がん患者が医療者に求めるもの・求めないもの
今回はがん患者が医療者にどのようなことを期待しているのか、逆にどのようなことは期待していないのかについてです。
どちらかというと患者さん向けというよりは医療者向けの内容かもしれませんが、興味深かったので取り上げました。
患者が重要だと考える要素①
1:医療者が患者の状態を適切に判断し、治療方針を決定できること
具体的には、以下のような感じです。
治療医は初めての診察前に、患者の情報をカルテや紹介状から十分に収集している。
患者は治療医が自分と同じ疾患の他の患者を日々適切に診療していると信頼できる。
治療医はその疾患の治療に関して十分な経験と知識を有している。
治療医は患者の最新の検査結果について十分に把握している。
治療医は十分な情報から患者の治療適応について慎重に判断することができる。
患者が重要だと考える要素②
2:医療者は患者に対して十分に共感し、尊敬の念をもって接していること
具体的には、
看護師は患者の気分や感情について十分に知覚・受容できている。
看護師は患者に対して正直である。
治療医は診療の際に患者への敬意を忘れずに接している。
患者が重要だと考える要素③
3:十分な情報の共有
具体的には、
治療医は他の治療選択肢についても提示している。
患者が家に帰っても参照できるような情報・データを提供している。
治療医は患者が治療方針を決定するにあたり、提供した情報を十分に理解しているかどうかを把握している。
治療医は患者の関心のある事柄について注意深く傾聴している。
患者が重要とは考えていない要素
いっぽうで、患者が重要とは考えていない要素は以下のようなものです。
患者はいつも同じ治療室・診察室で治療を受けている。
待合室が素敵に飾り付けされている。
待合室やその近くに食事や飲料を提供する場がある。
待合室でプライバシーが十分に保たれるだけのスペースがある。
治療のスタッフはいつも同じメンバーである。
待合室の椅子などが快適である。
その施設には治療に関しての支援について情報を提供してくれるスタッフがいる。
治療に伴う経済的、社会的問題に関して情報を提供してくれるソーシャルワーカーがいる。
診察の際の待ち時間が少ない。
診察室や治療室が静かである。
以上です。
いちおう上のほうが重要度が低いものとなっています。
もちろん、これらが不要であるというわけではなく、重要性という意味で、患者はそこまで重要視していないということです。
この論文自体はカナダからのものになるため、人種や環境による違いもあるかとは思いますが、個人的には日本に当てはめても大きな違いは無いと考えています。
まとめ
患者が医療者にどのような要素を求めているのかを見てきました。
もちろん施設が綺麗であったり、待合で快適に過ごせるに越したことはないですが、それは診療の本質ではなく、患者が求めるものは、端的に言ってしまえば治療成績ということに尽きるのではないでしょうか。
そして、良好な治療成績という結果をだすためには、治療医の能力や、看護師のサポート、そして良好な信頼関係の構築、といった要素を患者は重要視しているということなのだと思います。
自分自身も日常臨床を振り返って、まだまだ足りていないなと感じる部分もあったので非常に興味深い内容でした。
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