肺がんのステージごとの予後(生存率)をわかりやすく解説【最新エビデンス】

肺がんと診断されたとき、多くの方が最初に気になるのが
「自分のステージでどのくらい生きられるのか」
という点です。

しかし、インターネット上には古い情報や誤解も多く、不安が強くなる原因になっています。

この記事では、
・最新のメタアナリシス
・大規模データ
・国際ガイドライン
などをもとに、肺がんのステージごとの予後を専門医の視点から解説します。

肺がんのステージとは?(TNM分類)

肺がんのステージは、世界的に
IASLC(International Association for the Study of Lung Cancer)
によるTNM分類が使われています。

  • T:腫瘍の大きさ・広がり

  • N:リンパ節転移

  • M:遠隔転移

これらを総合して、
ステージⅠ〜Ⅳ に分類されます。

現在は
AJCC第8版が世界標準です。

【重要】肺がんの予後は年々改善している

まず大前提として、肺がんの予後は
近年大きく改善しています。

理由は以下です。

  • 低侵襲手術の進歩

  • 高精度放射線治療

  • 分子標的薬

  • 免疫チェックポイント阻害薬

  • 早期発見(CT検診)

特に
免疫療法の登場以降、生存率は従来のデータより向上しています。

非小細胞肺癌の最新情報に関してはこちら

ステージⅠの予後(早期肺がん)

5年生存率の目安

70〜90%

(手術可能な非小細胞肺がん)

特徴

  • 腫瘍が肺に限局

  • リンパ節転移なし

  • 遠隔転移なし

最新エビデンス

早期肺がんでは、
手術が標準治療です。

近年は、

  • 胸腔鏡手術

  • ロボット手術

  • 体幹部定位放射線治療(SBRT)

の進歩により、治療成績は改善しています。

特に高齢者や手術困難例では
SBRTの長期成績も良好であり、
手術に匹敵する可能性が報告されています。

(Lancet Oncology、JCOなどのメタアナリシス)

ステージⅠのポイント

✔ 完治が十分期待できる
✔ 再発しても治療可能
✔ 定期フォローが重要

ステージⅡの予後

5年生存率

50〜70%

特徴

  • 腫瘍がやや大きい

  • 近くのリンパ節に転移

治療

  • 手術

  • 術後補助化学療法

最近では

  • 術後免疫療法

  • 分子標的薬

の導入により、再発率が低下しています。

特にEGFR変異肺がんでは
術後分子標的薬により再発抑制が示されています。

ポイント

✔ 早期に近いが再発リスクあり
✔ 術後治療が重要

ステージⅢの予後(局所進行)

5年生存率

20〜40%

※病期の幅が広く個人差が大きい

特徴

  • 縦隔リンパ節転移

  • 手術が困難なことも多い

治療の進歩(非常に重要)

近年、最も予後改善が大きいステージです。

化学放射線療法後に
免疫療法を行うことで、

長期生存が大きく向上しました。

代表的なのが

PACIFIC試験(NEJM掲載)です。

この研究では、

  • 無増悪生存期間

  • 全生存期間

ともに有意な改善が示されました。

New England Journal of Medicine

肺がんの免疫治療に関する記事はこちら

肺がんの免疫治療に関して、こちらの記事で詳しく解説しています。

ステージⅢのポイント

✔ 治癒を目指せる
✔ 近年最も成績が向上
✔ 集学的治療が重要

ステージⅣの予後(転移性肺がん)

5年生存率

5〜20%

※従来は5%未満でした

特徴

  • 遠隔転移あり

  • 完治は難しいことが多い

しかし、ここ10年で大きく変化

特に以下で予後が改善しています。

①分子標的治療

EGFR、ALKなどの遺伝子変異がある場合

  • 生存期間中央値が数年に延長

②免疫療法

一部の患者では

  • 長期生存

  • 10年以上の生存

も報告されています。

オリゴ転移(少数転移)

最近注目されている概念です。

転移が少ない場合

  • 放射線

  • 手術

などの局所治療で長期生存が期待されます。

オリゴ転移の記事はこちら

オリゴ転移(少数転移)について詳しく解説しています。

脳転移に対する放射線治療の記事はこちら

 

ポイント

✔ 個別化医療が重要
✔ 遺伝子検査は必須
✔ 長期生存も珍しくない

肺がんステージ別 予後・治療・特徴まとめ

ステージ5年生存率の目安主な治療治癒の可能性最近の進歩
70〜90%手術・SBRT高い低侵襲治療
50〜70%手術+術後治療高い術後免疫療法
20〜40%化学放射線+免疫療法一部で可能大幅に改善
5〜20%薬物療法限定的個別化医療

小細胞肺がんの予後

小細胞肺がんは進行が速いですが、
治療に反応しやすい特徴があります。

限局型

5年生存率
20〜30%

進展型

中央値生存
1〜2年

免疫療法の導入により
改善傾向にあります。

小細胞肺がんの放射線治療の記事はこちら

予後を左右する5つの重要因子

肺がんの予後は、ステージだけでは決まりません。

①遺伝子変異

EGFRなど

②全身状態(PS)

③年齢・併存疾患

④治療可能性

⑤治療施設

専門施設ほど成績が良いことが知られています。

生存率を改善する要因

因子内容
遺伝子変異分子標的薬が使用可能
免疫反応免疫療法の効果
体力治療継続が可能
早期発見治療選択が増える
専門施設集学的治療

長期生存が期待できる患者の特徴

特徴理由
遺伝子変異あり有効薬が存在
少数転移局所治療可能
免疫療法が奏効長期効果
全身状態が良い治療選択が広い

【専門医からのメッセージ】

肺がんは
「不治の病」ではありません。

特に近年は

  • 早期発見

  • 精密医療

  • 放射線

  • 免疫療法

により、生存率は着実に向上しています。

また、統計はあくまで平均であり、
個人の予後を決定するものではありません。

まとめ

✔ ステージⅠは高い治癒率
✔ ステージⅡも根治可能
✔ ステージⅢは近年大きく改善
✔ ステージⅣでも長期生存が増加
✔ 個別化医療が最重要

肺がんの放射線治療まとめ記事はこちら

肺がんの生存率FAQ

Q1:肺がんはステージごとにどのくらい生きられますか?

肺がんの予後はステージによって大きく異なります。
一般的には、

・ステージⅠ:5年生存率 約70〜90%
・ステージⅡ:約50〜70%
・ステージⅢ:約20〜40%
・ステージⅣ:約5〜20%

ただし近年は、免疫療法や分子標的薬の進歩により、特にステージⅢ・Ⅳの生存率が改善しています。
また、統計はあくまで平均であり、個人の予後を正確に予測するものではありません。

Q2:ステージⅣでも長く生きることはできますか?

はい、可能です。
以前は生存期間が短いとされていましたが、現在は以下の治療によって長期生存例が増えています。

・分子標的薬(EGFR、ALKなど)
・免疫チェックポイント阻害薬
・局所治療(少数転移)

特に遺伝子変異がある患者さんでは、数年以上の生存も珍しくありません。

Q3:肺がんの予後は何によって決まりますか?

ステージ以外にも、以下の要素が重要です。

・遺伝子変異
・体力(PS)
・年齢や併存疾患
・治療への反応
・専門施設での治療

近年は個別化医療が進み、同じステージでも予後に大きな差があります。

Q4:早期肺がんは完治しますか?

早期肺がん(ステージⅠ)は、適切な治療により完治が十分期待できます。
手術だけでなく、放射線治療(体幹部定位放射線治療)でも高い治癒率が報告されています。

ただし再発リスクはゼロではないため、定期的な検査が重要です。

Q5:免疫療法はどのステージでも使えますか?

免疫療法は主に以下の場面で使用されます。

・手術後の補助療法
・化学放射線療法後(ステージⅢ)
・転移性肺がん(ステージⅣ)

現在は治療の重要な柱となっており、生存率の改善に大きく貢献しています。

Q6:肺がんの統計は古いと聞きましたが本当ですか?

はい、多くの生存率データは数年前の治療成績をもとにしています。
そのため、最新の治療を受ける患者さんの予後は、統計より良い可能性があります。

特に免疫療法が普及した2018年以降は、大きな変化が起きています。

参考文献(代表的レビュー)

Goldstraw P et al. The IASLC Lung Cancer Staging Project.
NSCLC survival meta-analysis Lancet Oncology.
Adjuvant therapy systematic review JCO.
PACIFIC trial NEJM.
Immunotherapy meta-analysis in advanced NSCLC.

広告