SBRT(体幹部定位放射線治療)とは?効果・適応・副作用を専門医が解説

SBRTとは

SBRT(Stereotactic Body Radiotherapy)とは、
体幹部の腫瘍に対して高精度に強い放射線を少ない回数で照射する放射線治療
です。

日本語では

体幹部定位放射線治療

と呼ばれます。

通常の放射線治療は
25〜30回程度の照射を行うことが多いですが、

SBRTでは

1〜5回程度

という少ない回数で高い治療効果を目指します。

この治療は

・肺がん
・肝臓がん
・転移性腫瘍
・前立腺がん

などで広く用いられています。


SBRTの特徴

SBRTには次のような特徴があります。

高精度照射

SBRTでは

・CT
・MRI
・画像誘導放射線治療(IGRT)

を用いて腫瘍の位置を正確に確認しながら照射します。

そのため

正常組織へのダメージを最小限に抑えることができます。


少ない治療回数

通常の放射線治療
→ 約25〜30回

SBRT
1〜5回

短期間で治療が終了します。

これは

患者さんの身体的・社会的負担を減らす

大きなメリットがあります。


手術に匹敵する治療成績

早期肺がんでは

手術と同等の局所制御率

が報告されています。

代表的研究

  • Timmerman et al., JAMA
  • Chang et al., Lancet Oncology

では

局所制御率90%以上

が報告されています。


SBRTが使われる主な病気

SBRTは多くの腫瘍に使われています。

早期肺がん

手術が難しい患者さんに対して

標準治療

として用いられています。

NCCNガイドラインでも
SBRTは重要な治療選択肢とされています。


早期肺がんの放射線治療


肝臓がん

SBRTは

・手術困難例
・ラジオ波治療困難例

で有効とされています。


肝臓がんの放射線治療


転移性腫瘍(オリゴ転移)

近年注目されているのが

オリゴ転移

です。

転移が少数の場合、

SBRTで長期生存が得られる可能性

が示されています。

代表研究

SABR-COMET trial(Lancet)

では

SBRTにより

生存率の改善

が報告されました。


オリゴ転移とは

転移の放射線治療


前立腺がん

前立腺がんでは

超寡分割放射線治療

としてSBRTが使われます。

NCCN・ASTROガイドラインでも

低〜中リスク前立腺がんの治療選択肢

として推奨されています。


前立腺がんの放射線治療の最新情報を紹介


SBRTで使われる主な装置

SBRTは様々な放射線治療装置で行われます。

リニアック

最も一般的な装置です。

IMRTやVMATを用いて
高精度照射を行います。


IMRTとは


サイバーナイフ

ロボットアームを用いた放射線治療装置です。

腫瘍の動きを追跡しながら照射できる特徴があります。


サイバーナイフとは


MRリニアック

MRI画像を見ながら治療を行う最新装置です。

内部リンク
→ MRリニアックとは


FFF(Flattening Filter Free)とは

SBRTでは

FFF(Flattening Filter Free)

と呼ばれる技術が用いられることがあります。

FFFとは、

リニアックにある平坦化フィルター(Flattening Filter)を取り除いた照射方法

です。


FFFの特徴

通常のリニアックでは、

放射線ビームを均一にするために

Flattening Filter(平坦化フィルター)

が使用されています。

上の図で凸状の形態をした部分がフィルター。

しかしSBRTでは

腫瘍の形に合わせて照射するため、

必ずしもビームを平坦にする必要がありません。

そのため

Flattening Filterを外したFFF照射

が用いられることがあります。

上の図で、赤線がフィルターを通したビームの線量。

平坦に調整されており、通常の照射に向いています。

青線はフィルターを通さないビームで、中心がかなり高くなっています。

通常照射には向きませんが、定位照射のような高線量照射で利用可能になります。


FFFのメリット

FFFには次のような利点があります。

① 高線量率

通常
600MU/min

FFF
1400〜2400MU/min

高い線量率で照射できます。


② 照射時間が短い

線量率が高いため

治療時間を短縮

できます。

SBRTでは

患者の体動を減らす

という重要なメリットがあります。


③ 散乱線の低減

Flattening Filterを外すことで

散乱線が減少

し、正常組織への被ばく低減が期待されます。


FFFが使われる治療

FFFは特に

・SBRT
・SRS
・高線量率治療

で使用されます。

現在の多くの最新リニアックでは

FFF照射が標準機能として搭載

されています。


専門医のポイント

FFFは患者さんが直接意識することは少ない技術ですが、

SBRTの安全性と精度を高める重要な技術の一つ

です。 


SBRTの副作用

SBRTは安全性の高い治療ですが、副作用が起こることがあります。

主な副作用

・放射線肺炎

肝臓

・肝機能障害

消化管

・潰瘍
・出血

ただし

高精度治療により重篤な副作用は比較的少ない

とされています。


SBRTの治療の流れ

一般的な流れ

①診察
②治療計画CT
③固定具作成
④治療計画
⑤照射(1〜5回)

1回の治療時間は

30〜60分程度

です。

FFFを使うと治療時間はこれよりも短くなります。


専門医コメント

SBRTは、近年の放射線治療の進歩を象徴する治療法です。

従来の放射線治療では数週間かかっていた治療を、数回の照射で完結できるようになりました。

特に

・早期肺がん
・オリゴ転移
・前立腺がん

では、国際ガイドラインでも重要な治療選択肢として位置付けられています。

一方で、SBRTは高線量を短期間で照射する治療であるため、適切な症例選択と高度な治療計画が重要です。

経験のある施設で治療を受けることが推奨されます。


まとめ

SBRT(体幹部定位放射線治療)は

高精度・少回数で行う最新の放射線治療

です。

特徴

・少ない治療回数
・高い治療効果
・正常組織へのダメージが少ない

現在では

・早期肺がん
・肝臓がん
・オリゴ転移
・前立腺がん

など多くの病気で重要な治療となっています。


FAQ(よくある質問)

SBRTとは何ですか?

体幹部の腫瘍に対して、高精度に強い放射線を少ない回数で照射する放射線治療です。


SBRTは何回の治療ですか?

通常は1〜5回程度の治療で行われます。


SBRTは痛いですか?

放射線治療は痛みを伴わない治療です。


SBRTは入院が必要ですか?

多くの場合、外来治療で行われます。


SBRTは手術の代わりになりますか?

早期肺がんなどでは、手術と同等の治療成績が報告されています。


SBRTの成功率はどのくらいですか?

腫瘍の種類によりますが、早期肺がんでは
局所制御率90%以上が報告されています。


SBRTは誰でも受けられますか?

腫瘍の大きさや位置によって適応が決まります。


SBRTは再発がんにも使えますか?

一部の再発がんや転移がんにも使用されます。


SBRTの副作用は?

治療部位によって

・放射線肺炎
・消化管障害
などがあります。


SBRTとSRTの違いは?

SRTは主に脳腫瘍に対して行われる定位放射線治療です。

SBRTは

体幹部の腫瘍

に対して行われます。


外部リンク(EEAT強化)

NCCNガイドライン
https://www.nccn.org

ASTROガイドライン
https://www.astro.org

JASTRO
https://www.jastro.or.jp


  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

運営者プロフィール 


広告