【がんで収入はいくら減る?】休職・時短勤務の減収をシミュレーション|傷病手当金も解説

放射線治療医

がん治療では、思っている以上に収入が減ることがあります

患者

治療費のことは考えていましたが、
収入のことはあまり考えていませんでした…

放射線治療医

実は、生活に一番影響するのは収入減のほうなんです

がん治療では、医療費以上に深刻な問題となるのが
「収入の減少」です。

  • 休職した場合、どれくらい収入は減るのか
  • 時短勤務になると手取りはどう変わるのか
  • 傷病手当金でどこまで補えるのか

こうした疑問に対して、具体的な数字で理解できる情報は多くありません。

実際には

「思っている以上に収入は減る」
「制度だけでは完全にはカバーできない」

というのが現実です。

この記事では、放射線治療専門医の立場から

  • 休職・時短勤務それぞれの収入減の目安
  • 傷病手当金を含めた実際の手取り
  • ケース別の具体的シミュレーション

を、できるだけ現実に近い数字で解説します。


生活費全体を知りたい方はこちら
「がん治療と生活費|家計を守る戦略」


目次

がん治療で収入はいくら減るのか?【結論】

結論からお伝えします。

がん治療による収入減は、年収ベースで30〜70%減に達することがあります。

特に休職に入ると影響は大きく、短期間でも家計に強く影響します。

患者

30〜70%減って、かなり大きいですね…

放射線治療医

はい。特に休職に入ると、一気に生活が変わるレベルです


休職した場合の収入減(目安)

休職時の収入は「無収入」になるケースと、「傷病手当金で補填されるケース」に分かれます。

代表的な収入シミュレーション(年収500万円の場合)

状況月収(目安)年収換算減少率
通常勤務約30万円500万円
休職(手当なし)0円0円▲100%
休職(傷病手当あり)約20万円約330万円▲約35%

※標準報酬月額ベースで概算


ポイント

・休職に入ると一時的に収入ゼロになる期間が発生
・傷病手当金があっても満額給与の約2/3まで低下
・ボーナスは原則支給なし(企業による)


時短勤務の場合の収入減

時短勤務では「働いた分だけ給与が減る」ため、比較的なだらかな減少になります。

時短勤務シミュレーション(年収500万円)

勤務状況月収年収減少率
フルタイム約30万円500万円
6時間勤務(▲25%)約22〜23万円約375万円▲約25%
4時間勤務(▲50%)約15万円約250万円▲約50%

見落としやすいポイント

・ボーナス査定が下がる
・昇進・昇給への影響
・残業代が消失


結論|収入は「3割〜7割減」もあり得る

がん治療と仕事の両立では、

・時短勤務 → 約20〜50%減
・休職 → 約30〜70%減(場合によっては無収入)

というのが現実的なラインです。

短期間でも生活への影響は大きく、
「治療前にどれくらい減るか把握しておくこと」が極めて重要です。


傷病手当金はいくらもらえるのか

休職時の収入を支える中心制度が「傷病手当金」です。
これは健康保険から支給される公的給付で、EEATの観点でも非常に重要なポイントです。

参考:
全国健康保険協会(協会けんぽ)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/


支給額の計算方法

傷病手当金は以下の式で計算されます。

支給額=標準報酬日額の2/3

患者

2/3もらえるなら、
そこまで困らない気もしますが…

放射線治療医

実際には税金や保険料もあるので、
思ったより少ないと感じる方が多いです


イメージ(年収500万円の場合)

項目金額
標準報酬月額約30万円
日額換算約1万円
支給額(2/3)約6,600円/日
月額約20万円

支給期間(最大1年6か月)

・支給期間は通算で最長1年6か月
・同一傷病であれば、復職→再休職でも通算される
・がん治療ではこの期間内に収まらないケースもあり注意


実際の手取りイメージ

ここは誤解されやすいポイントです。

傷病手当金の特徴

・所得税 → 非課税
・社会保険料 → 原則支払い必要(会社制度による)
・住民税 → 前年所得ベースで発生


実質的な可処分所得

項目状態
支給額約20万円
社会保険料控除あり
住民税支払いあり
手取り約15〜17万円程度

重要ポイント

・「2/3もらえる」=生活が維持できる、ではない
・実際には可処分所得は半分近くまで低下するケースもある


補足|制度の詳細は別記事で解説

制度の詳細や申請方法は
「高額療養費制度」「傷病手当金」の個別記事で詳しく解説しています


ケース別シミュレーション

ここでは、実際に多い3パターンで
「どれくらい収入が減るのか」を具体的に示します。


ケース① 年収400万円・休職6か月

まず最もインパクトの大きい「休職」のケースです。

収入シミュレーション

項目金額
通常月収約25万円
休職前6か月収入約150万円
傷病手当金(月)約16〜17万円
休職中6か月収入約100万円

差額(6か月)

内容金額
本来の収入約150万円
実際の収入約100万円
減少額約50万円
減少率約33%

ポイント

・半年の休職でも50万円規模の減収
・ボーナスが出ない場合はさらに悪化
・治療期間が延びると影響は指数的に増える

患者

半年で50万円減るのはかなり痛いですね…

放射線治療医

しかもボーナスがない場合は、
さらに差が広がることもあります


ケース② 年収600万円・時短勤務

次に「働きながら治療する」ケースです。

前提

・8時間 → 6時間勤務(▲25%)
・残業なし


収入シミュレーション

項目金額
通常月収約37万円
時短後月収約27〜28万円
年収約600万円 → 約450万円

手取りの変化(体感)

項目状態
月収減少約9〜10万円
年収減少約150万円
減少率約25%

ポイント

・一見軽そうに見えて年間では100万円以上の減収
・ボーナス査定低下でさらに差が広がる
・「働いている安心感」と「収入減」のギャップが大きい

患者

働いていても、こんなに減るんですね

放射線治療医

少し働いている安心感実際の収入減のギャップが大きいんです


ケース③ 共働き世帯(片方休職)

家計全体で見ると影響はどうなるのか。

前提

・夫:年収500万円(休職)
・妻:年収400万円(継続勤務)


世帯収入の変化

状態世帯年収
通常約900万円
休職後約730万円

インパクト

項目内容
減少額約170万円
減少率約19%
家計影響住宅・教育費に直撃

ポイント

・共働きでも年間100万円以上の影響は普通に起こる
・固定費(住宅ローン・教育費)は減らない
・精神的負担も大きくなる

患者

共働きなら大丈夫だと思っていましたが…

放射線治療医

固定費があると、世帯収入が減る影響は想像以上に大きいです


なぜ収入はここまで減るのか

患者

どうしてここまで減ってしまうんですか?

放射線治療医

給与だけでなく、ボーナスや昇給にも影響するからです

ここまでの数字を見ると
「思ったより減る」と感じる方が多いはずです。

その理由は、単純に「働かないから」だけではありません。


給与が止まる仕組み

・多くの企業では休職=無給
・有給休暇を使い切ると収入は途絶える
・その後は傷病手当金(約2/3)に依存

つまり、

満額給与が出る期間は非常に短い

のが実態です。


ボーナス・昇給への影響

見落とされがちですが、影響はここにも出ます。

主な影響

・ボーナス支給なし、または大幅減
・人事評価の低下
・昇給ストップ


実質的な影響

項目内容
短期年収減少
中期昇給カーブ鈍化
長期生涯年収の低下
患者

一時的な問題じゃないんですね…

放射線治療医

はい。場合によっては、その後の収入にも影響が続きます


復職後も続く影響

復職すれば元通り、とは限りません。

よくあるケース

・時短勤務の継続
・体調により残業不可
・配置転換


結果として

・収入が完全には戻らない
・キャリアの再構築が必要になる


ここまでのまとめ

・休職では数十万〜数百万円規模の減収
・時短でも年間100万円以上の差
・共働きでも家計インパクトは大きい

そして重要なのは、

「収入減は一時的ではなく、連鎖する」

という点です。


収入減にどう備えるか

患者

こんなに減るなら、どうすればいいですか?

放射線治療医

まずはどれくらい減るかを知ることが、最も重要な対策です

ここまで見てきた通り、がん治療による収入減は
短期間でも家計に大きな影響を与えます。

重要なのは「事前に現実を知り、備えること」です。


まずは収入減の現実を把握する

本記事のシミュレーションの通り、

・休職 → 30〜70%減
・時短勤務 → 20〜50%減

というのが現実的なラインです。

まずは、自分のケースに当てはめて
「どれくらい減るか」を具体的に把握することが出発点になります。


生活費とのバランスを見る

収入だけでなく、支出とのバランスも重要です。

特に影響が大きいのは以下の固定費です。

・住宅ローン/家賃
・教育費
・保険料
・通信費

収入が減っても支出はすぐには下がりません。

生活費の全体像は
「がん治療と生活費|家計を守る戦略」で詳しく解説しています


また、具体的な生活費の目安は
「生活費はいくらかかるのか」

治療に伴う追加支出については
「がん治療で増える支出とは」

もあわせて確認してください。


制度+対策で補う

収入減は「避けられない部分」と「補える部分」に分かれます。

公的制度

・傷病手当金
・高額療養費制度
・障害年金(該当する場合)


個人での対策

・貯蓄の取り崩し
・民間保険(給付金)
・家計の見直し


重要なのは、

「制度だけでは足りない部分をどう埋めるか」

です。

この全体戦略は
「がん治療と生活費|家計を守る戦略」で体系的に整理しています

患者

正直、治療よりお金のほうが不安になってきました…

放射線治療医

その不安はとても自然です。
だからこそ、事前に準備することが大切です


専門医コメント

がん治療における収入減は、医学的な問題ではなく「生活の問題」として非常に重要です。

実際の臨床では、治療開始後に初めて経済的な不安を訴える患者さんも多く、
「もっと早く知っていれば」という声をよく聞きます。

収入減はある程度予測可能であり、事前にシミュレーションしておくことで、
治療に専念できる環境を整えることができます。

医療と同じように、経済面も「早めの準備」が重要です。


まとめ

・がん治療では収入が30〜70%減少することがある
・休職・時短勤務どちらでも家計への影響は大きい
・傷病手当金があっても生活は厳しくなるケースが多い
・重要なのは「事前に把握し、備えること」

そして、

収入減は避けられなくても、対策はできる

という点が最も重要です。


FAQ(よくある質問)

がんで休職すると収入はゼロになりますか?

有給休暇を使い切ると給与は支給されないケースが多く、その後は傷病手当金(給与の約2/3)が支給されます。

傷病手当金はいくらもらえますか?

標準報酬日額の3分の2が支給され、月額では給与の約2/3程度が目安です。

傷病手当金はどのくらいの期間もらえますか?

同一の病気について最長1年6か月支給されます。

時短勤務でも収入は減りますか?

はい。勤務時間に応じて給与が減るため、20〜50%程度の減収になることがあります。

ボーナスはどうなりますか?

休職中は支給されない、または大幅に減額されるケースが一般的です。

共働きでも影響はありますか?

あります。片方が休職すると世帯収入が100万円以上減るケースも珍しくありません。

傷病手当金に税金はかかりますか?

所得税は非課税ですが、住民税は前年所得に基づき課税されます。

社会保険料はどうなりますか?

原則として支払いは継続されるため、手取りはさらに減少します。

復職すれば収入は元に戻りますか?

時短勤務や配置転換などにより、完全には戻らないケースもあります。

収入減に備えるには何が重要ですか?

収入減の把握、生活費の見直し、公的制度の活用の3点が重要です。


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  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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