放射線治療による便秘|原因・対処法・受診の目安を専門医が解説

放射線治療中なのですが、
最近便秘気味です。
治療の影響なのでしょうか?

放射線治療では下痢が有名ですが、
便秘が起こる患者さんもいます。
食事量の低下や運動不足、
薬の影響などが原因になることも多いですね。
放射線治療では、下痢が有名な副作用ですが、実は便秘が起こる患者さんも少なくありません。
特に
- 骨盤の放射線治療
- 鎮痛薬(オピオイド)使用
- 活動量低下
などが重なると、便秘が起こることがあります。
この記事では、放射線治療による便秘について
- なぜ起こるのか
- 自宅でできる対処法
- 医療機関に相談すべきタイミング
を放射線治療専門医の立場から分かりやすく解説します。
放射線治療ではさまざまな副作用が起こる可能性があります。
全体像については以下の記事でまとめています。
放射線治療で便秘は起こる?

放射線が腸に当たると、
便秘になるのですか?

実は放射線そのものよりも、水分不足・食事量低下・活動量低下などが原因になることが多いです。
治療中は生活リズムが変わるので、便秘が起こりやすくなるんですね。
結論から言うと、放射線治療そのものだけで強い便秘が起こることは多くありません。
しかし、治療中には次のような要因が重なり、便秘が起こりやすくなることがあります。
主な原因
- 活動量の低下
- 水分摂取の低下
- 食事量の減少
- オピオイド鎮痛薬
- 骨盤放射線治療による腸の運動低下
- ストレス
このため、放射線治療中の便秘は複数の原因が重なって起こることが多いと考えられています。
参考
https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/constipation
便秘が起こりやすい放射線治療

骨盤の放射線治療では便秘が起こりやすいのですか?

はい、前立腺がんや子宮がんなどの骨盤照射では、腸の動きが一時的に変化することがあります。
ただし多くの場合は軽度で一時的です。
特に便秘が起こることがあるのは、骨盤内の放射線治療です。
例
- 前立腺がん
- 子宮がん
- 子宮頸がん
- 直腸がん
- 膀胱がん
骨盤内の放射線治療では、大腸や直腸が照射範囲に入ることがあり、腸の動きが一時的に変化する可能性があります。
ただし、多くの場合は軽度で一時的です。
放射線治療中の便秘の症状
放射線治療中の便秘では、次のような症状がみられます。
- 排便回数の減少
- 便が硬い
- 排便時の強いいきみ
- お腹の張り
- 食欲低下
- 吐き気
症状が強くなると、
- 腹痛
- 嘔吐
- 腸閉塞
などの可能性もあるため、注意が必要です。

便秘になった場合、
自分でできる対策はありますか?

まずは
・水分をしっかりとる
・食物繊維をとる
・軽く体を動かす
この3つが基本です。
それでも改善しない場合は、便秘薬を使うこともあります。
放射線治療中の便秘対策
放射線治療中の便秘では、生活習慣の調整が重要です。
水分をしっかりとる
水分不足は便秘の大きな原因です。
目安
1日1.5〜2L程度
ただし
- 心不全
- 腎疾患
がある場合は医師の指示に従ってください。
食物繊維をとる
食物繊維は便の量を増やし、腸の動きを助けます。
おすすめ
- 野菜
- 海藻
- 果物
- 全粒穀物
ただし、腸閉塞リスクがある場合は制限が必要なことがあります。
適度な運動
運動は腸の動きを促進します。
例
- 散歩
- 軽い体操
毎日10〜20分程度の歩行でも効果があります。
→放射線治療中の運動についてはこちらの記事で解説しています。
便秘薬の使用
生活習慣だけで改善しない場合は、薬を使用します。
代表的な薬
- 酸化マグネシウム
- ルビプロストン
- 刺激性下剤
国際的なガイドラインでも、がん患者の便秘には薬物治療が推奨されています。
便秘薬
便秘がつらい場合は薬を使うこともあります
便秘が続く場合は、医師から処方されることも多い
酸化マグネシウム系の便秘薬が使用されることがあります。
腸を刺激するタイプではなく、
便をやわらかくして自然な排便を促すタイプの薬です。
※使用前に医師または薬剤師へ相談してください

便秘はよくある症状なら、
あまり気にしなくても大丈夫ですか?

ほとんどは問題ありませんが、
強い腹痛・吐き気・数日排便がない場合は注意が必要です。
その場合は早めに医療機関へ相談しましょう。
すぐ医療機関に相談すべき症状
次の症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
- 4〜5日以上排便がない
- 強い腹痛
- 吐き気・嘔吐
- お腹が強く張る
- 血便
これらは腸閉塞などの可能性もあります。
便秘と下痢は両方起こることがある
放射線治療では
- 便秘
- 下痢
が交互に起こることもあります。
特に骨盤照射では腸の動きが変化するためです。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
放射線治療の便秘はいつまで続く?
多くの場合
治療終了後数週間以内
に改善します。
ただし
- 鎮痛薬
- 活動量低下
などが続くと、長引くこともあります。

放射線治療の便秘は長く続くのでしょうか?

多くの場合、治療終了後数週間以内に改善します。
ただし鎮痛薬や生活習慣が影響して、少し長引くこともあります。
食物繊維サプリ
食事だけで食物繊維が足りない場合
食物繊維は便の量を増やし、腸の動きを助けます。
食事で十分に摂れない場合は、サイリウム(オオバコ)などの食物繊維サプリを利用する方法もあります。
※水分をしっかり摂りながら使用することが重要です。
専門医コメント
放射線治療中の便秘は、放射線そのものよりも
- 食事量低下
- 水分不足
- 運動不足
- 鎮痛薬
などが原因となることが多い副作用です。
多くの場合は生活習慣の調整や薬で改善しますが、
- 強い腹痛
- 吐き気
- 数日排便がない
場合は、腸閉塞などの可能性もあるため早めに主治医へ相談することが重要です。
整腸剤
腸内環境を整えることも大切
腸内細菌のバランスが乱れると、
便秘や下痢が起こることがあります。
ビフィズス菌などの整腸サプリを利用して
腸内環境を整えることも便秘対策の一つです。
まとめ
放射線治療中の便秘は比較的よくみられる症状です。
主な原因
- 活動量低下
- 水分不足
- 食事量低下
- 鎮痛薬
対策
- 水分摂取
- 食物繊維
- 運動
- 必要に応じて便秘薬
強い症状がある場合は、医療機関へ相談することが大切です。
FAQ(よくある質問)
放射線治療で便秘はよく起こりますか?
下痢ほど多くはありませんが、活動量低下や薬の影響で便秘が起こることがあります。
放射線治療で便秘になる原因は何ですか?
水分不足、食事量低下、運動不足、鎮痛薬など複数の要因が関係します。
骨盤の放射線治療では便秘が起こりやすいですか?
骨盤照射では腸の動きが変化するため便秘が起こることがあります。
放射線治療中の便秘はいつまで続きますか?
多くの場合、治療終了後数週間以内に改善します。
放射線治療中の便秘は自宅で改善できますか?
水分摂取、食物繊維、運動などで改善することが多いです。
便秘薬を使っても大丈夫ですか?
多くの場合安全ですが、必ず医師と相談して使用してください。
放射線治療で下痢と便秘が交互に起こることはありますか?
骨盤照射では腸の動きが変化するため起こることがあります。
何日排便がないと受診すべきですか?
4〜5日以上排便がない場合は医療機関へ相談してください。
腹痛がある場合は危険ですか?
強い腹痛や吐き気がある場合は腸閉塞の可能性があるため受診が必要です。
食事で気をつけることはありますか?
食物繊維と水分を十分に摂取することが大切です。
放射線治療の総合ガイド
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この記事の執筆者
放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。


























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