肺のオリゴ転移に対する定位照射による呼吸機能低下

目次

1:肺のオリゴ転移に対する定位照射
2:肺への定位照射後の呼吸機能低下
3:まとめ
4:参考文献

肺のオリゴ転移に対する定位照射

オリゴ転移とは少数転移のことで、以前であれば転移のある症例にはあまり強い治療を行いませんでしたが、最近では少数の転移であれば強い治療を行うことで成績が改善することが報告されるようになってきています。

オリゴ転移の治療では定位照射がよく利用されます。

定位照射は1回の線量を多くして、短期間に強い治療を行う方法です。

通常の照射よりも強い量を当てることができるので、治療効果が高いですが、周囲にも強い放射線が当たってしまうため、線量を集中して照射できる高精度照射の技術が必要です。

肺のオリゴ転移においても定位照射で治療する場合が多いです。

その際に問題となるのは治療後の呼吸機能低下です。

病気が治ってもその後に呼吸機能が低下してしまうと、生活の質(QOL)が大きく損なわれてしまうことになります。

肺への定位照射後の呼吸機能低下

肺のオリゴ転移に対して定位照射を行った際の呼吸機能低下を評価した論文を紹介します。

ここでは1回で照射する場合と、複数回にわけて照射する場合で評価しています。

1回で照射する場合は、1回で28Gyを照射しており、複数回で照射する場合は、4回で計48Gyを照射しています。

結果として、1回照射と4回照射では呼吸機能低下に差は見られませんでした。

呼吸機能低下に影響した因子は、病変部の個数であり、照射する病変が多くなるほど、呼吸機能低下が見られやすくなるという結果でした。

まとめ

肺のオリゴ転移に対する定位照射において、治療後の呼吸機能を温存することは、その後の生活の維持に重要です。

定位照射において、治療の回数は呼吸機能低下に有意な相関は見られませんでした。

呼吸機能低下に影響する因子は、病変の個数であり、多数個を治療する場合には治療後の呼吸機能低下に注意が必要です。

参考文献

Impact on Pulmonary Function in a Randomized Trial of Single-Fraction and Multifraction Stereotactic Body Radiation Therapy for Pulmonary Oligometastatic Disease: An Analysis of TROG 13.01 (SAFRON II)

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