小細胞肺癌治療の将来展望について
まとめ
解説
今回は小細胞肺癌の治療に関しての話題です。
最近、小細胞肺癌の治療法に関していくつかの重要な研究が報告されており、近い将来、治療の内容が変わっていく可能性があります。
小細胞肺癌は以前の記事でも触れましたが、放射線治療の中では特殊な分野で、1日2回照射を行う疾患です。
現在では1日2回照射はごく限られた状況でしか用いられません。
照射線量の増加
ひとつめの変化としては、照射線量の増加です。
現在の小細胞肺癌への放射線治療では1回1.5Gyを30回(1日2回なので合計15日)かけて治療を行います。
過去にも線量増加の試験は行われていますが、それらでは明らかに治療成績を改善することができなかったと記憶しています。
今回の報告では1回1.5Gyを1日2回の計40回、合計で60Gyまで照射した報告で、標準の1日2回照射に比べて治療成績が改善したというものです。
以前に比べると治療方法も改善してきており、より副作用を低減しながら治療が可能となってきており、そういった部分で線量増加のメリットを以前よりも受けやすくなったのかもしれません。
1日1回の寡分割照射へ
上にも述べたように、小細胞肺癌の放射線治療は1日2回照射が標準です。
しかしながら、1日2回照射というのは患者本人にも、そして医療者側にとっても負担が2倍になるというデメリットがあります。
可能であれば1日1回照射で良好な治療成績を出したいという願望はあります。
これは以前の記事で紹介した論文ですが、1回に照射する線量を増加した寡分割照射によって、従来の放射線治療よりも有効であることが示されました。
今後、1日1回照射が広まっていく可能性は十分にあると考えます。
免疫治療の導入
最後は、薬に関する話題です。
非小細胞肺癌においては免疫療法の導入により明確な治療成績の改善が示されており、標準治療がすでに変わってきている状況です。
免疫療法じたいは一つの領域で導入された薬剤が、他の領域にも広く適応されていく傾向にあります。
肺癌領域は薬物療法の研究が最も進んでいる領域と言って過言ではなく、小細胞肺癌の治療においても今後免疫療法の導入が進んでいく可能性は高いと考えます。
以上、小細胞肺癌治療の将来展望について触れました。
これらの治療はまだ現在では標準治療とはなっていませんが、さらなる研究が進むことで、近い将来、標準治療が変わっていく可能性は高いと考えます。
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