放射線治療医のキャリアを考える①

目次

1:放射線治療医の将来を考える
2:治療途上国における就労
3:過疎地域での貢献
4:参考文献

放射線治療医の将来を考える

どのような職業についていても、将来のことは気になるものです。

自分が今働いている業種が将来的にどのようになるのかはなかなか分かりません。

少子高齢化や人口減少、AIの普及や世界の紛争状況などさまざまな要素が複雑に影響するため、5年後、10年後の像を正確に予測することは困難です。

最近であればコロナの流行なども、世界のあり方を大きく変えました。

さまざまな要素はあれ、自分の職業が将来どのようになっているかというのは誰しもが抱える悩みだと思います。

アメリカではより真剣に放射線治療医についての将来性が議論されています。

日本ではなかなかそういったことを学会の雑誌の紙面を割いてまで論じることはないと思いますが、アメリカではこれが一つのテーマとして紹介されています。

日本ではまだ放射線治療医が過剰であるという状態にはなっていませんが、アメリカでは今後放射線治療医の供給過剰が懸念されており、それが学生の放射線治療医の志望にも影響している状況です。

そのため、学生の確保という観点からも、放射線治療医のキャリアパスを明確に示す必要があるというわけです。

実は日本においても放射線治療医を希望する学生は一時期に比べると減ってきている印象です。

学生に対してその科の将来性を明確に示すことは重要なポイントであり、昨今は美容皮膚科に流れる学生が多いというのも、科の将来性を学生なりに考えての結果であろうと思います。

今回から何回かに分けて、放射線治療医が過剰となった状況において取り得るキャリアの選択肢を検討していきたいと思います。

治療途上国における就労

一つ目の選択肢として挙げられているのは、放射線治療がまだ十分に発展していない国における就労です。

これはわりと現実味のある選択枝ではないかと思います。

最近耳にするのは、外科頚領域において、若手の医師と、指導医クラスの医師がタッグを組んで、医療途上国で手術を教えつつ、若手医師の手術数も稼ぐというやり方です。

これは医療途上国においても最先端の医療を見ることのできる貴重な機会となりますし、派遣された医師も日本ではなかなか症例数を稼ぐのが難しい場合でも、多くの症例を積み重ねることができるという点で、Win-Winの方法であると思います。

さらには国家間の連携となるため、医療を通じた外交への貢献というのも見逃せない点になります。

放射線治療領域においてもこのような取り組みはありますが、病院間であったり、短期間なものが多い印象です。

より大規模に長期間関われるような形になっていくと、キャリアとしてひとつの魅力的な選択肢になると考えます。

過疎地域での貢献

これは海外に行くわけでは無く、国内でのキャリアになります。

アメリカでは医療施設が日本ほど豊富にあるわけではなく、都市の中心部に集中してある状態で、すぐには医療が受けられない地域というのがかなり広範囲に存在します。

日本ではそこまでの状況ではありませんが、今後、人口減少社会に突入していく中で、特に地方においては過疎化が進むことは避けられません。

そのような状況になれば、アメリカのように医療に容易にアクセスできない状態も容易に起こり得ます。

そのような過疎地域における医療貢献というのも一つの選択肢になります。

放射線治療が過疎地域においてどのように関わっていけるのかは多くの議論が必要となりますが、最終的には遠隔での放射線治療という形に到達するのではないかと考えています。

ここからは私自身の妄想ですが、管理する病院長のような医師がいれば、診察や治療のプランは遠隔で行い、実際の照射は技師のセットアップのもとに治療医が遠隔で監視しながら行うという状況もあり得るのではないかと考えています。

もちろん現時点ではこのような遠隔治療は不可能ですが、今後過疎化が深刻となり、過疎地での放射線治療が必要となった場合に、このような遠隔治療の可能性についても議論されるのではないかと考えます。

参考文献

Enhancing Career Paths for Tomorrow’s Radiation Oncologists

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