Carcinoma
- PMID: 34265396
- DOI: 10.1016/j.ijrobp.2021.07.006






















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