言葉が通じない患者の診察について

目次

1:日本語話者以外とのコミュニケーション
2:アメリカにおける研究
3:今後の日本において
4:参考文献

日本語話者以外とのコミュニケーション

日本ではまだそこまで多くは無いですが、日本語話者以外の患者さんに対して診察や治療の説明を行う場合があります。

国際結婚を機に日本に来た場合や、日本で就労ビザを取って働いている場合など様々です。

少しでも日本語が可能であればまだコミュニケーションも可能なのですが、中には全く日本語を理解できない人もいます。

今後、移民が増えてくれば、日本語話者以外への医療提供も大きな課題となってきます。

 

アメリカにおける研究

アメリカでは、もともと移民の国ということもあり、英語を話せない人口もそれなりに存在します。

ヒスパニック系やラテン系では英語ではなく、スペイン語を主に話す人たちも多いです。

その場合に、医療現場におけるコミュニケーションを評価した研究があります。

この研究では、医師が英語とスペイン語のバイリンガルの場合と、スペイン語の通訳サービスを介した場合での、コミュニケーションの構築を評価しています。

結果として、医療者がスペイン語話者であるほうが、通訳を介するよりも患者の満足度は高かったというものでした。

さらには、スペイン語話者の医療者に対して、患者はより積極的に話をする傾向があり、より多くの質問をする傾向にあったという結果でした。

通訳を介しているため、コミュニケーションじたいは問題なくとれているはずですが、やはり直接コミュニケーションをとる場合と、通訳を介する場合では、医療者に対して心を開くことができるかどうかが変わってくるようです。

今後の日本において

直接話ができたほうが満足度が高いというのは、世界共通の傾向なのだなと感じました。

日本においては、まだまだ日本語話者以外の患者に接する機会は少ないですが、私自身も年に数人は診察することがあります。

今後はその機会も増えてくるのではないかと思われます。

特に日本語は基本的に日本人しか習得しない言語であり、日本人以外で話せる人は限定されてしまいます。

英語は世界共通語という側面があるため、ある程度話すことができる人も多いですが、日本語はより制約がきついと思います。

患者との良好なコミュニケーションの構築という観点から、医療者においても、日本語以外の第2言語の習得は重要な意味を持つと思います。

無難なところでは英語になりますが、実際に使用頻度が高いのはもしかすると中国語かもしれません。

ただ、中国語も地方によって大きく言語が異なるらしいので、実際に習得するとなると大変そうですが…

参考文献

The Influence of Patient-Provider Language Concordance in Cancer Care: Results of the Hispanic Outcomes by Language Approach (HOLA) Randomized Trial

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