有痛性の骨転移に対して通常の緩和照射に温熱療法を組み合わせる治療が有効である

まとめ

有痛性の骨転移に対して標準の放射線治療(30Gy/10回)に温熱療法を追加することで疼痛コントロールが改善し、疼痛再燃までの期間も延長する。

 

 解説

有痛性の骨転移に対する緩和照射は30Gyを10回に分けて治療するのが一般的である。これは日本中どこの病院に行っても基本的には変わらないであろう。

そして、この治療法でおよそ50%~80%に患者に疼痛改善効果が見られており、有効な治療法であることがこれまでの研究からも裏付けされている。

しかしながら、治療の4週間後時点で、疼痛が消失しているのは全体の50%程度であり、治療後3か月の経過観察では50%の患者で疼痛の再燃が見られている(平均で9.6~15週)というデータがある。

治療後の生命予後が極端に短い状態の患者であれば、30Gy10回の治療は十分に許容されるものとなるが、長期予後を望める患者においては、この照射法では十分ではないのかもしれない。

このため、骨転移の治療についてもさまざまな治療方法が検討されており、高線量を短期で投与する方法でも有効性が示されており、今後標準治療が変わっていく可能性はある。

今回の研究では標準の放射線治療(30Gy10回照射)に温熱療法を組み合わせたものの検討である。

結果として温熱療法を追加した群のほうが疼痛コントロールが良好であり、疼痛再燃までの期間も延長していた。

このように温熱療法は有効な治療法ではあるが、以前の子宮頚癌の記事でも触れたが、いま現在、温熱療法を施行できる施設というのは限られており、どの病院でも受けられるというものではない。しかしながら、もし施行可能な状況であるのであれば有痛性の骨転移治療においては十分に検討必要であり、選択肢になると考えられる。

参考文献

Comparing the Effectiveness of Combined External Beam Radiation and Hyperthermia Versus External Beam Radiation Alone in Treating Patients With Painful Bony Metastases: A Phase 3 Prospective, Randomized, Controlled Trial

DOI: 10.1016/j.ijrobp.2017.09.030

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