ChatGPTはがん治療領域で有用なのか?

目次

1:ChatGPTの普及
2:ChatGPTのがん治療領域における応用
3:人工知能の利用に関して思うこと
4:参考文献

ChatGPTの普及

今は少し落ち着いた感じがありますが、一時期、ChatGPTを含めた人工知能(AI)に関するSNSでの投稿が非常に盛んでした。

使いこなせないと時代に置いて行かれるといった極端な論調もありました。

自分自身はChatGPTを使っていないので、現時点でどこまで進歩しているのか詳細は分かりませんが、ChatGPTを含めた人工知能(AI)が今後も急速に広がっていくことは間違いないでしょう。

ChatGPTは会話形式でAIがこちらの質問に答えてくれるもので、自分ですると膨大な作業時間がかかる問題についても短時間で回答してくれるのが魅力です。

ChatGPTのがん治療領域における応用

ChatGPTは様々な質問に対して答えてくれます。

では、癌治療領域において質問した場合にどれだけ正確に返してくれるのでしょうか。

それを調査した研究を紹介します。

この研究ではChatGPTの3.5を利用しています。

現時点ではバージョンは4.0になっているようなので、現在よりも古いバージョンでの検討になります。

質問は一般的な癌患者がすることを想定して設定されています。

例えば、「診断はどのように行うのか?」、「癌のリスクファクターは?」、「このステージの癌にはどのような治療法が選択されるのか?」といったものです。

また、専門的な項目として、いくつかの癌において、現在の標準治療のもととなった臨床研究を同定することが可能かどうかを評価しました。

結果として、一般的な質問の項目に対して、十分に答えられていたのは約40%でした。

また専門的な項目における質問での正答率は約50%でした。

人工知能の利用に関して思うこと

ChatGPTを含めたAIに関連する技術は非常に先進的なものであり、今後の我々の生活を大きく変えていく可能性があります。

ただ、現時点ではまだまだ実用に耐えられるものでは無いと感じています。

今回、紹介した研究においてもChatGPTの正答率は約40-50%でした。

正確性が必要ながん治療における情報提供においては不十分と言わざるを得ません。

私がAIの利用で特に注意が必要だと感じているのは、偽の情報が含まれていることです。

これはAIがわざと偽の情報を入れているというわけでは無いのでしょうが、情報を検索する過程において、間違った情報を取得してしまうために起きてしまうと考えられます。

また、AIが正しい情報と考えていても、選択する元となる情報が誰かの意図によって、あえて誤情報になっている場合も回避することが難しいです。

AIの難しい点は正確な情報と間違った情報を判別することが非常に難しい点です。

特に自分自身がその領域の専門ではない場合はどこが間違えているかを指摘するのはほとんど不可能です。

そういった意味でAIの利用には細心の注意が必要になります。

自分は論文を書く際の英語翻訳にGoogleの翻訳を利用しています。

以前に比べるとだいぶ自然な英語が返ってくるようになりましたが、今でも多少の手直しは必要だと感じています。

翻訳の作業でまだこのレベルなわけですから、専門領域における情報の取捨選択を考えると、現時点ではまだまだ実用には耐えないのではないかと考えています。

参考文献

Current Strengths and Weaknesses of ChatGPT as a Resource for Radiation Oncology Patients and Providers

広告