子宮頚癌は比較的若い女性に発症することが多く、治療だけでなく「治療後の人生」まで見据えた対策が重要ながんです。
本記事では、
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化学放射線療法と骨髄抑制
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免疫療法(Keynote-826)
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腸内細菌と治療成績
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温熱療法の位置づけ
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HPVワクチンの有効性
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治療後の性機能とQOL
について、最新の研究結果をもとに整理します。
1.子宮頚癌に対する化学放射線療法と骨髄抑制
化学放射線療法は有効だが副作用管理が重要
子宮頚癌に対する化学放射線療法(CRT)は、生存率を改善させる有用な治療法です。
しかし、その副作用である骨髄抑制のコントロールが重要な課題となります。
PETで骨髄変化を評価した研究
この研究では、PETを用いて化学放射線療法中の骨髄変化を評価しています。
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体外照射:IMRTで45.0~59.4Gy
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その後:HDR小線源治療
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化学療法:
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シスプラチン単独群
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シスプラチン+ゲムシタビン併用群
結果
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両群とも骨盤骨の骨髄SUVは低下
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骨盤外では有意な低下なし
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ただし併用群では骨盤外SUVに低下傾向
著者らは、
が骨髄の代償性活性化を阻害する可能性を指摘しています。
今後の課題
治療効果を高めつつ、副作用をどう抑えるかが今後の重要課題です。
2.免疫療法の進歩:Keynote-826試験
進行子宮頚癌における重要な臨床試験がKeynote-826です。
試験概要
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二重盲検フェーズ3試験
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標準治療(プラチナ系抗癌剤中心)vs
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標準治療+ペンブロリズマブ
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観察期間中央値:22か月
結果
| 指標 |
ペンブロリズマブ群 |
標準治療群 |
| 無増悪生存期間 |
10.4ヶ月 |
8.2ヶ月 |
| 24ヶ月全生存率 |
53% |
41.7% |
| 寛解率 |
22.7% |
13.1% |
有意に治療成績を改善しました。
この結果を受け、FDAは新たな標準治療として承認しています。
※現時点ではDurvalumabの有効性は示されていません。
3.腸内細菌叢と治療効果の関係
近年、腸内免疫とがん治療成績の関連が注目されています。
化学放射線療法と腸内細菌の変化
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治療開始5週間後:細菌叢が最も減少
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治療終了12週間後:多くで改善
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ただし細菌の種類は変化
治療成績との関連
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腸内細菌叢の減少は副作用と相関
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腸内細菌が豊富な症例では
「あなたはあなたが食べたもので作られている」
腸内細菌を豊富にする食事
日頃の食生活が、将来の治療成績にも影響する可能性があります。
放射線治療中・治療後の腸内環境が気になる方へ
子宮頚癌の化学放射線療法では、腸内細菌叢の変化が報告されており、治療中に腸内環境が乱れることがあります。腸内細菌叢は副作用の程度や治療成績との関連も示唆されており、日頃から腸内環境を整えることは重要です。
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4.温熱療法は有効か?(メタ解析)
進行子宮頚癌に対する治療のシステマティックレビュー・メタ解析です。
局所制御に優れる治療
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温熱療法+放射線
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化学放射線療法+追加化学療法
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温熱療法+化学放射線療法
全生存率に優れる治療
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化学放射線療法
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温熱療法+化学放射線療法
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温熱療法+放射線治療
副作用
急性期副作用が少ない傾向:
長期副作用が少ない傾向:
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NAC+放射線+追加化学療法
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放射線+免疫療法
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化学放射線療法
温熱療法の現在
かつて日本でも流行しましたが、現在は実施施設が減少。
理由としては:
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治療に手間がかかる
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放射線治療機器の進歩により必要性が相対的に低下
しかし、有効性自体は以前から知られており、選択肢として残す価値のある治療法と考えられます。
5.HPVワクチン:予防の重要性
やや議論のあるテーマですが、エビデンスは蓄積されています。
スウェーデン170万人研究
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対象:約170万人
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接種群:約52万人
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非接種群:約120万人
発症数:
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接種群:19例(年0.73人/10万人)
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非接種群:538例(年5.27人/10万人)
発生率は約14%まで減少。
接種年齢の重要性
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17歳以前接種:累積罹患率 4例/10万人
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17~30歳接種:54例/10万人
感染前の接種が重要であり、年齢が上がると効果は低下します。
海外との比較
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米国接種率(2021年):75.1%
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日本は十分とは言い難い
私の考え
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ワクチンの有効性は世界的に示されている
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子宮頚癌は若年女性に多く副作用も強い
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進行すると根治は難しい
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予防できるなら接種しない理由はないと考える
今後、世界では子宮頚癌が減少する中、日本だけが取り残される可能性があります。
6.治療後の性機能とQOL
あまり議論されませんが、重要なテーマです。
約1000例・4年追跡研究
治療後の症状:
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乾燥:約20%
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短縮:15–20%
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拘縮:15–20%
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性交痛:10–20%
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楽しめない:約40%
性交痛は乾燥・短縮・拘縮と相関。
HRTの効果
ホルモン補充療法(HRT)により腟症状は有意に改善。
なぜ議論されにくいのか
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患者側が言い出しにくい
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医療者の時間不足
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知識不足
しかし、性機能はQOLの重要な要素です。
パートナーとの関係性や精神的安定にも関わります。
閉経前女性ではHRTを考慮すべきであり、QOL改善が期待できます。
治療終了後のデリケートゾーンの乾燥ケアに
子宮頚癌の治療後は、腟の乾燥やつっぱり感、違和感などがみられることがあります。これらは放射線治療やホルモン環境の変化に伴って起こることがあり、日常的な保湿ケアが役立つ場合があります。
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ただし、強い痛みや出血、症状の悪化がある場合は自己判断せず、必ず主治医に相談してください。治療後のケアは、医療的サポートと日常のセルフケアを組み合わせて行うことが大切です。
まとめ
子宮頚癌に対しては、
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化学放射線療法
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免疫療法
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温熱療法
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腸内環境の重要性
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HPVワクチンによる予防
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治療後の性機能ケア
と、多面的なアプローチが必要です。
治療成績の向上だけでなく、
「予防」「副作用対策」「治療後の人生」まで含めて考えることが、これからの子宮頚癌医療に求められています。
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