肺癌の化学放射線療法後のイミフィンジ維持療法における肺炎について

目次

1:III期肺癌の化学放射線療法後の維持療法
2:維持療法の放射線性肺炎への影響
3:まとめ
4:参考文献

III期肺癌の化学放射線療法後の維持療法

III期の非小細胞肺癌(NSCLC)に対する放射線治療後のDurvalumab(イミフィンジ)を用いた維持療法は、大規模試験で治療成績の改善が示された治療法であり、現在では多くの施設で実施されています。

いっぽうで、実臨床において、この治療を実践してどれぐらいの頻度で肺炎が起こるのかは十分に報告されていませんでした。

放射線治療後の肺炎は一定の確率で起こる治療後の副作用であり、重篤になると肺炎によって死亡する場合も稀ながら存在します。

化学放射線療法の後に維持療法を行うことは、治療成績の改善につながりますが、いっぽうでこの放射線性肺炎の頻度を増加させる可能性があります。

維持療法の放射線性肺炎への影響

今回紹介するのは、維持療法によって放射線性肺炎の発生頻度が変わるのかどうかを評価した研究です。

約2000例について、イミフィンジによる維持療法を行った症例と行わなかった症例でおよそ半数ずつに分けて、肺炎の発生頻度を評価しています。

解析の結果、イミフィンジの維持療法によって、Grade2の肺炎は有意に増加(対照群と比較して1.45倍)するという結果でした。

Grade3-5の肺炎の発生率については維持療法群で有意な増加は見られませんでした。

簡単に言ってしまうとGrade2の肺炎は薬剤投与で改善する肺炎で、Grade3になると入院、酸素投与などより高度な治療が必要になる肺炎で、Grade4では人工呼吸器管理が必要になるというイメージです。

また、Grade3の肺炎については生命予後を悪化させるという結果でしたが、Grade2の肺炎については、生命予後に関する有意な悪影響は認めませんでした。

まとめ

III期非小細胞肺癌における化学放射線療法後のDurvalumab(イミフィンジ)を用いた維持療法は確立された有用な治療法です。

維持療法によってGrade2の放射線性肺炎の発生頻度が上がりますが、生命予後には影響しないという結果でした。

参考文献

Pneumonitis After Chemoradiotherapy and Adjuvant Durvalumab in Stage III Non-Small Cell Lung Cancer

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