脳転移に対する再照射

2026年1月29日

目次

1:脳転移と放射線治療
2:脳転移に対する再照射の有効性・安全性
3:まとめ
4:参考文献

脳転移と放射線治療

脳転移に対する放射線治療、特に定位放射線治療(SRS、SRT)は放射線治療の中でも大きなウエイトを占める領域です。

脳には薬物が到達しにくいので、化学療法の効果が他の臓器に比べると弱くなります。

また、手術の場合には、周囲の正常脳組織への影響もありますし、複数個の転移が存在する場合には手術が難しくなります。

放射線治療であれば、周囲の脳組織へのダメージをできるだけ抑えながら、複数個の病変であっても治療が可能です。

特に、最近では治療機器の進歩に伴い、より高精度に、また10個程度の病変があっても一度に治療できるようになりました。

脳転移治療における放射線治療の役割は以前よりも大きくなっていると思います。

治療可能な症例が増えることによって、今度は再照射という問題が起こってきます。

以前に照射した病変が再び増大してきた、あるいは以前の病変の近くに新たに別の病変が出てきた場合です。

以前の病変と重なる範囲に放射線を照射すると、その部分はかなり多量の放射線が当たることになり、その後の脳壊死が問題となります。

脳転移に対する再照射の有効性・安全性

今回は、脳転移に対する定位照射における再照射の安全性を評価した研究を紹介します。

合計8施設で、102症例に対して再照射が行われました。

1回目の照射と2回目の照射の間隔は中央値で12ヶ月でした。

定位照射は1回で施行され、処方線量の中央値は18Gyで、辺縁線量は50%、最大線量は中央値で30.5Gyでした。

1年後、2年後の局所制御率はそれぞれ約80%、70%でした。

腫瘍のサイズが小さいほど腫瘍制御は良好でした。

放射線照射に伴う脳壊死は約7%に見られました。

脳壊死は、最大線量が40Gy以上あるいは、12Gy以上が当たる範囲が広い症例で、起こる確率が有意に高いという結果でした。

免疫療法の有無は脳壊死の発生と明らかな相関はありませんでした。

まとめ

脳転移に対する定位照射を用いた再照射は、十分な局所制御率が見られ、有効な治療と考えられます。

脳壊死の発生には最大線量が40Gy以上および12Gyが照射される範囲が広いほど起こりやすいという結果でした。

脳転移の再照射は線量に注意が必要ですが、安全で有効な治療法と言えます。

参考文献

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