喉頭癌に対する定位照射は期待できる治療法だが注意も必要

目次

1:喉頭癌に対する定位照射
2:定位照射は安全に施行可能なのか?
3:まとめ
4:参考文献

喉頭癌に対する定位照射

喉頭癌は喉にできる癌で、早期であれば放射線治療が選択されることが多い病気です。

いっぽうで、通常の放射線治療では30回程度は通院する必要があり、長期の通院が負担になる場合もあります。

日本ではよほどの過疎地でなければ、通院可能な範囲内に放射線治療ができる病院があるため、通院に対するハードルはそこまで高くないですが、欧米では病院まで半日以上車でかかるという状況も少なくないため、長期の通院が難しいという場合もあります。

そのような場合には短期間で治療が終了する手術療法を受けるということもあります。

最近ではレーザー治療やロボット手術の進歩により、手術治療でも侵襲性が少なく施行することが可能となってきています。

そこで、通常の放射線治療のように長期間ではなく、定位照射の技術を用いて1回の線量を多くして、短期間に治療を終了することが可能かどうかいくつかの研究で検討されています。

定位照射は安全に施行可能なのか?

最近、喉頭癌の定位照射における2つの研究の結果が報告されましたが、結果が相反するものとなっていました。

1つの研究では、喉頭癌の定位照射において、比較的強い副作用が出現したため、研究を中止せざるを得ないといったものでした。

いっぽうで、もう一つの研究では、副作用は充分に許容可能な程度であり、十分な治療効果も得られたという結果でした。

この2つの研究では何が違ったのでしょうか。

重要な点は照射範囲と喫煙に対する対応でした。

照射範囲については、副作用が強く出現した研究では、喉頭の全体を照射範囲に含めていました。

副作用が少なかった研究では、照射範囲は腫瘍が存在する部位に限定しており、全体には照射していませんでした。

広い範囲に照射することで、喉頭の副作用が増強された可能性が高いです。

もう一つの要因の喫煙に関しては、副作用の少なかった研究では、喫煙量を1日2パックまでの症例と限定していました。

喫煙じたいについては、どちらの研究でも、治療時に喫煙を継続している症例は含まれていました。

喫煙に関しては以前にこのサイトでも触れましたが、放射線治療の副作用を増強するため、放射線治療との相性が良くありません。

実際に放射線治療を受ける際には喫煙している場合には禁煙が条件になることがほとんどかと思います。

まとめ

喉頭癌に対する定位放射線治療は有望な治療法ですが、重篤な副作用が出る可能性があるため注意が必要です。

重篤な副作用を避けるためには、照射範囲を広げ過ぎないこと、喫煙が多い症例を避ける、可能であれば禁煙した状態で治療をすることが重要です。

参考文献

SBRT for Early Stage Larynx: A Go or No Go? It’s All in the Delivery

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