SRTとは?定位放射線治療の仕組み・適応・SBRTとの違いを専門医が解説

がんの放射線治療の中には、数ミリ単位の精度でピンポイント照射する治療があります。

それが SRT(定位放射線治療:Stereotactic Radiotherapy)です。

従来の放射線治療よりも

  • 高精度
  • 正常組織への影響が少ない
  • 治療回数が少ない

という特徴があります。

この記事では

・SRTとは何か
・SBRTとの違い
・どのがんに使われるのか
・治療の流れ

国際ガイドラインと最新研究に基づいて解説します。


SRTとは(定位放射線治療)

SRT(Stereotactic Radiotherapy)とは

三次元画像を使って病変にピンポイントで放射線を当てる高精度放射線治療

です。

定位放射線治療では

  • CT
  • MRI
  • 位置追跡システム

を用いて

ミリ単位の精度で照射位置を決定します。

これにより

  • 周囲の正常組織を守りながら
  • 病変に強い線量を集中

させることが可能になります。

この治療概念は現在

  • 脳腫瘍
  • 肺腫瘍
  • 転移性腫瘍

などで広く使用されています。


SRTとSBRTの違い

SRTとSBRTは混同されることが多いですが、基本的な概念は同じです。

名称意味
SRT定位放射線治療(総称)
SRS1回照射の定位治療
SBRT体幹部の定位放射線治療

つまり

SBRTはSRTの一種です。

特に

  • 肝臓
  • 膵臓
  • 前立腺

などの体幹部腫瘍に行う定位放射線治療を

SBRT(Stereotactic Body Radiotherapy)

と呼びます。

詳しくはこちら

SBRTとは(定位体幹部放射線治療)


SRTの特徴

SRTには次の特徴があります。

高精度照射

画像誘導技術(IGRT)により

数ミリ以内の誤差で照射できます。

これは通常の放射線治療よりも
はるかに高精度です。


高線量照射が可能

正常組織への影響が少ないため

1回あたりの線量を高くすることが可能

です。

その結果

  • 治療回数が少ない
  • 治療期間が短い

というメリットがあります。


局所制御率が高い

定位放射線治療は

手術に近い局所制御率

を示すことが多く、

特に

  • 早期肺がん
  • 脳転移

などでは標準治療の一つとなっています。


SRTが使われる主な病気

定位放射線治療は次のような病気で使用されます。

脳腫瘍

  • 脳転移
  • 髄膜腫
  • 聴神経腫瘍

など。

ガンマナイフなどの治療が代表的です。

ガンマナイフとは


脳転移

脳転移に対するSRTは

現在の標準治療の一つです。

多くの国際ガイドラインでも

  • 手術
  • 定位放射線治療

が推奨されています。

脳転移の放射線治療


早期肺がん

手術が難しい患者では

SBRTが標準治療

となります。

早期肺がんの放射線治療


転移性腫瘍(オリゴ転移)

近年は

オリゴ転移に対する局所治療

としても注目されています。

オリゴ転移とは


SRTの治療の流れ

一般的な治療の流れは以下です。

1 診察

放射線治療医が

  • 病気の状態
  • 画像
  • 適応

を評価します。


2 治療計画CT

照射位置を決めるために

専用CT

を撮影します。

必要に応じて

  • MRI
  • PET

を融合します。


3 治療計画

医学物理士と協力して

最適な照射計画

を作成します。


4 治療

定位放射線治療では

  • 1回
  • 数回

の照射で終了することが多いです。


SRTの副作用

SRTは比較的安全な治療ですが、副作用が起こることがあります。

主なものは

  • 放射線脳壊死
  • 放射線肺炎
  • 疲労感

などです。

ただし

通常の放射線治療より副作用は少ない

とされています。


国際ガイドラインでの位置づけ

定位放射線治療は

世界的なガイドラインでも広く推奨されています。

  • ASTROガイドライン
  • NCCNガイドライン
  • ESTROガイドライン

参考

ASTRO
https://www.astro.org

NCCN
https://www.nccn.org

ESTRO
https://www.estro.org


主なエビデンス

定位放射線治療の有効性は多くの研究で示されています。

代表的な研究

  • Gomez DR et al. Lancet Oncology
    (オリゴ転移に対する局所治療)
  • SABR-COMET trial
    (転移がんに対する定位治療)

これらの研究では

定位放射線治療が生存率を改善する可能性

が示されています。


今後の放射線治療の進化

定位放射線治療は現在も進化しています。

最新技術

  • MRリニアック
  • AI治療計画
  • 適応放射線治療

などです。

→内部リンク

MRリニアックとは


専門医コメント

定位放射線治療は、近年の放射線治療の中でも特に進歩の大きい分野です。

従来は手術が必要だった病気でも、

  • 高齢
  • 合併症
  • 手術困難

などの理由で手術が難しい患者さんに対して、非常に重要な治療選択肢となっています。

また最近では

オリゴ転移に対する根治的治療

としても注目されています。

ただし、すべての患者に適応となるわけではなく、

  • 腫瘍の大きさ
  • 位置

などを総合的に判断して治療が決定されます。

放射線治療専門医と相談することが重要です。


FAQ(よくある質問)

SRTとは何ですか?

定位放射線治療のことで、病変にピンポイントで放射線を照射する高精度治療です。


SBRTとの違いは?

SBRTは体幹部の定位放射線治療を指します。
つまりSBRTはSRTの一種です。


治療回数は何回ですか?

病気によりますが

1〜5回程度

のことが多いです。


痛みはありますか?

放射線治療自体に痛みはありません。


入院が必要ですか?

多くの場合

外来治療

で可能です。


副作用はありますか?

副作用はありますが、通常の放射線治療より少ない傾向があります。


手術より良い治療ですか?

病気によって異なります。
手術が第一選択のことも多いです。


高齢でも受けられますか?

多くの場合可能です。
むしろ手術が難しい患者で選択されることがあります。


日本でも受けられますか?

多くの病院で行われています。


保険は使えますか?

多くの適応で保険診療です。


まとめ

SRT(定位放射線治療)は

ミリ単位の精度で放射線を照射する高精度治療

です。

特徴

  • 高精度照射
  • 治療回数が少ない
  • 副作用が少ない

現在では

  • 脳転移
  • 早期肺がん
  • オリゴ転移

などで重要な治療となっています。

  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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