姑息照射と緩和照射の違いとは?専門医が言葉の意味と最新の治療方針を解説

姑息照射と緩和照射はほぼ同じ意味
姑息照射(こそくしょうしゃ)と緩和照射は、どちらも
症状を和らげることを目的に行う放射線治療を指します。
医学的にはほぼ同義ですが、最近は『姑息(一時しのぎ)』
という言葉を避け、『緩和』と呼ぶのが一般的です。
病気を完全に治す(根治)ための治療ではなく、
痛みを軽くする
神経症状を防ぐ
生活の質を保つ
ことを目的に行われます。
姑息照射(緩和照射)とは?
放射線治療にはさまざまな目的がありますが、
症状緩和目的で行う治療を姑息照射(緩和照射)と呼びます。
これは病気の治癒を目指す治療ではありません。
そのため、いわゆる根治照射と比べると、
通常はやや控えめな線量で行われます。
標準治療は「30Gyを10回」
これまで標準とされてきた方法は、
30Gyを10回に分けて照射する方法
です。
この方法は長年広く行われてきました。
しかし近年、欧米を中心に、
より短期間で
より高い線量を投与する
治療法が模索されています。
問題になるのは「脊髄」
特に問題となるのが、脊椎転移への照射です。
脊椎の中には脊髄が通っています。
神経は連続した組織であるため、
1か所が障害されると、その先の神経機能がすべて失われる可能性があります。
そのため放射線治療では、
脊髄への線量を慎重に管理する必要があります。
高線量を投与したいが、
脊髄障害は絶対に避けなければならない。
ここにジレンマがあります。
今回の研究のポイント
今回紹介する研究では、IMRTという手法を用いて、
脊椎には十分な線量を投与しつつ
脊髄への線量を抑える
という方法で治療を行った患者の
長期フォロー結果が報告されています。
治療方法
予後がある程度期待できる患者
→ 48.5Gyを10回中程度の予後の患者
→ 35Gyを5回
いずれも、従来の30Gy10回よりも高線量です。
脊髄線量
10回照射:最大線量平均 約33Gy
5回照射:最大線量平均 約20Gy
に抑えて治療しています。
結果
病変コントロールは良好
疼痛改善効果あり
脊髄麻痺などの重篤な神経障害は認めず
長期的にも重篤な有害事象は認められませんでした。
なぜ高線量が検討されているのか?
これまでは、進行癌の生命予後が短いケースが多く、
30Gy10回でも大きな問題はありませんでした。
しかし現在は、
薬物療法の進歩
治療成績の改善
により、進行癌でも生命予後の延長が期待できるようになっています。
予後が長くなると、
病変の再増悪
疼痛の再燃
といった問題に遭遇する可能性が高まります。
そのため近年では、
姑息照射であっても、より高線量を投与する試み
が行われています。
日本と欧米の違い
この傾向は欧米でより強く、
日本ではまだ十分に浸透しているとは言えません。
しかし今後、
姑息照射においても高線量投与が一般的となり、
30Gy10回治療が過去の治療となる日も
そう遠くない可能性があります。
オリゴ転移(少数転移)とは
転移の新しい概念であるオリゴ転移について解説しています。
多発脳転移に対する全脳照射
全脳照射も緩和照射のひとつです。



















ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません