【最新データ】前立腺がんの5年・10年生存率|リスク別・治療別に専門医が詳しく解説
前立腺がんは「予後が良いがん」と言われますが、
実際にはリスク分類や治療法によって長期成績は異なります。
この記事では、世界的に評価の高い研究(ProtecT試験、メタアナリシスなど)をもとに、
5年・10年生存率、再発率、局所制御率をわかりやすく解説します。
前立腺がんの予後はリスク分類で大きく変わる
国際的には
National Comprehensive Cancer Network
や
European Association of Urology
に基づき、以下の3つに分類されます。
低リスク
中間リスク
高リスク
この分類は、生存率・再発率を決める最重要因子です。
前立腺がんのリスクについてはこちら
リスク分類について詳しく解説しています。
低リスク前立腺がんの予後
① 5年・10年生存率
低リスク前立腺がんでは、どの治療でも長期予後は非常に良好です。
代表的なランダム化試験(New England Journal of Medicine ProtecT試験)では、
15年以上追跡した結果、
■前立腺がん死亡率
監視療法:約3%
手術:約2%
放射線:約3%
つまり
👉 10〜15年の時点でも死亡率は数%程度です。
■全生存率
約97%以上
治療法による有意差はありませんでした。
② 局所再発・生化学的再発
低リスクでは
PSA再発は一定数起こりますが
実際の死亡につながることは少ない
ProtecT試験では
10年以内の進行率は
監視療法:約20%
手術・放射線:約8〜10%
でした。
つまり
👉 監視療法では進行率はやや高いが、死亡率はほぼ同じです。
監視療法の長期経過
| 項目 | 10年 |
|---|---|
| 進行 | 約20% |
| 治療開始 | 約30〜40% |
| 前立腺がん死亡 | 約3% |
👉 ポイント
低リスクでは多くの患者が長期間治療不要です。
③ 低リスクの重要なポイント
✔ 10年生存率は非常に高い
✔ 再発しても救済治療が可能
✔ 多くの患者で監視療法が安全
中間リスク前立腺がんの予後
① 5年生存率
多くのメタアナリシスでは
5年生存率は低リスクとほぼ同等
■5年全生存率
👉 約95〜98%
しかし長期になると差が出てきます。
② 10年生存率
10年以降では
中間リスクは低リスクよりやや予後が悪くなります。
■10年がん特異生存率
👉 約90〜95%
これは
病期の不均一性
unfavorable群の存在
によります。
③ 再発率
中間リスクでは
■10年生化学再発率
手術:約20〜30%
放射線:約15〜30%
研究によって幅がありますが、
👉 治療法による大きな差はありません。
④ favorableとunfavorableの違い
favorable
予後は低リスクに近い
監視療法も可能
unfavorable
再発率が高い
ホルモン併用が重要
高リスク前立腺がんの予後
① 5年生存率
高リスクでは再発率が高くなります。
■5年全生存率
👉 約85〜95%
ただし治療内容により差が大きくなります。
② 10年生存率
■10年がん特異生存率
👉 約70〜90%
集学的治療により改善しています。
③ 再発率
■10年生化学再発
手術:約40〜60%
放射線単独:約30〜50%
放射線+小線源:約20〜40%
近年は
👉 外照射+小線源+ホルモン
の成績が最も良好と報告されています。
④ 転移リスク
高リスクでは
10年で
👉 約20〜40%が転移
する可能性があります。
オリゴ転移の詳しい記事はこちら
オリゴ転移(少数転移)の基準から予後まで、放射線治療専門医が詳しく解説しています。
前立腺がんのリスク別 長期予後まとめ
| リスク分類 | 5年生存率 | 10年がん特異生存率 |
|---|---|---|
| 低リスク | 約95〜99% | 約95〜98% |
| 中間リスク | 約95〜98% | 約90〜95% |
| 高リスク | 約85〜95% | 約70〜90% |
👉 ポイント
低リスクでは長期予後は非常に良好ですが、高リスクでは差が大きくなります。
治療法別の長期成績
手術
10年生化学非再発率
低リスク:約85〜90%
中間:約70〜80%
高:約40〜60%
外照射放射線
10年非再発率
低リスク:約85〜95%
中間:約70〜85%
高:約50〜70%
小線源治療
10年非再発率
低リスク:約90〜95%
中間:約80〜90%
高リスクでは
外照射との併用が重要です。
前立腺がんの治療法の詳しい記事はこちら
放射線治療専門医の立場から、前立腺がんの治療法について網羅的に詳しく解説しています。
治療法別 10年再発率
| 治療 | 低リスク | 中間リスク | 高リスク |
|---|---|---|---|
| 手術 | 約10〜15% | 約20〜30% | 約40〜60% |
| 外照射 | 約5〜15% | 約15〜30% | 約30〜50% |
| 小線源 | 約5〜10% | 約10〜20% | 約20〜40% |
👉 ポイント
放射線+小線源の併用は高リスクでも良好な結果を示します。
手術と放射線はどちらが優れている?
大規模レビューでは
✔ 生存率はほぼ同等
✔ 再発パターンが異なる
✔ 副作用が異なる
とされています。
そのため
👉 個別化医療が重要
前立腺がんの治療選択をどうするのか?
放射線治療専門医の立場から、前立腺がんの治療選択について、リスク分類に基づいて分かりやすく解説しています。
前立腺がんの治療後の経過観察と再発について
経過観察と再発時の対応について、詳しく解説しています。
最新の重要ポイント
世界的な研究をまとめると
✔ 低リスクでは死亡率は非常に低い
✔ 中間リスクでは長期フォローが重要
✔ 高リスクでは集学的治療が必須
✔ 手術と放射線の長期生存率はほぼ同等
まとめ
前立腺がんは、
「正しい治療を選べば長期生存が期待できるがん」です。
しかし、
リスク分類
年齢
合併症
副作用
によって最適な治療は異なります。
不安がある場合は、
専門医に相談し、十分な説明を受けてから治療を決めることが重要です。
前立腺癌のまとめ記事はこちら
前立腺がんの生存率・予後に関するFAQ
Q1. 前立腺がんの5年生存率はどれくらいですか?
前立腺がんの5年生存率は約95〜99%と非常に高いとされています。
特に低リスク前立腺がんでは、ほとんどの患者が長期生存可能です。
これは早期発見が多く、進行が比較的ゆっくりであることが理由です。
Q2. 前立腺がんの10年生存率は?
10年がん特異生存率は以下のように報告されています。
低リスク:95%以上
中間リスク:90〜95%
高リスク:70〜90%
高リスクでは再発や転移の可能性が高くなるため、長期フォローが重要です。
Q3. 手術と放射線治療ではどちらが長生きできますか?
多くの研究では、手術と放射線治療の長期生存率に大きな差はないとされています。
現在は、副作用や生活の質、年齢、持病などを考慮して治療を選択することが一般的です。
Q4. 低リスク前立腺がんは治療しなくても大丈夫ですか?
低リスク前立腺がんでは、まず「監視療法」を選択することが多くなっています。
定期的なPSA検査やMRI、必要に応じた生検を行い、進行した場合に治療を行います。
研究では、監視療法でも死亡率は非常に低いことが示されています。
Q5. 前立腺がんは再発しやすいですか?
前立腺がんでは、PSAの上昇(生化学的再発)が起こることがあります。
ただし、再発=死亡ではありません。
特に低リスクや中間リスクでは、再発しても長期間安定するケースが多く、追加治療が可能です。
Q6. 高リスク前立腺がんの予後は悪いのでしょうか?
高リスク前立腺がんは再発率が高い傾向がありますが、
放射線治療とホルモン療法などを組み合わせた集学的治療により、
近年は長期生存が期待できる患者も増えています。
Q7. 年齢が高くても治療できますか?
放射線治療やホルモン療法は体への負担が比較的少ないため、高齢の患者でも治療可能です。
患者の全身状態や生活の質を重視して治療方針を決定します。
Q8. 前立腺がんで死亡する可能性はどれくらいですか?
低リスクでは10年以上の死亡率は数%程度とされています。
ただし、高リスクでは長期的に死亡リスクが上昇するため、早期治療と定期的なフォローが重要です。
Q9. 前立腺がんの予後に影響する因子は何ですか?
主な要因は以下です。
PSA値
グリソンスコア
病期
年齢
治療内容
これらを総合的に評価してリスク分類が行われます。
Q10. 前立腺がんの治療を選ぶ際に最も重要なことは何ですか?
最も重要なのは、リスク分類に基づいた治療選択です。
さらに、副作用や生活の質を考慮し、専門医と十分に相談して決定することが大切です。
Q11. 放射線治療は再発した場合でも使えますか?
初回治療が手術の場合、再発時に放射線治療を行うことが可能です。
一方、放射線治療後の再発では、ホルモン療法や追加放射線などが検討されます。
Q12. 小線源治療の成績は良いのでしょうか?
低リスク・中間リスクでは、小線源治療は高い局所制御率が報告されています。
高リスクでは外照射との併用により、さらに成績が改善することが知られています。
参考文献
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National Comprehensive Cancer Network. NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology: Prostate Cancer.
European Association of Urology. EAU Guidelines on Prostate Cancer.
American Society for Radiation Oncology. ASTRO Clinical Practice Guidelines.
本記事は、国際的なガイドラインおよびランダム化比較試験、システマティックレビューをもとに作成しています。
医療情報は日々更新されるため、最終的な治療方針は主治医と相談してください。






















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