放射線治療の排尿痛|原因・対処法・受診の目安を専門医が解説

患者

放射線治療を受けているのですが、
排尿するときにしみるような痛みがあります。
大丈夫なのでしょうか?

放射線治療医

骨盤の放射線治療では、排尿痛が出ることがあります。
多くは一時的な副作用なので、原因や対処法をわかりやすく説明します。

放射線治療を受けていると、排尿時にしみるような痛み(排尿痛)が出ることがあります。

この症状は、特に前立腺・膀胱・子宮・直腸など骨盤周囲の放射線治療で比較的よくみられる副作用です。

しかし

  • 治療を続けてもよいのか
  • 薬が必要なのか
  • 感染症ではないのか

と不安になる方も少なくありません。

この記事では、放射線治療による排尿痛について

  • 起こる原因
  • 症状の特徴
  • 対処法
  • 受診が必要なサイン

放射線治療専門医の視点からわかりやすく解説します。

▶ 放射線治療の副作用の全体像はこちら
内部リンク:放射線治療の副作用まとめ


放射線治療で排尿痛は起こる?

患者

放射線治療で排尿痛が出るのは珍しいことですか?

放射線治療医

いいえ、骨盤の放射線治療では比較的よくみられる症状です。
特に前立腺や膀胱の治療では起こることがあります。

結論から言うと、放射線治療で排尿痛が起こることはあります。

特に以下の治療で起こりやすい副作用です。

  • 前立腺がんの放射線治療
  • 膀胱がんの放射線治療
  • 子宮頸がんの放射線治療
  • 直腸がんの放射線治療

骨盤内の放射線治療では、膀胱や尿道の粘膜が刺激されるため排尿時の痛みが起こることがあります。

▶ 関連記事
前立腺がんの放射線治療における副作用まとめ


放射線治療による排尿痛の頻度

患者

排尿痛はどのくらいの人に起こるのでしょうか?

放射線治療医

軽い膀胱症状は10〜30%程度の方にみられます。
ただし強い症状はそれほど多くありません。

放射線治療による排尿痛は、骨盤の放射線治療では比較的よくみられる副作用です。

特に以下の治療で起こることがあります。

  • 前立腺がんの放射線治療
  • 膀胱がんの放射線治療
  • 子宮頸がんの放射線治療
  • 直腸がんの放射線治療

研究では、放射線治療による軽度〜中等度の膀胱症状(頻尿・排尿痛など)は約10〜30%程度と報告されています。

一方で

  • 強い排尿痛
  • 排尿困難
  • 重度の膀胱炎

などの重症例は比較的まれです。

近年は

  • IMRT(強度変調放射線治療)
  • IGRT(画像誘導放射線治療)

などの技術の進歩により、膀胱への放射線量を抑えることが可能になり、副作用の頻度は以前より減少しています。

参考

https://www.astro.org
American Society for Radiation Oncology

https://uroweb.org/guidelines
European Association of Urology Guidelines


放射線治療による排尿痛の原因

患者

どうして放射線治療で排尿痛が起こるのですか?

放射線治療医

膀胱や尿道の粘膜に軽い炎症が起こるためです。
これを放射線性膀胱炎と呼びます。

主な原因は放射線性膀胱炎(radiation cystitis)です。

放射線によって膀胱や尿道の粘膜に炎症が起こり、

  • 排尿時の痛み
  • 頻尿
  • 残尿感
  • 尿のしみる感じ

などの症状が出ます。

炎症は通常軽度で一時的なことが多いです。

参考
https://www.nccn.org/guidelines (NCCN Guidelines)

https://uroweb.org/guidelines (European Association of Urology Guidelines)

放射線性膀胱炎についてはこちらで詳しく解説しています。


排尿痛はいつから出る?

患者

治療を始めてからどのくらいで症状が出ますか?

放射線治療医

多くは治療開始から2〜4週間頃に出ることが多く、
治療終了後に徐々に改善していきます。

排尿痛は一般的に

治療開始から2〜4週間頃

に出ることが多いです。

放射線治療による膀胱炎は

  • 治療後半
  • 治療終了直後

にピークになることが多く、治療終了後に徐々に改善します。

多くの場合

数週間〜数ヶ月で自然に軽快します。


排尿痛と一緒に起こりやすい症状

患者

排尿痛だけではなく、トイレが近くなった気がします。

放射線治療医

それもよくある症状です。
頻尿や残尿感など、膀胱の刺激症状が一緒に出ることがあります。

排尿痛だけでなく、以下の症状を伴うことがあります。

頻尿

トイレが近くなる症状です。

内部リンク:放射線治療の頻尿

残尿感

排尿後も尿が残っているように感じることがあります。

軽い血尿

膀胱粘膜の炎症により

薄い血尿が出ることがあります。

ただし

  • 強い血尿
  • 血の塊

が出る場合は受診が必要です。

放射線治療による血尿についてはこちらの記事で解説しています。


排尿痛の対処法

患者

排尿痛があるときは、どうすればいいですか?

放射線治療医

まずは水分をしっかり取ることが大切です。
症状が強い場合は、膀胱の薬を使うこともあります。

多くの場合、症状を和らげる治療を行います。

主な対処法は以下です。

水分をしっかりとる

尿を薄めることで

膀胱への刺激を減らす

ことができます。

目安
1.5〜2L/日

(心臓や腎臓の病気がある場合は主治医と相談)

水分摂取サポート

排尿痛があるときは、水分を十分にとることで尿が薄まり、
膀胱への刺激を軽減できることがあります。

外出時や食事量が少ないときは、
経口補水液を利用すると水分補給がしやすいことがあります。


膀胱炎の薬

症状が強い場合は

  • 消炎薬
  • 膀胱保護薬
  • 排尿改善薬

などを使用します。


感染症のチェック

排尿痛が強い場合

細菌性膀胱炎

の可能性もあるため

尿検査を行うことがあります。

下腹部を温める

膀胱周囲の違和感がある場合は、
下腹部を温めることで症状が楽になることがあります。
湯たんぽなどを使用するのも一つの方法です。


排尿痛を悪化させる生活習慣

患者

コーヒーは飲んでも大丈夫でしょうか?

放射線治療医

カフェインやアルコールは膀胱を刺激することがあります。
症状があるときは控えると楽になることがあります。

排尿痛があるときは、膀胱を刺激する飲食物や生活習慣によって症状が強くなることがあります。

以下のものは症状を悪化させる可能性があります。

カフェイン

コーヒーやエナジードリンクなどのカフェインは

  • 膀胱刺激
  • 利尿作用

があるため、排尿痛や頻尿を悪化させることがあります。

ノンカフェイン飲料

排尿痛があるときは、コーヒーなどのカフェイン飲料を控え、
ノンカフェインのハーブティーなどに切り替えると
膀胱刺激症状が楽になることがあります。


アルコール

アルコールは

  • 膀胱粘膜刺激
  • 利尿作用

があり、排尿痛があるときは症状が強くなることがあります。


香辛料

唐辛子などの強い刺激物は

膀胱刺激症状を悪化させる可能性があります。


炭酸飲料

炭酸飲料は膀胱刺激を引き起こすことがあり、症状がある場合は控えた方がよいことがあります。


水分不足

水分が少ないと尿が濃くなり

排尿時の刺激や痛みが強くなることがあります。

排尿痛がある場合は

1.5〜2L程度の水分摂取

を目安にすることが推奨されます。

(心臓・腎臓の病気がある場合は主治医に相談してください)


受診が必要な症状

患者

どんなときに病院に相談した方がいいですか?

放射線治療医

強い血尿、発熱、排尿できないなどの症状がある場合は、早めに主治医に相談してください。

以下の症状がある場合は、必ず主治医に相談してください。

  • 強い血尿
  • 発熱
  • 排尿できない
  • 激しい痛み
  • 症状が急激に悪化

感染症が隠れていることがあります。


排尿痛は治療を中断する必要がある?

ほとんどの場合

放射線治療は継続できます。

排尿痛は

  • 軽度〜中等度
  • 一時的

なことが多く、薬でコントロール可能です。

ただし

  • 症状が強い
  • 感染症がある

場合は、一時的に治療を調整することがあります。


将来に影響する後遺症はある?

ほとんどの場合

排尿痛は一時的な副作用です。

しかし、まれに

晩期放射線膀胱炎

と呼ばれる後遺症が起こることがあります。

症状

  • 血尿
  • 排尿痛
  • 頻尿

などです。

頻度は数%以下とされています。

参考
https://www.astro.org (American Society for Radiation Oncology)

放射線性膀胱炎の記事はこちら


患者

排尿痛があっても、
放射線治療は続けられるのでしょうか?

放射線治療医

多くの場合は薬で症状をコントロールしながら治療を続けることができます。心配な場合は早めに相談してください。


専門医コメント

放射線治療による排尿痛は、骨盤照射で比較的よくみられる副作用ですが、多くは一時的であり、治療終了とともに改善します。

臨床的に重要なのは、感染症との区別です。排尿痛が強い場合や発熱を伴う場合には、尿検査で膀胱炎を確認することがあります。

また、近年は

  • IMRT
  • IGRT
  • 強度変調放射線治療

などの技術の進歩により、膀胱への線量を抑えることができ、副作用の頻度は以前より低下しています。

症状がある場合でも、多くは薬でコントロールしながら安全に治療を継続できますので、我慢せず主治医に相談してください。


まとめ

放射線治療による排尿痛のポイント

  • 骨盤の放射線治療で起こることがある
  • 原因は放射線性膀胱炎
  • 治療開始2〜4週頃から出ることが多い
  • 多くは治療終了後に改善
  • 水分摂取や薬で対処できる
  • 発熱や強い血尿がある場合は受診が必要

放射線治療の副作用について詳しく知りたい方はこちら

内部リンク:放射線治療の副作用まとめ


FAQ(よくある質問)

放射線治療で排尿痛はよく起こりますか?

骨盤の放射線治療では比較的よくみられる副作用で、膀胱や尿道の粘膜に炎症が起こることで排尿時に痛みが出ることがあります。

排尿痛はいつから出ますか?

多くの場合、治療開始から2〜4週間頃に症状が出始めます。

排尿痛は治療が終わると治りますか?

多くの場合、治療終了後数週間〜数ヶ月で改善します。

排尿痛があると放射線治療は中断しますか?

ほとんどの場合、薬などで症状をコントロールしながら治療を継続できます。

排尿痛があるとき水分は多く取った方がよいですか?

尿を薄めて膀胱の刺激を減らすため、水分摂取は有効とされています。

血尿が出ることはありますか?

軽い血尿が出ることがありますが、強い血尿や血の塊が出る場合は受診が必要です。

感染症との違いはどう判断しますか?

尿検査を行い、細菌が検出されるかどうかで判断します。

排尿痛は後遺症になりますか?

多くは一時的ですが、まれに晩期放射線膀胱炎が起こることがあります。

市販薬で治りますか?

症状によっては処方薬が必要なことがあるため、主治医に相談してください。

排尿痛が強いときの受診目安は?

発熱、強い血尿、排尿困難、痛みの急激な悪化がある場合は早めに受診してください。


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  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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