脳転移の定位照射における至適線量は?
目次
1:脳転移に対する定位照射
2:定位照射における至適線量は?
3:まとめ
4:参考文献
脳転移に対する定位照射
今回は脳転移に対する定位照射における至適線量に関しての話題です。
脳転移に対する放射線治療も様々な方法があり、一概にどれが最も優れているとは決められない状況ですが、その中でも定位照射は最も有効な治療法の一つであり、特に最近の治療機器の進歩によって、より効率的に高線量を投与することが可能となっています。
脳の治療においては高線量を投与すれば治療成績は良くなりますが、強く照射しすぎると周囲の脳組織に壊死をおこすというジレンマもあります。
今回紹介する研究では、この脳転移に対する定位照射における有効な線量について評価しています。
定位照射における至適線量は?
結果として、30Gy/5回未満の線量で照射された群では局所再発率が6ヶ月、12ヶ月でそれぞれ13%、33%であったのに対して、30Gy/5回以上の線量で照射された群では、それぞれ5%、19%と有意に少ないというものでした。
また、転移はさまざまな原発腫瘍に伴っておきますが、どの組織型においても線量が高くなるほど治療効果は上がるという結果でした。
脳壊死については約10%で見られました。
いっぽうで、放射線治療に伴う有害事象が見られた群のほうが、局所制御率や生存率が良好であったという結果でした。
まとめ
脳転移に対する定位照射を行う場合、5回治療であれば、総線量が30Gy以上であることが望ましいです。
いっぽうで処方線量は治療施設によって、評価基準が異なっていることにも注意が必要です。
この研究においては、処方線量がターゲット(PTV)の99%をカバーしていることとして定義されています。
それぞれの施設基準に合わせて、この研究の結果を解釈する必要があります。
また、線量については多いほど局所制御は良好であったという結果であり、周囲の正常脳組織における耐容線量、脳壊死に注意しつつ、可能な限りの高線量で治療するのが望ましいと言えます。
参考文献
Hypofractionated Stereotactic Radiation Therapy for Intact Brain Metastases in 5 Daily Fractions: Effect of Dose on Treatment Response
- PMID: 34537313
- DOI: 10.1016/j.ijrobp.2021.09.003
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません