放射線治療では何をする?【初診から治療終了までの流れを専門医がわかりやすく解説】

「放射線治療って、実際には何をするの?」
「どんな流れで治療が進むの?」
「痛い治療なの?」

放射線治療は、手術・薬物療法と並ぶがん治療の三本柱の一つです。現在では多くのがんで標準治療として行われており、世界中で安全性が確立された治療です。

しかし初めて治療を受ける患者さんにとっては、

  • 何をされるのか分からない
  • どんな検査があるのか
  • 痛いのか

といった不安が大きいものです。

この記事では放射線治療専門医の視点から、

  • 放射線治療の具体的な流れ
  • 初診から治療終了まで何をするのか
  • 実際の治療の様子
  • 知っておくと安心なポイント

初心者でもわかるように解説します。

放射線治療の基本を知りたい方は、まずこちらの総合記事も参考にしてください。

放射線治療の初心者向け総合ガイド(親記事リンク)


放射線治療の全体の流れ

放射線治療は次の流れで進みます。

1 初診・治療相談
2 治療計画CT
3 治療計画作成
4 放射線治療(毎日の照射)
5 定期診察
6 治療終了

それぞれのステップを詳しく説明します。


① 初診(治療相談)

まず放射線治療科で専門医による診察が行われます。

ここでは主に次の内容を確認します。

  • がんの種類
  • 病期(ステージ)
  • これまでの治療
  • 全身状態

そのうえで

  • 放射線治療の目的
  • 治療期間
  • 期待される効果
  • 副作用

などについて説明します。

疑問や不安がある場合は、この時点で遠慮なく質問することが大切です。


② 治療計画CT(シミュレーション)

放射線治療では、ミリ単位の精度で照射する必要があります

そのため、まず治療専用のCT撮影を行います。
これを治療計画CT(シミュレーション)と呼びます。

この工程では次のことを行います。

  • 治療時と同じ姿勢を作る
  • 体を固定する装具を作る
  • CT撮影
  • 位置合わせのマーキング

この検査には20〜40分程度かかることが一般的です。


③ 治療計画の作成

治療計画CTの画像をもとに、医師と医学物理士が放射線治療計画を作成します。

ここでは次の内容を決定します。

  • 放射線の照射方向
  • 線量
  • 照射範囲
  • 正常組織への影響

現在は

  • IMRT(強度変調放射線治療)
  • VMAT
  • IGRT

などの高精度技術により、正常組織を守りながら腫瘍へ集中して放射線を当てることが可能になっています。

治療計画の作成には数日〜1週間程度かかります。


④ 放射線治療(実際の治療)

治療が始まると、基本的には平日に毎日通院して照射を行います。

治療時間の目安は次の通りです。

照射時間
1〜3分

治療室滞在時間
10〜15分

治療中の特徴は次の通りです。

  • 痛みはありません
  • 熱さも感じません
  • 体に触れることもありません

治療中は、機械が体の周囲を回りながら放射線を照射します。

代表的な装置はリニアック(線形加速器)です。

放射線治療の種類については以下の記事で解説しています。


⑤ 定期診察(副作用チェック)

治療中は週1回程度の診察が行われます。

ここでは主に次の点を確認します。

  • 皮膚炎
  • 痛み
  • 倦怠感
  • 食欲

必要に応じて

  • 薬の処方
  • 生活指導
  • 副作用対策

が行われます。

副作用については以下の記事でまとめています。


⑥ 治療終了

予定された回数の照射が終わると、放射線治療は終了です。

その後は

  • 定期診察
  • 画像検査
  • 副作用フォロー

などを行いながら経過を観察します。

放射線治療後の生活については以下の記事をお読みください。


国際ガイドラインにおける放射線治療

放射線治療は世界中で標準治療として確立されています。

例えば次の国際ガイドラインでも重要な治療として推奨されています。

NCCN Guidelines
https://www.nccn.org

ASTRO(American Society for Radiation Oncology)
https://www.astro.org

ESMO Clinical Practice Guidelines
https://www.esmo.org

また、The Lancet Oncologyなどの研究では、約50〜60%のがん患者が生涯のどこかで放射線治療を受けると報告されています。


専門医コメント

放射線治療は「何をされるか分からない」という理由で不安を感じる方が多い治療です。

しかし実際には、

  • 事前に詳細な治療計画を作成
  • 毎回の正確な位置合わせ
  • 定期診察による副作用管理

など、非常に安全性を重視した計画的な治療です。

治療の流れを事前に知っておくことで、不安は大きく軽減します。


まとめ

放射線治療は次の流れで進みます。

1 初診
2 治療計画CT
3 治療計画作成
4 毎日の照射
5 定期診察
6 治療終了

実際の照射は数分で終わる痛みのない治療です。

放射線治療の基本については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

放射線治療の初心者向け総合ガイド(親記事リンク)


よくある質問

放射線治療は痛いですか?

放射線自体は痛みを感じません。治療中は体に触れることもなく、数分で終わることがほとんどです。

放射線治療は毎日通院するのですか?

多くの場合、平日に毎日通院して照射を行います。治療期間は2〜7週間程度が一般的です。

放射線治療は入院が必要ですか?

多くの治療は外来通院で行われます。入院が必要になるケースは限られています。

治療時間はどれくらいですか?

照射自体は1〜3分程度ですが、位置合わせなどを含めて治療室には10〜15分程度滞在します。

治療中は動いても大丈夫ですか?

基本的には動かないようにします。固定具を使用するため、多くの患者さんは同じ姿勢を保つことができます。

放射線治療は安全ですか?

放射線治療は世界中で標準治療として確立されており、厳密な安全管理のもとで行われています。

副作用はいつ出ますか?

副作用は通常、治療開始から2〜3週間頃に出始めることが多いです。

放射線治療後はすぐ帰れますか?

はい。ほとんどの治療は外来で行われるため、照射後はそのまま帰宅できます。

放射線治療は何回くらい行いますか?

治療内容によりますが、10〜35回程度の照射が一般的です。

放射線治療は再発した場合にも使えますか?

がんの種類や部位によりますが、再発時にも放射線治療が選択されることがあります。


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  この記事の執筆者

放射線治療専門医
放射線腫瘍学を専門とし、がんの放射線治療に従事。
患者さんやご家族に向けて、放射線治療の情報を分かりやすく発信しています。

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