【医師監修】放射線治療中の食事ガイド |副作用を軽くし、治療を乗り切るための完全マニュアル
放射線治療中、「何を食べればいいのか」「食べてはいけないものはあるのか」と悩む方は非常に多いです。
しかし、正しい食事を知ることで、
・副作用の軽減
・体力維持
・治療完遂率の向上
・生活の質(QOL)の改善
につながります。
本記事では、最新の栄養ガイドラインや臨床知見に基づき、放射線治療中の食事についてわかりやすく解説します。
放射線治療中の副作用はこちらでまとめています。
放射線治療中の食事が重要な理由
放射線治療では、がんだけでなく周囲の正常組織にも影響が出るため、
・食欲低下
・口内炎
・吐き気
・下痢
・味覚障害
などが起こることがあります。
これらの症状により食事量が減ると、体重減少や栄養障害が生じ、治療継続が困難になることがあります。
そのため、症状に応じた栄養管理が非常に重要です。
近年の栄養ガイドラインでも、早期からの栄養介入が予後改善に寄与する可能性が指摘されています。
放射線治療中の食事の基本原則
① 体重を維持することが最優先
治療中は「健康的な食事」よりも、食べられるものを食べることが大切です。
✔ 食べられるタイミングで食べる
✔ 量が少なくてもOK
✔ 間食を活用
② 高カロリー・高たんぱくを意識する
放射線治療中は体がダメージから回復するため、通常よりエネルギーが必要です。
目安
・エネルギー:30~35 kcal/kg
・たんぱく質:1.2~1.5 g/kg
③ 少量・頻回食
1日3回にこだわる必要はありません。
✔ 1日5~6回
✔ おやつや補助食品
✔ 飲み物でも栄養補給
【症状別】放射線治療中の食事の工夫
① 食欲がないとき
ポイント
・無理に食べない
・好きなものを優先
・冷たい食品を活用
おすすめ
・ゼリー
・プリン
・ヨーグルト
・アイス
・果物
コツ
冷たい食品は匂いが少なく、食べやすいことが多いです。
放射線宿酔の記事はこちら
放射線治療中のだるい症状の原因は宿酔かもしれません。
② 吐き気・嘔吐があるとき
避けたい食品
・脂っこいもの
・匂いの強い食品
・揚げ物
おすすめ
・うどん
・おかゆ
・クラッカー
・スポーツドリンク
③ 口内炎・のどの痛み(頭頸部照射)
頭頸部への放射線では、食事時の痛みが大きな問題になります。
避けたい
・辛い
・酸っぱい
・熱すぎる
・硬い食品
おすすめ
・とろみ食
・スープ
・卵料理
・豆腐
・やわらかい麺類
調理の工夫
✔ ミキサー食
✔ とろみ
✔ ソースで滑りを良くする
頭頚部癌の放射線治療中の副作用はこちら
④ 味覚障害があるとき
放射線治療では味覚が変化することがあります。
対策
・味付けを変える
・香辛料を少量使用
・酸味やだしを活用
例
・レモン
・だし
・ハーブ
⑤ 下痢があるとき(腹部・骨盤照射)
避けたい
・脂肪
・食物繊維
・乳製品
・刺激物
おすすめ
・白米
・うどん
・バナナ
・リンゴ
⑥ 便秘があるとき
・水分を増やす
・食物繊維
・軽い運動
放射線治療中に避けたほうがよい食品は?
基本的に絶対に食べてはいけない食品はありません。
しかし以下は注意が必要です。
注意
・アルコール
・刺激物
・過度なサプリメント
科学的根拠が乏しい「がんに効く食品」には注意が必要です。
近年、根拠のない栄養療法が問題となっています。
栄養補助食品の活用
食事が難しい場合は、栄養補助食品が有効です。
活用例
・経口栄養補助
・高カロリー飲料
・医療用食品
これにより、体重減少を防ぎ、治療完遂率が向上します。
水分摂取の重要性
脱水は副作用を悪化させます。
目安
・1.5~2L/日(医師の指示に従う)
よくある誤解
「糖質はがんを育てるから控えるべき?」
科学的根拠はありません。
極端な食事制限は、栄養障害を招く可能性があります。
「サプリメントで治療効果が上がる?」
証明されたものはほとんどありません。
医師に相談しましょう。
治療部位別の食事のポイント(まとめ)
| 治療部位 | 主な症状 | 食事の工夫 |
|---|---|---|
| 頭頸部 | 口内炎 | やわらかい食事 |
| 胸部 | 食欲低下 | 少量頻回 |
| 腹部 | 下痢 | 低脂肪 |
| 骨盤 | 下痢 | 消化の良い食事 |
放射線治療中の1日の食事例
朝
・おかゆ
・卵
・ヨーグルト
昼
・うどん
・豆腐
間食
・ゼリー
・栄養飲料
夕
・やわらかい魚
・ごはん
・スープ
いつ栄養士に相談すべき?
以下の場合は専門家に相談しましょう。
・体重減少
・食事が取れない
・副作用が強い
専門的な栄養介入により、予後改善が期待できます。
まとめ
放射線治療中の食事は、
✔ 食べられるものを優先
✔ 高カロリー・高たんぱく
✔ 症状に応じて工夫
✔ 無理をしない
ことが重要です。
適切な栄養管理は、副作用軽減だけでなく、治療成功にも大きく関係します。
放射線治療と食事 FAQ
Q1. 放射線治療中に食べてはいけないものはありますか?
基本的にはありません。
ただし刺激物やアルコールは症状を悪化させる可能性があります。
Q2. 食事が取れない場合はどうすればよいですか?
栄養補助食品や医療用飲料を活用しましょう。
必要に応じて点滴や経管栄養を検討します。
Q3. 体重が減ってきました。大丈夫ですか?
体重減少は予後に影響するため、早期に医師へ相談してください。
Q4. サプリメントは必要ですか?
必須ではありません。
むしろ過剰摂取に注意が必要です。
Q5. 治療後は食事を戻してよいですか?
副作用が改善すれば通常の食事に戻します。
放射線治療中の食事に役立つ栄養補助食品【参考例】
※体調や症状によって適した食品は異なります。主治医・栄養士と相談してください。
① 食事量が減ったとき(高カロリー補助)
✔ ポイント
・少量でエネルギーとタンパク質を補給
・食欲低下・体重減少の予防
・がん治療中の栄養補助として使用頻度が高い
② のどの痛み・口内炎があるとき(ゼリー・やわらか食)
✔ ポイント
・飲み込みやすく、負担が少ない
・頭頸部がん、食道がん、肺がん治療中に有用
・水分と栄養を同時に補給
③ 水分補給・脱水予防
✔ ポイント
・下痢・発熱・食事量低下時に重要
・入院・外来ともに推奨されることが多い
・脱水は治療継続の大きなリスク
④ 嚥下障害・むせやすい方
✔ ポイント
・誤嚥・肺炎予防
・高齢患者・頭頸部がん患者で需要
・家族からの検索も多い領域
医師からの補足
放射線治療中は
・無理に「健康的な食事」にこだわる必要はありません
・体重維持が最優先
・食べられるものを中心に栄養を補いましょう
必要に応じて栄養補助食品を活用することで、
治療の中断や入院リスクを減らすことができます。
放射線治療中に役立ったものの記事はこちら
参考文献
日本栄養治療学会
がん患者診療のための栄養治療ガイドライン 2024年版
がん患者さんのための栄養治療ガイドライン 2025年版
臨床栄養 146巻6号
本記事は放射線治療に従事する医師の臨床経験および国内外のガイドラインに基づき作成しています。
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