医師が把握している患者の症状は実際よりも少ない

医師が症状を過小評価することに関する研究
今回の話題はどちらかというと、医師に対する注意喚起のような内容です。
日常臨床でも薄々は感じるところですが、医師が把握している患者の症状というのは、実際のものよりも少なくなりがちです。
このことを実際に調査した研究があります。
ある研究では、前立腺癌治療中の患者を対象に医師の評価した症状と、患者の自己申告の違いを調べました。
医師の評価では、疲労感を訴える患者は10%、尿漏れを訴える患者は21%でしたが、実際の患者の自己申告ではそれぞれ、75%、97%という結果でした。
別の研究では、医師が重要であると評価した症状は3.4%のみに見られました、患者が申告した症状で評価すると16.9%でした。
全体では患者のうち85%の症例で、医師は症状を十分に評価できていませんでした。
前立腺癌患者を対象とした研究での多変量解析の結果では、人種(白人)、未婚、退職後あるいは未就労、犯罪歴、ホルモン治療群、において医師が症状を過小評価する傾向が見られました。
患者の症状を正確に把握するためには

実際の症状と、医師が把握している症状の差を無くすためにはどのようにすればいいでしょうか。
最も確実なのは、診察の際に患者に症状申告用紙に詳細に症状を記載してもらうことです。
もちろん、それでも申告漏れが発生する可能性がありますが、可能な範囲で症状の齟齬を減らすことができます。
いっぽうで、あまり詳細な記入用紙を使用した場合には、毎回の記載に時間がかかり過ぎるため、利便性に問題があります。
継続可能であり、患者自身および医療者の双方に負担にならない程度の項目にする必要があります。
現実的には5分程度で完了するのが理想的です。
前立腺癌領域ではEPIC-CPという症状確認形式が5分程度で回答できるものとして紹介されています。
まとめ
がん治療中の症状を正確に把握することは、質の高い治療を提供するためには必要不可欠です。
いっぽうで、実際に医師が把握している患者の症状は、実際のものよりも過少になりがちな実態があります。
短時間で回答可能な、簡易な質問項目を準備しておくことが、症状把握に有用です。
参考文献
Patient-Reported Quality of Life During Prostate Cancer Radiation Therapy: Insights Into the Patient Experience
- PMID: 34171237
- DOI: 10.1016/j.ijrobp.2021.02.028


















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