膠原病患者における放射線治療の副作用について

目次

1:膠原病と放射線治療
2:放射線治療に伴う副作用の比較
3:まとめ
4:参考文献

膠原病と放射線治療

膠原病と呼ばれる疾患群があります。

皮膚筋炎や多発筋炎、強皮症、SLE、リウマチ性関節炎などといった疾患が含まれています。

膠原病は放射線治療の際には注意が必要な疾患です。

昔から、膠原病の患者では放射線治療によって副作用が強く出ることが知られており、皮膚筋炎や強皮症、SLEなどでは、疾患の活動性によっては治療が禁忌となる場合もあります。

今回は膠原病の患者における放射線治療の副作用について評価したメタアナリシスを紹介します。

放射線治療に伴う副作用の比較

メタアナリシスでは10個の臨床研究を用いて、400例の膠原病患者と、3600例の対照群について放射線治療の副作用を比較しています。

膠原病患者では、Grade2-3以上の急性期副作用およびGrade2-3以上の晩期副作用がいずれも有意に発生率が高いという結果でした。

疾患別では、SLE、全身性強皮症、リウマチ性関節炎においてGrade2-3以上の晩期副作用が有意に多い傾向が見られました。

照射部位については、骨盤・腹部領域、乳房、胸部および皮膚への照射で有意に副作用が多いという結果でした。

晩期副作用のうち、治療関連死の原因となる重篤な副作用についても、膠原病群で多い結果でしたが、発生頻度じたいはそこまで多いというわけではありませんでした(膠原病群:3.9%、対照群:0.6%)。

まとめ

メタアナリシスによって膠原病患者において、放射線治療に伴う副作用が有意に多いという結果が示されましたが、副作用の発生については、膠原病の種類や、照射部位、線量など様々な要素が関係するという結果でした。

膠原病患者の放射線治療については、副作用のリスクについて十分に説明する必要があり、またその後の経過観察についても慎重に行うのが望ましいと考えます。

参考文献

Radiation Toxicity in Patients With Collagen Vascular Disease: A Meta-Analysis of Case-Control Studies

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