放射線治療による発熱|原因・危険なサイン・対処法を専門医が解説

放射線治療を受けているのですが、
熱が出てしまいました…。
副作用でしょうか?

必ずしも放射線が原因とは限りません。
炎症反応のこともありますが、
感染症の可能性もあるため注意が必要です。

どんな場合に病院へ相談すればいいのでしょうか?

発熱の原因や危険なサインを、
この記事でわかりやすく解説します。
放射線治療を受けていると、
- 「治療中に熱が出た」
- 「微熱が続いている」
- 「感染症なのか副作用なのか分からない」
と不安になる方が少なくありません。
結論からいうと、放射線治療だけで高熱が出ることは多くありません。
しかし、
- 炎症反応
- 感染症
- 免疫低下
などによって発熱が起こることがあります。
この記事では放射線治療専門医の視点から
- 放射線治療で発熱が起こる原因
- 危険な発熱のサイン
- 自宅でできる対処法
- 受診の目安
を国際ガイドラインや医学研究をもとに分かりやすく解説します。
関連記事
▶ 放射線治療の副作用まとめ(親記事)
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放射線治療の副作用まとめ|症状・原因・対処法を専門医が解説
副作用の全体像を知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
放射線治療で発熱は起こる?

放射線治療で熱が出ることってよくあるんですか?

実は放射線治療だけで高熱が出ることは多くありません。
ただし炎症や感染症が原因で発熱することはあります。

副作用かどうか判断が難しそうですね。

そうですね。発熱の原因を見極めることがとても重要です。
結論として
放射線治療単独で発熱することは多くありません。
ただし次のような理由で発熱が起こることがあります。
主な原因
- 放射線による炎症反応
- 感染症
- 骨髄抑制
- 腫瘍壊死(腫瘍崩壊による炎症)
特に重要なのは
感染症による発熱との見分けです。
がん治療中は免疫が低下していることがあり、
感染症による発熱は早期対応が必要です。
放射線治療による発熱の主な原因

熱が出る原因にはどんなものがあるんですか?

主に炎症反応、感染症、骨髄抑制などが考えられます。

感染症の可能性もあるんですね…。

はい。治療中は免疫が低下することもあるため注意が必要です。
炎症反応(放射線によるもの)
放射線はがん細胞だけでなく周囲組織にも影響します。
その結果
- 炎症性サイトカイン
- 組織炎症
が起こり、軽い発熱(微熱)が出ることがあります。
多くの場合
- 37℃前後
- 数日程度
で自然に落ち着きます。
感染症
がん治療中の発熱で最も注意が必要なのは感染症です。
特に
- 白血球低下
- 栄養状態低下
- 体力低下
があると感染リスクが上がります。
代表例
- 肺炎
- 尿路感染
- 皮膚感染
- カテーテル感染
参考
National Comprehensive Cancer Network
https://www.nccn.org
骨髄抑制
広い範囲に放射線を照射すると
- 白血球低下
- 免疫低下
が起こることがあります。
代表例
- 骨盤照射
- 脊椎照射
- 大範囲照射
その結果
感染による発熱が起こりやすくなります。
腫瘍壊死による発熱
放射線治療によって
腫瘍が急速に壊れると炎症反応が起こる
ことがあります。
これを
腫瘍熱(tumor fever)
と呼ぶことがあります。
参考研究
Lancet Oncology review
Radiotherapy-induced inflammatory responses
発熱は放射線治療の副作用?感染症との見分け方

副作用なのか感染症なのか、
自分で見分けることはできますか?

ある程度の目安はあります。
微熱で体調が安定している場合は炎症反応のことがあります。

逆に危ない発熱はどんなものですか?

高熱や寒気が強い場合は感染症の可能性があるため、早めの受診が重要です。
放射線治療中に発熱すると、
- 副作用なのか
- 感染症なのか
不安になる方が多いと思います。
実際の診療では、発熱の原因を慎重に見分けることが重要です。
なぜなら、感染症の場合は早期治療が必要になることがあるためです。
放射線治療による発熱の特徴
放射線による炎症反応で起こる発熱には、次のような特徴があります。
- 37℃台の微熱が多い
- 数日程度で改善する
- 強い寒気は少ない
- 全身状態は比較的良い
このような場合は、放射線による炎症反応の可能性があります。
感染症による発熱の特徴
感染症による発熱では、次の症状がみられることがあります。
- 38℃以上の発熱
- 強い寒気や震え(悪寒)
- 咳や息苦しさ
- 排尿時の痛み
- 強い倦怠感
特に
急に高熱が出た場合
は感染症の可能性があるため、
早めに医療機関へ相談することが重要です。
抗がん剤併用治療では特に注意
放射線治療と抗がん剤を併用している場合は、
発熱性好中球減少症(FN)
の可能性があります。
これは
緊急治療が必要になることがある状態
です。
そのため
38℃以上の発熱がある場合は早めの受診が推奨されます。
参考
外部リンク
National Comprehensive Cancer Network
https://www.nccn.org
判断に迷う場合は必ず主治医へ相談
発熱の原因は
- 炎症
- 感染症
- 腫瘍熱
など様々です。
自己判断で様子を見るよりも、
迷った場合は主治医に相談することが最も安全です。
危険な発熱のサイン

どのくらいの熱が出たら危ないのでしょうか?

一般的には38℃以上の発熱は注意が必要です

寒気やだるさが強い場合も心配ですか?

はい。そのような症状がある場合は早めに医療機関へ相談しましょう。
次の場合は早めの受診が必要です。
受診目安
- 38℃以上の発熱
- 寒気・震え
- 咳・息苦しさ
- 排尿時痛
- 強い倦怠感
- 意識がぼんやりする
特に
抗がん剤併用治療中
では
発熱性好中球減少症(FN)
の可能性があるため緊急対応が必要です。
参考
American Society of Clinical Oncology
https://www.asco.org
放射線治療中の発熱|すぐ受診すべきチェックリスト
次の症状がある場合は、できるだけ早く医療機関へ連絡してください。
受診を検討すべき症状
- 38℃以上の発熱
- 寒気・震え(悪寒)
- 呼吸が苦しい
- 咳が強い
- 排尿時の痛み
- 傷口の腫れ・赤み
- 強い倦怠感
- 意識がぼんやりする
特に次の方は注意が必要です。
- 抗がん剤併用治療中
- 高齢者
- 白血球が低い
- 糖尿病などの持病がある
このような場合は
感染症の可能性
があるため、早期診断が重要です。
治療中の発熱で治療は続けられる?休む?

もし熱が出たら、
放射線治療は中止になってしまうのでしょうか?

原因によります。
軽い微熱なら治療を続けられることも多いです。

高熱の場合はどうなりますか?

感染症が疑われる場合は、
安全のため一時的に治療を休むことがあります。
放射線治療中に発熱した場合、
治療を続けるかどうかは原因によって判断されます。
すべての発熱で治療が中断されるわけではありません。
一般的な考え方を解説します。
微熱(37℃台)の場合
軽い炎症反応による微熱の場合は、
治療を継続できることが多いです。
放射線治療では
- 組織炎症
- 免疫反応
によって軽い発熱が起こることがあります。
症状が軽く
- 全身状態が良い
- 感染兆候がない
場合は
予定通り治療を続けることが一般的です。
38℃以上の発熱の場合
原因を調べることが優先されます。
特に
- 寒気
- 咳
- 排尿痛
- 強い倦怠感
などがある場合は
感染症の可能性があります。
この場合は
- 検査
- 抗菌薬治療
などが必要になることがあります。
感染症が疑われる場合
感染症が疑われる場合は
安全のため一時的に治療を休むことがあります。
理由
- 全身状態の悪化を防ぐため
- 感染症治療を優先するため
ただし、状態が改善すれば
治療を再開できることがほとんどです。
インフルエンザや新型コロナ感染の場合
発熱の原因が
- インフルエンザ
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
である場合は、放射線治療を一時的に休止することが一般的です。
理由としては主に次の3つがあります。
①感染拡大を防ぐため
放射線治療は
- 毎日通院する治療
- 医療スタッフや他の患者と接触する
という特徴があります。
そのため感染症の流行を防ぐため、感染力がある期間は通院を控えることが推奨されます。
②全身状態の回復を優先するため
インフルエンザやCOVID-19では
- 発熱
- 倦怠感
- 呼吸症状
などが出ることがあります。
このような状態で無理に治療を続けると、体力消耗が強くなる可能性があります。
そのため多くの場合は
感染症が回復してから治療を再開します。
③安全な治療環境を維持するため
がん治療中の患者さんには
- 免疫が低下している方
- 高齢の方
も多くいます。
そのため医療機関では
院内感染を防ぐことが非常に重要です。
この理由からも、感染症が確認された場合は
治療を一時休止することが一般的です。
どのくらい休む?
多くの医療機関では
- 解熱
- 症状改善
- 感染力が低下したと判断
した時点で、放射線治療を再開します。
具体的な期間は
- 病状
- 治療部位
- 治療スケジュール
などによって異なるため、主治医が個別に判断します。
何日くらい休むと治療効果に影響する?
発熱や感染症などの理由で、放射線治療を数日休むことがあります。
多くの場合、数日程度の短い休止で治療効果が大きく低下することはあまりありません。
体調回復を優先し、安全に治療を再開することが重要です。
ただし、放射線治療では
- 長期間の中断
- 何度も治療が休止する
場合には、治療効果に影響する可能性があります。
そのため実際の診療では
- 休止期間
- がんの種類
- 治療スケジュール
などを考慮して、主治医が治療計画を調整します。
発熱などで治療を休む必要がある場合でも、自己判断せず主治医の指示に従うことが大切です。
放射線治療を休んだ場合は後ろに延長される?
発熱や感染症などで放射線治療を休んだ場合、多くのケースでは治療日程が後ろに延長されます。
放射線治療は通常、決められた回数の照射を行うことが重要です。そのため休止した分は、体調が回復したあとに治療日程を調整して継続することが一般的です。
具体的な対応は、がんの種類や治療計画によって異なるため、主治医が個別に判断します。
放射線治療中に発熱した場合の対処法
体温を記録する
- 朝
- 夕方
など定期的に体温を測定しましょう。
体温測定
発熱時は体温の変化を把握することが大切です。
自宅で体温を定期的に測定し、記録しておきましょう。
水分を十分にとる
発熱時は
- 脱水
- 倦怠感
が起こりやすくなります。
目安
1.5〜2L程度/日
経口補水液
発熱時は脱水になりやすいため、水分補給が重要です。
経口補水液を活用するのも一つの方法です。
無理をせず休養
治療中は体力が低下しやすいため
しっかり休むことが重要です。
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放射線治療による体力低下
解熱剤は自己判断で使わない
解熱剤によって
- 感染症の発見が遅れる
ことがあります。
まず主治医へ相談しましょう。
発熱を予防するためにできること

発熱を防ぐためにできることはありますか?

基本的な感染対策が大切です。
手洗いや十分な休養、栄養をとることが重要です。

体温も測った方がいいですか?

はい。
早めに変化に気づくことで、
適切な対応につながります。
放射線治療中の発熱は、すべてを完全に防ぐことはできません。
しかし、日常生活でいくつかの点に注意することで感染症による発熱リスクを下げることができます。
ここでは治療中に意識したいポイントを紹介します。
1 手洗い・感染対策を徹底する
がん治療中は免疫力が低下することがあります。
そのため
- 外出後の手洗い
- アルコール消毒
- 人混みを避ける
などの基本的な感染対策が重要です。
特に
- 冬の感染症シーズン
- 家族に風邪症状がある場合
は注意しましょう。
感染予防
がん治療中は感染予防も重要です。
手洗いやマスクなど基本的な感染対策を心がけましょう。
2 十分な休養をとる
放射線治療中は
- 疲労
- 体力低下
が起こりやすくなります。
無理をすると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる可能性があります。
体調が優れないときは
しっかり休養をとることが大切です。
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3 栄養バランスの良い食事
栄養状態が悪くなると
- 免疫力低下
- 感染リスク増加
につながる可能性があります。
治療中は
- タンパク質
- ビタミン
- ミネラル
を意識して、バランスの良い食事を心がけましょう。
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4 体温の変化を早めに気づく
治療中は
体温を定期的に測定することが大切です。
早期に発熱に気づくことで
- 感染症の早期診断
- 早期治療
につながります。
5 気になる症状は早めに相談
発熱だけでなく
- 咳
- 倦怠感
- 排尿時の痛み
などの症状がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
早期対応により、重症化を防ぐことができます。
発熱はどのくらい続く?
原因によって異なります。
目安
| 原因 | 期間 |
|---|---|
| 炎症反応 | 数日 |
| 感染症 | 治療が必要 |
| 腫瘍熱 | 数日〜数週間 |
長引く場合は必ず医療機関へ相談してください。
放射線治療中によくある発熱のケース
実際の診療では、次のような相談がよくあります。
ケース①
37℃台の微熱が続く
多くの場合
- 放射線による炎症反応
- 疲労
などが原因です。
数日で自然に改善することが多いですが、
1週間以上続く場合は医師へ相談してください。
ケース②
夜だけ熱が出る
原因として
- 腫瘍熱
- 炎症反応
- 感染症
などが考えられます。
特に
寒気やだるさが強い場合
は医療機関へ相談しましょう。
ケース③
抗がん剤と放射線治療を併用している
この場合は
発熱性好中球減少症(FN)
の可能性があります。
FNは
早期の抗菌薬治療が必要な緊急状態
であるため
38℃以上の発熱はすぐ受診
が推奨されています。

治療中に熱が出ると、
とても不安になります…。

そうですよね。
ただ、すべてが危険な発熱というわけではありません。

様子を見てもいい場合もあるんですね。

はい。ただし高熱や寒気がある場合は、早めに相談することが大切です。
専門医コメント
放射線治療中の発熱は、必ずしも放射線そのものが原因とは限りません。実際には感染症など別の原因が見つかることも多くあります。特に38℃以上の発熱や寒気を伴う場合は早めの受診が重要です。治療中に発熱があった場合は、自己判断せず主治医に相談するようにしましょう。
まとめ
放射線治療による発熱のポイント
- 放射線単独で高熱は多くない
- 感染症の可能性が重要
- 38℃以上は受診を検討
- 治療中は自己判断せず医師へ相談
発熱は不安な症状ですが、
早めに対応すれば多くの場合適切に対処できます。
FAQ(よくある質問)
放射線治療で発熱することはありますか?
放射線治療のみで高熱が出ることは多くありませんが、炎症反応や感染症などにより発熱が起こることがあります。
微熱が続くのは副作用ですか?
軽い炎症反応で微熱が出ることがありますが、長く続く場合は感染症の可能性もあるため医師に相談してください。
何度以上で病院へ行くべきですか?
一般的に38℃以上の発熱は受診を検討する目安とされています。
放射線治療だけで高熱が出ることはありますか?
まれですが、腫瘍壊死などによる炎症反応で発熱することがあります。
解熱剤を飲んでもよいですか?
原因が分からない場合は自己判断で使用せず、医師に相談してください。
放射線治療中は感染症にかかりやすいですか?
照射範囲や併用治療によっては免疫が低下し感染リスクが高まることがあります。
発熱があっても治療は続けられますか?
原因によります。感染症の場合は治療を一時中断することがあります。
発熱はどのくらい続きますか?
炎症による発熱は数日程度で改善することが多いですが、感染症の場合は治療が必要です。
寒気がある場合は危険ですか?
強い寒気や震えは感染症の可能性があるため早めの受診が必要です。
発熱以外に注意すべき症状は?
咳、息苦しさ、排尿痛、強い倦怠感などがある場合は医療機関に相談してください。
放射線治療の総合ガイド
あなたの状況に合わせて詳しく解説しています。
この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。




























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