放射線治療の副作用で頻尿が起こる?原因・対処法・受診の目安を専門医が解説

放射線治療を始めてから、
トイレがすごく近くなりました…。
これって副作用なんでしょうか?

骨盤の放射線治療では、頻尿は比較的よくある副作用です。
多くは一時的なもので、対処法もあります。
この記事でわかりやすく説明しますね。
放射線治療では、治療する部位によってさまざまな副作用が起こることがあります。
その中でも骨盤内(前立腺・膀胱・子宮など)の放射線治療で比較的よく見られる症状の一つが「頻尿」です。
「トイレが近くなった」
「夜中に何度も起きる」
「急に尿意が強くなる」
このような症状は、放射線による膀胱の炎症(放射線性膀胱炎)が原因で起こることがあります。
この記事では
- 放射線治療で頻尿が起こる原因
- どのくらい続くのか
- 日常生活でできる対策
- 病院を受診すべき症状
について、国際ガイドラインや研究結果をもとに放射線治療専門医が解説します。
なお、放射線治療の副作用全体については
▶ 放射線治療の副作用まとめ
で詳しく解説しています。
放射線治療で頻尿は起こる?

放射線治療で本当にトイレが近くなることって多いんですか?

はい。特に前立腺や骨盤の放射線治療ではよく見られる症状です。膀胱が刺激されて尿意が強くなることがあります。
結論から言うと、骨盤内の放射線治療では頻尿は比較的よくみられる副作用です。
特に次の治療で起こることがあります。
- 前立腺がんの放射線治療
- 膀胱がんの放射線治療
- 子宮頸がんの放射線治療
- 直腸がんの放射線治療
放射線が膀胱や尿道周囲の粘膜に炎症を起こすことで、膀胱が刺激され尿意が強くなります。
代表的な症状
- トイレが近くなる
- 夜間頻尿
- 尿意切迫感
- 排尿時の違和感
これらは急性期副作用として治療中〜治療後数週間で起こることが多いとされています。
参考
National Comprehensive Cancer Network (NCCN)
https://www.nccn.org
なぜ放射線治療で頻尿が起こるのか
主な原因は放射線による膀胱粘膜の炎症(放射線性膀胱炎)です。
放射線によって
- 膀胱粘膜の炎症
- 神経の刺激
- 膀胱容量の低下
などが起こります。
その結果
- 尿が少し溜まっただけで尿意
- 急な尿意
- 夜間の排尿
が起こります。
研究では、前立腺がんの放射線治療後に20〜40%程度の患者で一時的な排尿症状がみられると報告されています。
参考
European Association of Urology Guidelines
https://uroweb.org/guidelines
頻尿はどのくらい続く?

この頻尿、ずっと続いたりしませんか…?

多くの場合は治療終了後から数週間〜数か月で改善します。
時間とともに落ち着くケースがほとんどですよ。
多くの場合、治療終了後数週間〜数か月で改善します。
一般的な経過
治療中
↓
症状が徐々に出る
↓
治療終了後1〜2か月でピーク
↓
数か月で改善
ただし次の場合は長く続くことがあります。
- 前立腺治療
- 高線量治療
- もともと前立腺肥大がある
- 高齢
前立腺治療後の排尿症状については
▶ 前立腺がんの放射線治療における副作用まとめ
でも詳しく解説しています。
頻尿への対処法

トイレが近いので、
水分を減らした方がいいでしょうか?

実は水分を減らしすぎるのは逆効果です。
尿が濃くなって膀胱を刺激し、
かえって症状が強くなることがあります。
多くの場合、生活習慣の調整で症状は軽くなります。
水分を極端に減らさない
トイレが近いからといって
水分を減らしすぎるのは逆効果です。
尿が濃くなると膀胱刺激が強くなります。
目安
1.5〜2L/日程度
カフェインを控える
カフェインは膀胱刺激があります。
注意が必要な飲み物
- コーヒー
- 緑茶
- エナジードリンク
- コーラ
カフェインレス飲料
カフェインを控えたい場合、麦茶などのカフェインレス飲料を選ぶのがおすすめです。
就寝前の水分調整
夜間頻尿がある場合
- 寝る2時間前から水分控えめ
- アルコールを避ける
と改善することがあります。
薬で改善することもある
症状が強い場合
- 抗コリン薬
- β3作動薬
- α1遮断薬
などが使用されることがあります。
治療は泌尿器科医と相談して決めます。
尿もれ・頻尿対策パッド
外出時や夜間頻尿がある場合は、尿もれ対策パッドを使うことで安心して生活できることがあります。
最近は薄型で目立たない製品も多く販売されています。
受診したほうがよい症状
次の症状がある場合は早めに医療機関へ相談してください。
- 血尿
- 強い排尿痛
- 発熱
- 尿が出にくい
- 急激な症状悪化
感染症や他の病気の可能性もあります。
頻尿が起こりやすい放射線治療
特に多いのは
- 前立腺放射線治療
- 骨盤内腫瘍の放射線治療
近年は
- IMRT
- IGRT
- 高精度治療
により膀胱への線量は大きく減少しています。
参考
ASTRO Clinical Guidelines
https://www.astro.org
放射線治療による頻尿と膀胱炎の違い

頻尿があると膀胱炎じゃないか心配になります…。

放射線による頻尿は細菌性膀胱炎とは原因が違うことが多いです。
ただし発熱や強い痛みがある場合は受診してください。
放射線治療後に頻尿が起こる場合、その原因の一つが放射線性膀胱炎(radiation cystitis)です。
ただし、一般的に知られている細菌性膀胱炎とは原因や治療方法が異なります。
| 項目 | 放射線性膀胱炎 | 細菌性膀胱炎 |
|---|---|---|
| 原因 | 放射線による膀胱粘膜の炎症 | 細菌感染 |
| 発熱 | 通常はない | あることがある |
| 治療 | 対症療法・経過観察 | 抗菌薬 |
| 発症時期 | 放射線治療中〜治療後 | いつでも起こる |
放射線治療では、膀胱粘膜が放射線によって刺激を受けることで
- 頻尿
- 尿意切迫感
- 排尿時の違和感
などが起こることがあります。
一方、発熱や強い排尿痛がある場合は細菌感染の可能性があるため、医療機関での評価が必要です。
参考
European Association of Urology Guidelines
https://uroweb.org/guidelines
放射線治療後の夜間頻尿

夜中に何度もトイレに起きてしまいます…。

夜間頻尿もよくある症状です。
寝る前の水分やカフェインを調整するだけでも改善することがあります。
頻尿の中でも患者さんが困りやすいのが夜間頻尿(夜中に何度もトイレに起きる症状)です。
放射線治療では
- 膀胱粘膜の炎症
- 膀胱容量の一時的低下
- 前立腺周囲の刺激
などにより、夜間の排尿回数が増えることがあります。
夜間頻尿が強い場合には、次のような対策が有効なことがあります。
生活習慣でできる対策
- 寝る2時間前から水分を控えめにする
- カフェインを減らす
- アルコールを控える
- 就寝前に排尿する習慣をつける
それでも症状が強い場合は
- 抗コリン薬
- β3作動薬
- α1遮断薬
などの薬物療法で改善することがあります。
放射線治療の副作用全体を知りたい方へ
放射線治療では
- 疲労
- 食欲低下
- 下痢
- 皮膚炎
などの副作用が起こることがあります。
詳しくは
▶ 放射線治療の副作用まとめ
で解説しています。

頻尿があると「治療が体に悪いのでは」と不安になります…。

その気持ちはよくわかります。
ですが多くの場合、放射線治療による頻尿は一時的な炎症によるものです。
ここで専門医として大切なポイントをまとめます。
専門医コメント
放射線治療による頻尿は、患者さんが最も不安に感じやすい症状の一つです。
しかし多くの場合は一時的な炎症によるもので、時間とともに改善します。
最近の放射線治療では
- IMRT
- 画像誘導放射線治療
- 線量制御
などの技術進歩により、膀胱への影響は以前よりかなり減っています。
ただし
- 強い排尿痛
- 血尿
- 発熱
などがある場合は別の病気の可能性もあります。
我慢せず、担当医へ相談することが大切です。
まとめ
放射線治療では、特に骨盤内治療で頻尿が起こることがあります。
ポイント
- 膀胱の炎症が原因
- 治療中〜治療後に起こる
- 多くは数か月で改善
- 生活習慣で軽減できる
- 強い症状は医療機関へ相談
不安な症状があれば、遠慮なく担当医へ相談してください。
FAQ(よくある質問)
放射線治療で頻尿はよくありますか?
骨盤内の放射線治療では比較的よくみられる副作用です。特に前立腺治療で起こることがあります。
頻尿はいつから起こりますか?
治療中から徐々に出ることが多く、治療終了後数週間でピークになることがあります。
頻尿はどのくらい続きますか?
多くは数週間〜数か月で改善します。
夜中に何度もトイレに起きます。大丈夫ですか?
夜間頻尿もよくみられる症状です。生活習慣の調整で改善することがあります。
水分を減らしたほうがよいですか?
水分を極端に減らすと尿が濃くなり、かえって膀胱刺激が強くなることがあります。
薬で治りますか?
症状が強い場合、排尿症状を改善する薬が処方されることがあります。
血尿が出た場合はどうすればよいですか?
放射線性膀胱炎や感染症の可能性があるため、早めに医療機関へ相談してください。
前立腺治療では頻尿が多いですか?
前立腺放射線治療では比較的頻尿が起こりやすいとされています。
頻尿は一生続きますか?
多くは一時的で、時間とともに改善します。
生活でできる対策はありますか?
カフェイン制限、就寝前の水分調整などが有効なことがあります。
放射線治療の総合ガイド
あなたの状況に合わせて詳しく解説しています。
この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。


























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