【医師監修】がんの再発が怖いときの対処法|放射線治療後の再発不安との向き合い方
※この記事は「放射線治療後の不安・心理ガイド」の子記事です。
→ 親記事:放射線治療後の不安・心理ガイド
再発が怖いと感じるのは普通のこと
放射線治療が終わったあと、多くの患者さんが感じるのが
「再発したらどうしよう」という不安です。
これは決して特別なことではありません。
研究によると、がん治療後の患者の約40〜70%が再発不安(Fear of Cancer Recurrence:FCR)を経験すると報告されています。
参考
- Simard S, Psycho-Oncology 2013
- NCCN Distress Management Guideline
再発不安は
- フォローアップ検査の前
- 体の症状を感じたとき
- 知人のがんの話を聞いたとき
などに強くなる傾向があります。
まず知っておいてほしいことは、
再発不安は多くの患者が経験する「自然な心理反応」である
ということです。
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「再発が怖いと感じるのは普通?」
再発不安とは(Fear of Cancer Recurrence)
再発不安(FCR)は
「がんが再発するのではないかという恐れ」
のことを指します。
研究では、
- 思考(再発を考えてしまう)
- 感情(恐怖・不安)
- 行動(体の症状を過剰に確認する)
などが組み合わさった心理状態とされています。
参考
Butow P. Psycho-Oncology 2017
重要なのは、
ある程度の不安は正常であり、必ずしも異常ではない
という点です。
しかし、
- 不安が強く日常生活に影響する
- 不安で眠れない
- 常に再発のことを考えてしまう
場合は、対処が必要になります。
再発不安が強くなるタイミング
再発不安は特定の場面で強くなることが知られています。
検査前(スキャン不安)
定期検査の前に強くなる不安は
Scanxiety(スキャン不安)
と呼ばれています。
- CT
- MRI
- PET
- 腫瘍マーカー
などの検査前に強くなることが多いです。
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放射線治療後のフォローアップ
体の症状を感じたとき
軽い症状でも
- 「再発では?」
- 「転移では?」
と感じてしまうことがあります。
しかし実際には、
多くの症状は再発とは関係ないことがほとんどです。
治療終了直後
意外ですが、
治療終了直後は不安が強くなる時期です。
理由は
- 治療という「守られている感覚」がなくなる
- 通院頻度が減る
- 自分で生活を管理する必要がある
ためです。
再発不安が強いときの対処法
ここでは、研究でも効果が示されている方法を紹介します。
不安を否定しない
まず重要なのは
「不安を感じてはいけない」と思わないこと
です。
不安を抑え込もうとすると、逆に強くなることがあります。
心理学では
感情の受容(emotional acceptance)
が有効とされています。
情報を整理する
再発不安は
情報不足や誤解
によって強くなることがあります。
例えば
- 再発率
- フォローアップの意味
- 症状の特徴
などを医療者と確認することで、不安が軽くなることがあります。
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放射線治療後のフォローアップ
不安の時間を制限する
心理療法では
「心配する時間を決める」
方法が使われることがあります。
例
- 毎日15分だけ不安を考える
- それ以外の時間は意識的に別のことをする
この方法は
認知行動療法(CBT)で用いられています。
参考
Tauber NM. Journal of Clinical Oncology 2019
生活リズムを整える
不安は
- 睡眠不足
- 疲労
- 生活リズムの乱れ
で悪化します。
特に重要なのは
- 睡眠
- 軽い運動
- 規則的な生活
です。
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放射線治療後の疲労感
医療者に相談する
強い再発不安は
心理的サポートで改善することが多い
と報告されています。
例えば
- がん相談支援センター
- 臨床心理士
- 精神腫瘍科
などがあります。
NCCNガイドラインでも
心理サポートの利用が推奨されています。
参考
NCCN Distress Management Guideline
https://www.nccn.org
受診を検討した方がよいサイン
次のような場合は医療者への相談をおすすめします。
- 不安で眠れない
- 再発のことばかり考えてしまう
- 日常生活に支障がある
- 検査を極端に恐れてしまう
これらは
治療が必要な不安状態
の可能性があります。
専門医コメント
再発不安は、がん治療後の患者さんの多くが経験するものです。
臨床の現場でも、
「治療が終わったあとが一番不安だった」
と話される患者さんは少なくありません。
重要なのは、
不安があること自体は異常ではない
という点です。
一方で、不安が強すぎる場合は
心理サポートやカウンセリングで改善することが多くあります。
我慢する必要はありません。
不安がつらいときは、遠慮なく医療者に相談してください。
まとめ
- 再発不安は多くの患者が経験する自然な心理反応
- 治療後や検査前に強くなりやすい
- 情報整理・生活リズム・心理サポートが有効
- 不安が強い場合は医療者へ相談
再発不安は一人で抱える必要はありません。
適切なサポートを受けながら、少しずつ向き合っていくことが大切です。
FAQ よくある質問
再発が怖くて仕方ないのは普通ですか?
はい。がん治療後の患者の40〜70%が再発不安を経験すると報告されています。多くの患者が感じる自然な心理反応です。
再発不安はいつ強くなりますか?
定期検査の前、体の症状を感じたとき、治療終了直後などに強くなることが多いです。
再発不安は時間とともに軽くなりますか?
多くの場合、時間とともに落ち着いていきます。ただし一部の患者では長く続くことがあります。
再発不安が強いときの対処法はありますか?
情報整理、生活リズムの改善、認知行動療法などが有効とされています。
検査前に不安になるのは普通ですか?
はい。検査前の不安は「スキャン不安(scanxiety)」と呼ばれ、多くの患者が経験します。
体の症状があると再発でしょうか?
多くの症状は再発とは関係ないことがほとんどです。気になる症状があれば医療者に相談してください。
再発不安で眠れない場合はどうすればいいですか?
睡眠障害がある場合は医療者への相談をおすすめします。心理サポートや薬物療法が有効なことがあります。
再発不安は治療できますか?
心理療法(認知行動療法など)によって改善することが報告されています。
誰に相談すればよいですか?
主治医、がん相談支援センター、臨床心理士、精神腫瘍科などが相談先になります。
再発不安は異常なことですか?
いいえ。多くの患者が経験する自然な心理反応です。
この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。


















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