患者の意思決定に影響する要素②

目次

1:選択に影響する要素②
2:印象は意思決定においても重要な要素となる
3:まとめ
4:参考文献

選択に影響する要素②

前回の記事の続きになります。

患者の治療選択において影響する要素についての話題です。

前回、以下の本をお勧めしました。

意思決定に影響する要素として、その他にはフレーミングというものがあります。

これも心理学的な用語になりますが、同じ事柄を伝えているのに、伝え方で受け取り方が変わるというものです。

簡単に言うと、「Aの治療の成功率は80%である」と伝える場合と、「Aの治療の失敗率は20%である」と伝える場合です。

まったく同じことを伝えているにもかかわらず、受け取り方が違わないでしょうか?

前者は治療の成功率が80%もあるとポジティブに受け止められるのに対して、後者では失敗率が20%もあるのか、とネガティブに受け止めてしまっていないでしょうか。

印象は意思決定においても重要な要素となる

その他の要素として、人は必ずしも事実を優先するわけではなく、親しみやすさといった本来重要ではない要素を選択の基準とする場合があるというものです。

具体的な例としては、テレビのCMなどです。

CMでは好感度の高い芸能人が起用されて商品を宣伝します。

これは、人がその好感度が高い人が勧めるのだから良いものに違いないと認識してしまうためです。

極端なことを言ってしまえば、宣伝しているものが必ずしも競合する他の製品よりも優れていなくて良いわけです。

人はイメージのみで選択を決定してしまう場合があります。

イメージというのも無視できない要素になります。

これは芸能人だけでなく、医師自身にも言えることで、ホームページの写真や資格情報、実際に医師に会ったときの印象というのも選択決定の際に無視できない要素となります。

さらに言えば、施設自体についても、部屋はきれいにされているのかや、待ち時間、受付の対応など、さまざまな印象から、その医療施設、医師が信頼に足りうるのかどうかが無意識下にチェックされています。

最後に、感情というのは意思決定において非常に重要な働きをしています。

脳の一部が損傷された患者の研究において、感情をつかさどる領域が損傷されている場合には、さまざまな選択が必要な実験において、正確に判断できなかったことが報告されています。

感情は一見、論理的な判断とは無関係のように思われますが、実は正確な選択において必要不可欠な要素であることが研究によって示されているのです。

まとめ

近年の心理学的な研究の進歩によって、さまざまな要素が意思決定に影響していることが分かってきました。

我々医療者もそれらについて十分に理解する必要があり、また知らず知らずのうちにバイアスに影響されないように普段から注意する必要があります。

参考文献

The Fallacy of the Consultation and Informed Consent Process in Radiation Oncology Through the Lens of Prostate Cancer

Affiliations

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