脳転移で起こる症状(認知機能低下・頭痛・けいれんなど)|放射線治療医が解説

脳転移って、どんな症状が出るんでしょうか?
頭痛とかですか?

頭痛だけでなく、物忘れ・けいれん・手足の麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります。
場所によって症状が変わるのが特徴です。
がんが脳に転移すると、さまざまな神経症状が現れることがあります。
頭痛・認知機能低下・けいれん・麻痺・吐き気などは代表的な症状です。
ただし、これらの症状は必ずしも脳転移だけで起こるわけではありません。
また、脳転移があっても症状がほとんど出ない場合もあります。
この記事では、
- 脳転移で起こる主な症状
- なぜその症状が起こるのか
- 症状が出たときの対応
- 放射線治療との関係
について、国際ガイドラインと最新研究をもとに専門医がわかりやすく解説します。
脳転移とは

脳転移があると、
必ず症状が出るんですか?

実は症状が出ないことも珍しくありません。
MRI検査で偶然見つかるケースもあります。
脳転移とは、体の別の場所にできたがんが脳に広がることです。
脳転移は以下のがんで比較的多くみられます。
- 肺がん
- 乳がん
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
- 腎がん
- 大腸がん
脳転移はがん患者の10〜30%程度で起こるとされています。
参考
https://www.nccn.org/guidelines/guidelines-detail?category=1&id=1466
NCCN Guidelines: Central Nervous System Cancers
脳転移で起こる主な症状
脳転移の症状は、以下の3つの要因で起こります。
- 腫瘍による脳組織の圧迫
- 脳のむくみ(脳浮腫)
- 神経回路の障害
代表的な症状を解説します。
頭痛
脳転移で最もよく見られる症状のひとつです。
特徴として
- 朝に強い
- 吐き気を伴う
- 徐々に悪化する
といった傾向があります。
これは腫瘍によって
- 頭蓋内圧が上昇する
- 脳浮腫が起こる
ためです。
頭痛だけで脳転移と診断されることは多くありませんが、
- 新しく始まった強い頭痛
- 徐々に悪化する頭痛
は医師に相談することが重要です。

頭痛があったら、脳転移の可能性があるんでしょうか?

多くの頭痛は脳転移ではありません。
ただし、急に始まった強い頭痛や徐々に悪化する頭痛は医師に相談することが大切です。
認知機能低下

最近、物忘れが増えた気がします…
脳転移の可能性もありますか?

可能性はありますが、原因はさまざまです。
薬の影響や体調、ストレスでも起こるため、
必要に応じて検査を行います。
脳転移では、以下のような認知機能の変化が起こることがあります。
- 物忘れが増える
- 判断力の低下
- 集中力の低下
- 性格の変化
特に
- 前頭葉
- 側頭葉
に腫瘍がある場合に起こりやすいとされています。
ただし、認知機能低下は
- がんによる全身状態
- 薬剤
- 放射線治療
- 高齢
などでも起こるため、原因の評価が重要です。
参考
https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.21.02314
ASCO-SNO-ASTRO Guideline for Brain Metastases
けいれん(てんかん発作)

脳転移でけいれんが起きることもあるんですね…

はい。
脳腫瘍では神経の興奮が強くなることで発作が起こることがあります。
抗てんかん薬でコントロールできることも多いです。
脳転移では10〜20%程度の患者でけいれんが起こるとされています。
症状には
- 全身のけいれん
- 意識消失
- 手足のぴくつき
- 意識がぼんやりする発作
などがあります。
脳腫瘍によるけいれんは
腫瘍周囲の神経の異常な興奮
によって起こります。
必要に応じて
- 抗てんかん薬
で予防・治療が行われます。
手足の麻痺
脳転移が運動を司る領域にできると、
- 片側の手足の力が弱くなる
- 歩きにくくなる
- 手がうまく使えない
などの症状が出ることがあります。
これは
運動神経の経路が障害される
ためです。
吐き気・嘔吐
吐き気や嘔吐は
- 頭蓋内圧の上昇
- 脳浮腫
によって起こることがあります。
特に
- 朝に吐き気が強い
- 頭痛と一緒に起こる
場合は、脳圧亢進の症状の可能性があります。
視覚障害・言語障害
腫瘍の場所によっては
- 視野欠損
- 物が二重に見える
- 言葉が出にくい
- 言葉が理解しにくい
などの症状が出ることがあります。
症状がない脳転移もある

症状がなくても脳転移があることがあるんですか?

あります。特に小さい腫瘍や重要な神経に影響しない場所では症状が出ないことがあります。
重要な点として、
脳転移があっても症状が出ないことがあります。
特に
- 小さい腫瘍
- 脳の機能に影響しにくい場所
では、MRI検査で偶然見つかることもあります。
脳転移の症状が出たときの対応
症状がある場合、以下の検査が行われます。
主な検査
- 頭部MRI(最も重要)
- CT
- 神経学的診察
MRIは脳転移の診断で最も感度の高い検査です。
脳転移の治療
脳転移の治療は
- 腫瘍の数
- 大きさ
- 原発がん
- 全身状態
などによって決まります。
主な治療
- 放射線治療(定位放射線治療・全脳照射)
- 手術
- 薬物療法(分子標的薬・免疫療法)
- ステロイド治療(脳浮腫)
→脳転移に対する治療についてはこちらの記事で解説しています。
関連記事
放射線治療の副作用について詳しく知りたい方はこちら
頭痛について詳しく知りたい方はこちら
▶ 放射線治療と頭痛
認知機能低下についてはこちら

脳転移って、腫瘍が大きいほど症状が強いんですか?

実は大きさより「場所」が重要です。
小さくても、運動や言葉をつかさどる場所だと症状が出ることがあります。
専門医コメント
脳転移の症状は、腫瘍の大きさよりも「場所」によって決まることが多いという特徴があります。
たとえば小さな腫瘍でも、
- 運動野
- 言語野
- 脳幹
など重要な場所にできると、早期から症状が出ることがあります。
一方で、症状がほとんどない脳転移も少なくありません。
現在は
- 定位放射線治療
- 分子標的薬
- 免疫療法
の進歩により、脳転移の治療成績は大きく改善しています。
症状がある場合でも、適切な治療によって
- 症状の改善
- 生活の質の維持
が期待できるため、早めに主治医へ相談することが重要です。
まとめ
脳転移では以下のような症状が起こることがあります。
主な症状
- 頭痛
- 認知機能低下
- けいれん
- 手足の麻痺
- 吐き気
- 視覚障害
ただし、症状がない脳転移もあります。
症状が気になる場合は、MRIなどで評価することが重要です。
現在は治療法も進歩しており、放射線治療などにより症状の改善や生活の質の維持が期待できます。
FAQ(よくある質問)
脳転移の最も多い症状は何ですか?
頭痛が比較的多い症状です。ただし症状は腫瘍の場所によって異なります。
脳転移は必ず症状が出ますか?
症状が出ない場合もあります。MRI検査で偶然見つかることもあります。
脳転移で物忘れが起こることはありますか?
はい。認知機能低下や集中力低下などが起こることがあります。
脳転移でけいれんは起こりますか?
約10〜20%の患者でけいれん発作が起こるとされています。
脳転移はどのがんで多いですか?
肺がん、乳がん、メラノーマ、腎がんなどで比較的多くみられます。
脳転移はどの検査でわかりますか?
頭部MRIが最も重要な検査です。
脳転移は治療できますか?
放射線治療、手術、薬物療法などの治療が行われます。
脳転移の頭痛には特徴がありますか?
朝に強い頭痛や吐き気を伴う頭痛がみられることがあります。
脳転移で麻痺は起こりますか?
運動を司る脳の領域に腫瘍があると、片側の手足の麻痺が起こることがあります。
脳転移は予防できますか?
完全な予防は難しいですが、がん治療の進歩により発生率は変化しています。
放射線治療の総合ガイド
あなたの状況に合わせて詳しく解説しています。
この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。
























ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません